自動車運送業における特定技能人材の受け入れ完全ガイド
- sou takahashi
- 6月6日
- 読了時間: 13分
〜 採用準備から乗務開始までの流れとポイントを徹底解説 〜

目次:
日本の物流を支える自動車運送業界では、今まさに“人材確保の危機”に直面しています。高齢化の進行、若年層の業界離れ、長時間労働といった課題により、ドライバー不足は年々深刻化。こうした状況を打開する新たな選択肢として、今「特定技能海外人材」の活用が注目を集めています。
2024年、自動車運送業は正式に特定技能制度の対象分野に追加され、海外から即戦力となる人材を採用する道が開かれました。しかし、採用にはビザ取得や受け入れ体制、法令順守など複雑な手続きが伴い、ハードルが高いと感じる事業者も少なくありません。
本記事では、これから特定技能海外人材の採用を検討する企業・人事担当者に向けて、制度の基本から採用準備、実務対応、費用感までを網羅的に解説します。制度を正しく理解し、戦力となる人材を迎え入れるための「完全ガイド」として、ぜひご活用ください。
特定技能 自動車運送業分野社員採用について
1. なぜ今「特定技能」なのか?

人手不足が深刻化する自動車運送業界の現状
自動車運送業界では、深刻なドライバー不足が続いています。高齢化の進行と若年層の業界離れにより、慢性的な人手不足が業務の安定運営を困難にしています。特に中小規模の運送会社では、求人を出しても応募が集まらないという声が多く聞かれます。
物流は社会インフラを支える重要な分野であるにもかかわらず、過酷な労働条件や長時間勤務が敬遠されがちで、国内人材の確保がますます難しくなっているのが現状です。
こうした背景から、企業は新たな労働力の確保手段として「特定技能制度」に注目し始めています。この制度により、即戦力として働ける海外人材材を迎えることで、労働力の補完と業務の継続が可能となるのです。

特定技能制度を活用した採用の可能性
「特定技能制度」は、日本で一定の専門性と日本語能力を持つ海外人材を労働者として受け入れる仕組みです。自動車運送業界も対象分野に加わったことで、業務に直結する人材を海外から採用できるようになりました。
特定技能1号では、一定の技能試験と日本語試験に合格した海外人材が、日本国内で最長5年間就労することが認められています。現場で即戦力として活躍してもらえる点が最大のメリットです。
さらに、制度に則った雇用形態であれば、企業側の負担も抑えられ、安定的な人材確保が実現できます。ただし、在留資格の取得や受け入れ体制の整備といった準備が必要になるため、事前の情報収集と計画的な対応が重要です。
実績データ:現在の受け入れ人数・分野別シェアなど

2023年12月時点の速報値によると、特定技能で在留している海外人材数は約20万8,000人に上ります。
分野別で見ると、最も多いのは「飲食料品製造業」で全体の約29.3%、続いて「介護」13.6%、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」19.2%と続きます。
自動車運送分野は、制度対象入りが比較的新しいため、現在の構成比はまだ低いものの、今後の拡大が見込まれています。
国籍別では、ベトナム出身者が全体の約53.1%を占めており、次いでインドネシア、フィリピン、中国と続きます。
こうしたデータからも、日本の産業界が海外人材材に大きく依存し始めている現状がうかがえます。今後、自動車運送業界における受け入れも加速する可能性が高いでしょう。
特定技能 自動車運送業分野社員採用について
2. 特定技能「自動車運送業」分野の制度概要

特定技能制度の法的位置づけと関連法令
特定技能制度は、2019年4月に導入された新しい在留資格制度で、出入国管理及び難民認定法(いわゆる入管法)に基づいて運用されています。この制度は、従来の技能実習制度と異なり、「即戦力」として海外人材が労働現場で働くことを目的としており、日本国内の人手不足が深刻な業種に限って受け入れが認められています。

在留資格「特定技能1号」は、一定の技能レベルと日本語能力を有することが条件で、5年間の就労が可能です。さらに、業種によっては家族帯同が可能な「特定技能2号」への移行も視野に入れられています。

制度運用にあたっては、法務省、出入国在留管理庁、厚生労働省など複数の省庁が関与し、分野ごとの分野別運用方針や協議会指針に基づいて実施されます。企業はこれらの法的枠組みを理解したうえで、適正な手続きを踏む必要があります。
自動車運送分野の対応開始・最新の制度更新
自動車運送業は、2024年3月29日の閣議決定を経て、新たに特定技能制度の対象分野として追加されました。

