特定技能でタクシー運転手に!必要な条件・試験内容・将来性を徹底解説
- sou takahashi
- 8月1日
- 読了時間: 14分

目次:
日本でタクシー運転手として働きたい海外人材の方へ──2024年から始まった「特定技能」制度により、旅客運送分野でも就労の道が開かれました。
この記事では、特定技能でタクシー運転手になるための条件、必要な資格、日常業務の実態までをわかりやすく解説。未経験でも一歩を踏み出せるヒントが満載です。
1.特定技能:タクシー運転手とはどんな仕事か

就ける仕事内容と日常業務の特徴
特定技能でタクシー運転手として働く場合、単なる車の運転だけではなく、接客や運行管理まで含めた幅広い業務に携わることになります。乗客の命を預かる職業であるため、業務の一つひとつに高い責任が伴います。
具体的な仕事内容としては、以下のようなものが挙げられます

安全」と「丁寧な対応」です。乗客の年齢や状況に応じてドアサービスを行ったり、体調に気づいたら配慮したりと、接客スキルも欠かせません。また、急な道の変更や渋滞にも柔軟に対応できる判断力も求められます。
他の運送業と異なる点とは?
タクシー運転手の仕事は、トラックやバスなど他の運送業と比べて、「人」を相手にするという点で大きく異なります。貨物や集団輸送と違い、個人の乗客一人ひとりに対応する必要があり、そのたびに状況が変化します。
主な違いは以下の通りです。

また、タクシー業務では「第二種運転免許」が必要です。これは旅客を有償で運ぶことを前提にした免許で、安全運転や接客、緊急対応などの能力が問われます。

さらに、配車アプリや無線システムの活用も多く、デジタル機器の操作スキルが求められるのも特徴です。タクシーは、単なる運転ではなく「個別対応型サービス」としての側面が強く、より多面的な働き方となります。
接客・安全・地理知識が求められる理由
タクシー業務では、ただ運転できればよいというわけではありません。実際には「運転技術」「接客マナー」「安全意識」「地理の知識」「判断⼒」の5つが不可欠です。これは、乗客の満足度と命の安全を左右する重要な要素となるからです。

つまり、タクシー運転手は「運転+接客+判断力」の総合職ともいえる仕事です。乗客の信頼を得るためにも、これらのスキルをしっかり身につけることが求められます。
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2.特定技能:タクシー運転手になるための条件

日本の第二種運転免許が必要な理由
タクシー業務に従事するには、日本の「第二種運転免許(通称:二種免許)」の取得が必須です。この免許は、お金をもらって人を乗せて運転するための資格であり、旅客を安全に輸送する責任があることから、第一種免許とは試験内容も厳しさも異なります。

二種免許では、一般的な運転技術に加えて、以下のような高度な技能や知識が求められます。
お年寄りや体が不自由な方への配慮ある運転
突発的な交通状況への柔軟な判断
タクシーならではの接客マナーやトラブル対応力
海外人材の場合、まず日本国内で普通免許を取得し、一定期間(通常3年以上)運転歴があることが条件になります。その上で、二種免許の学科・実技試験に合格しなければなりません。

この免許を取得することで、乗客の命と安心を預かるプロとして認められるわけです。制度としても、タクシー業務における最低限の安全基準を確保するために設けられています。
日本語能力の基準と試験種類
タクシー運転手として働くには、一定の日本語能力が不可欠です。これは接客業である以上、乗客との会話が日常的に発生し、トラブル時や緊急時の対応にも日本語でのやり取りが求められるからです。
運送業分野において、バスやタクシーのような旅客輸送職は、「日本語能力試験(JLPT)」でN3以上のレベルが基本とされています。
N3レベルとは、以下のような能力を指します:
日常会話の内容がある程度理解できる
簡単なニュースや交通アナウンスを聞き取れる
看板や注意書き、業務マニュアルを読解できる
このほか、「JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)」という試験でも代替可能です。JFT-Basicは、働く海外人材向けに設計されており、会話力や文法運用能力を確認する内容となっています。
日本語能力は単なる合否ではなく、業務上の信頼性にも関わるスキルです。特に接客に自信を持って取り組むためには、試験合格だけでなく、実際の現場で使える表現や語彙を習得しておくと安心です。
特定技能評価試験の出題内容と対策法
特定技能1号の在留資格を得るには、運送業専用の「特定技能評価試験」に合格する必要があります。これは日本国内で就労する海外人材が、業務に必要な最低限の知識・技能を備えているかどうかを確認する試験です。
タクシー分野での評価試験は、以下のような出題内容が中心となります:
交通法規や道路標識の理解
接客マナーや乗客への対応方法
車両点検・整備の基本知識
タクシー運行に必要な地理知識や無線機器の操作
出題形式は多くの場合、マークシート方式の筆記試験で、業務の実態に即した内容が出されます。机上の暗記よりも、現場で起きるトラブルや業務の流れを理解しているかが重視されます。
試験対策としては、次のような方法が効果的です:
国土交通省や業界団体が提供する公式テキストの活用
模擬試験や過去問に繰り返し取り組む
日本語での業務用語を覚えると同時に、その意味や使い方も理解する
海外人材向けの研修教材や映像コンテンツも増えており、視覚的に学べる環境も整いつつあります。早めに取り組み、業務に直結する知識を身につけることが合格への近道です。
3.特定技能:タクシー運転手としての働き方

勤務時間やシフトの実態
特定技能で働くタクシー運転手の勤務時間は、企業や地域によって異なりますが、基本的にはシフト制です。特に都市部では24時間営業が一般的で、「隔日勤務」と呼ばれる独特の働き方がよく見られます。
隔日勤務とは、例えば朝8時から翌日未明2時までの勤務を1日とし、その後は明け休み(休息日)が設けられるスタイルです。これにより、月の勤務日数は12~13日程度で済みますが、1日の拘束時間が長いのが特徴です。
また、以下のような勤務形態も存在します。

企業によっては、海外人材労働者に対しては短時間勤務や固定シフトを導入するなど、体調や言語面に配慮した柔軟な体制を取っているケースもあります。
タクシー業務は一見自由度が高そうに見えますが、実際には売上目標や配車対応のプレッシャーがあり、労働負担は軽くありません。無理のないスケジュールで勤務できるよう、事前にシフト制度を確認することが重要です。
新任運転者研修で学ぶ内容
タクシー業界で働くためには、運転免許の取得に加えて「新任運転者研修」の受講が必須となります。この研修は、単に運転技術を磨くものではなく、タクシー運転手としての基礎知識や接客姿勢、安全意識を養う場です。
研修は大きく以下の3つに分かれます:
座学 | 道路運送法、労働関係法令、接客マナー、事故防止など |
実技 | 車両点検、点呼訓練、構内・路上走行、緊急対応訓練など |
適性診断 | 性格傾向や判断力をチェックし、安全運転指導に活用 |
研修期間は一般的に10日〜2週間ほどで、企業によっては自社独自の研修プログラムを追加することもあります。海外人材の場合、日本語による受講が基本となるため、一定の語学力が必要です。
この研修は、実務に入る前の重要な準備期間です。安全運転はもちろん、日本独自の接客文化や交通ルールを理解し、乗客との信頼関係を築くための第一歩となります。
海外人材向けサポート制度の実例
海外人材がタクシー業界で安心して働くためには、就労環境だけでなく生活面でのサポート体制も欠かせません。特定技能制度では、受け入れ企業に「生活支援」の義務があり、多くの企業がさまざまな支援策を導入しています。
主な支援内容には、以下のようなものがあります。

こうした支援制度の有無は、職場選びにおいて非常に重要なポイントです。面接時や募集要項で必ず確認しておくことをおすすめします。
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4.特定技能:タクシー運転手を受け入れる企業の条件

働きやすい職場認証制度とその意義
「働きやすい職場認証制度」とは、自動車運送業界における労働環境の改善を目的として導入された制度です。国土交通省が後押しし、一般財団法人日本海事協会が運用しています。
この制度では、企業が一定の労務管理や職場改善に取り組んでいるかを第三者が評価します。
具体的な評価項目には以下のようなものがあります。
労働時間の適正な管理
年次有給休暇の取得状況
ハラスメント防止策の有無
安全運転への取り組み
女性や若者の就労支援体制
認証を受けた企業には「☆」マークが付与され、企業の信頼性や働きやすさを示す指標となります。特定技能で海外人材を受け入れるには、この認証が原則として必須条件とされています。

この制度の意義は、単に認証を得ることではなく、企業が職場環境を客観的に見直し、継続的な改善に取り組む契機となることにあります。海外人材だけでなく、日本人従業員にとっても安心して働ける職場づくりにつながる取り組みです。

特定技能協議会加入の必要性
海外人材を特定技能として受け入れる場合、事業者は分野ごとに設置された「特定技能協議会」への加入が義務付けられています。タクシー業界も例外ではなく、協議会への登録がなければ海外人材を雇用することはできません。
協議会の主な役割は以下のとおりです:
制度運用の適正化に向けた情報共有
海外人材労働者への支援方針の策定
受け入れ企業の実態調査と報告の収集
関係機関との連携による環境整備
加入手続きはオンラインで行うことができ、登録情報や雇用計画などの提出が求められます。分野によっては年会費や運営協力費が必要となることもあるため、事前の確認が重要です。
協議会に加入することで、企業は単独で制度運用に取り組むのではなく、業界全体でルールを共有し、課題を解決していく体制の一部となることができます。法令順守の側面でも不可欠な要素です。
海外人材を受け入れる体制の整え方
特定技能社員を受け入れるには、単に雇用契約を結ぶだけでは不十分です。受け入れ企業には、海外人材が日本で安心して働き、生活できる環境を整える責任があります。
具体的には、以下のような準備が必要です。
日本語での業務指導体制の確保
生活支援(住居、銀行口座、携帯契約など)の提供
定期的な面談と相談窓口の設置
社会保険や労災保険の加入手続き
苦情処理・トラブル対応マニュアルの整備
さらに、法務省が求める「支援計画」に基づいた実施報告も行わなければなりません。支援内容が不十分な場合、在留資格の許可が下りないこともあるため注意が必要です。
体制整備の負担を軽減するために、登録支援機関と連携するケースも増えています。これらの機関は、生活支援や翻訳・通訳サービスを代行し、企業が本業に集中できる環境を整えてくれる存在です。
しっかりとした受け入れ体制を築くことは、海外人材との信頼関係を築き、定着率を高める鍵となります。制度を正しく理解し、実行力のある仕組みづくりが求められます。
5.特定技能:タクシー運転手の将来性とキャリア

特定技能で働ける期間と今後の選択肢
特定技能1号でタクシー運転手として働ける期間は、最大で通算5年間です。これは在留資格の期限に基づいており、1年・6か月・4か月などの期間ごとに更新を重ねながら、5年の上限に達するまで就労が可能です。

この5年間をフルに活用した後は、いくつかの選択肢が考えられます。

ただし、現時点ではタクシー運転手としてのキャリアをそのまま継続できる特定技能2号への移行は認められていません。そのため、5年を一区切りとして計画的にキャリアや生活設計を立てておくことが大切です。
将来、制度の見直しが行われる可能性もあるため、最新情報の確認と、日々の実務経験の積み重ねが次のステップへの備えになります。
特定技能2号への移行は可能?
特定技能2号は、特定技能1号よりも高度な技術と経験を有する海外人材に与えられる在留資格で、更新制限がなく、家族の帯同も可能です。長期的に日本で働きたい海外人材にとっては、非常に魅力的な制度です。
しかし、2025年7月時点では、タクシー業界は特定技能2号の対象分野に含まれていません。現在2号が認められているのは建設、造船・舶用工業、介護など一部業種に限られており、運送・旅客分野での適用は今後の検討課題とされています。
そのため、タクシー分野で特定技能1号として5年間働いた後は、2号に移行することはできません。制度の動向によって将来的に対象業種が拡大する可能性もありますが、現段階では移行を前提にした働き方は想定できない状況です。
キャリアを継続したい方は、他の在留資格(永住や定住など)への移行要件を意識しながら、日本語力や生活実績を積み重ねておくと良いでしょう。
タクシー業界で海外人材が活躍する未来像
今後、タクシー業界における海外人材の活躍はさらに広がると考えられています。その背景には、乗務員の高齢化と若年層の減少という深刻な人手不足があり、多くの地域で人材確保が課題となっています。
海外人材労働者は、単なる「労働力の補填」ではなく、多様な言語や文化的背景を活かした新しいサービスの担い手として期待されています。たとえば、観光都市では英語や中国語に対応できる運転手が重宝され、訪日客へのサービス向上にもつながります。
さらに、特定技能制度を通じて日本での生活や仕事に慣れた海外人材が、将来的に指導的立場に就くことも現実的です。教育体制や支援制度が整っていけば、国籍に関係なく実力で評価される職場環境の実現も十分可能です。
タクシー業界が変化する中で、海外人材が長く働き、地域社会に貢献する姿が当たり前になる未来が少しずつ近づいています。そのためには、企業側の意識改革と制度面での後押しが欠かせません。
特定技能 自動車運送分野社員採用について
6.よくあるご質問

◾️Q1. 二種免許なしでタクシー運転手は違反ですか?
はい、第二種運転免許を持たずにタクシー業務に従事することは法律違反です。タクシーは「有償旅客輸送」にあたるため、第一種免許では対応できません。無免許運転とみなされ、運転者本人だけでなく雇用側の事業者も処分対象になります。外国人であっても例外なく二種免許の取得が必須です。
◾️Q2. タクシーの二種免許の合格率は?
全国平均では70〜80%前後と比較的高めです。ただし、合格率には受験者の背景が影響しやすく、教習所経由で受けた人は高め、直接試験場で受けた人は低くなる傾向があります。筆記・実技の両方に合格する必要があるため、十分な準備が求められます。
◾️Q3. 二種免許が難しい理由は何ですか?
二種免許が難しいとされるのは、運転技術だけでなく「旅客輸送に必要な高度な判断力やマナー」が試されるからです。特に実技試験では、安全確認や状況判断、スムーズな乗降配慮など細かいチェックが行われます。さらに、外国人にとっては日本語での筆記試験が大きなハードルになります。
◾️Q4. タクシーの二種免許の費用は返金されますか?
多くのタクシー会社では、入社後にかかった二種免許取得費用を全額または一部負担する制度を設けています。特に未経験者向けの採用では「取得費用会社負担」「取得後○年勤務で返金不要」といった条件が一般的です。ただし、途中退職の場合は返金義務が生じるケースもあるため、事前に契約条件を確認することが大切です。
7.まとめ

特定技能制度により、海外人材がタクシー運転手として日本で働けるようになりましたが、必要な条件や業務内容は決して簡単ではありません。第二種運転免許の取得や日本語能力、評価試験の合格に加え、接客・安全運転・地理の知識など、多面的なスキルが求められます。
勤務形態や研修制度、生活サポートも企業によって異なるため、事前の確認と準備が重要です。将来的に制度が拡大すれば、より多くの海外人材がタクシー業界で活躍するチャンスが広がると期待されています。
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