これにより、トラック・バス・タクシーといった運送業務においても、特定技能海外人材の受け入れが正式に認められるようになりました。
対象業務に従事する海外人材は、一定の技能試験と日本語試験をクリアした上で在留資格を取得し、実際の運転業務に従事することができます。制度の導入に際しては、事故防止や安全確保の観点から、免許取得支援体制や研修制度の整備が求められています。
また、今後の運用では、制度の定着度や雇用状況を踏まえた見直しも行われる予定です。特に自動車運送分野は、安全性と公共性の高い業種であるため、他分野以上に慎重な制度設計と運用が行われている点に注意が必要です。
3. 採用準備:スムーズな受け入れのためのポイント

採用プロセスとスケジュールの全体像

特定技能外国人の採用には、計画的な準備と段階的な手続きが求められます。
まず、企業が行うのは「求人の作成」と「人材紹介機関の選定」です。その後、候補者の書類選考や面接を経て、採用内定となりますが、ここからが本格的な準備の始まりです。在留資格申請、送り出し国との調整、必要書類の収集、ビザ取得、渡航準備といった一連の流れには通常2〜4か月程度を要します。
さらに、到着後には日本語研修や運転免許の切替手続きも待っています。スケジュール通りに進めるには、各工程にかかる日数や申請先の対応時期を逆算して動くことが重要です。初めての企業は登録支援機関の活用を検討することで、実務面の負担を大きく軽減できます。
採用は「採ったら終わり」ではなく、「迎え入れる体制づくり」と並行して進めることが成功の鍵です。
国籍別に異なる手続きの違い
フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどの具体的注意点

特定技能海外人材を受け入れる際は、国籍ごとに定められた手続きの違いに留意する必要があります。
たとえば、フィリピン国籍の場合、出国前にフィリピン海外雇用庁(POEA)の承認を得る必要があり、雇用契約の内容やサポート体制が厳しく審査されます。
一方、インドネシア出身者は、現地政府が指定する送り出し機関を通すことが義務づけられており、違反があると受け入れ自体が認められないこともあります。
ミャンマーの場合も、事前の技能訓練や日本語教育を義務化しているため、相手国側との調整に時間がかかる傾向があります。
こうした手続きは日本側の基準に加え、送り出し国ごとの法規制が関係するため、必ず最新情報を確認し、専門機関と連携することが円滑な受け入れのカギとなります。
住居や生活支援の手配
住居確保と家具・家電の準備
海外人材労働者を迎える際は、まず住環境の整備が必要です。賃貸契約では保証人の問題や外国籍への貸し渋りが課題となることがあるため、企業が物件を一括契約するケースも増えています。
住居の確保だけでなく、生活に必要な家具・家電(冷蔵庫、洗濯機、寝具など)を事前に準備しておくことで、来日直後の混乱を防げます。特に初めて日本で暮らす人にとっては、スムーズな生活立ち上げが定着に直結します。予算に応じて中古品の活用やセット販売業者の利用も可能です。
さらに、ゴミの分別や地域ルールなど、日本独特の生活習慣についてもわかりやすく説明することで、地域との摩擦を防ぐことができます。住まいの整備は、受け入れ側の責任であるという意識が重要です。
銀行口座・生活インフラの整備サポート

海外人材が安心して生活を始めるためには、銀行口座の開設や携帯電話契約、役所での住民登録といった手続きも欠かせません。銀行によっては在留カードの提示や雇用証明書が必要になる場合があり、日本語に不慣れな海外人材だけで手続きするのは難しいことが多いです。
そのため、企業側が同行してサポートすることが望ましい対応です。携帯電話やWi-Fiの契約も生活の質に大きく関わるため、契約内容の比較やサポート付きプランの案内が役立ちます。また、行政手続きでは住民票の取得やマイナンバーの交付も必要で、ミスがあると在留資格の更新に影響を及ぼす恐れがあります。
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こうしたインフラ整備を丁寧に支援することで、安心して働き始められる環境が整い、長期的な雇用継続にもつながります。
特定技能 自動車運送業分野社員採用について
4. 社内の受け入れ準備

社員への事前研修(やさしい日本語・異文化理解)
海外人材労働者を職場に迎える前に、受け入れ側の社員に対する事前研修は不可欠です。とくに重要なのが「やさしい日本語」の使い方と異文化への理解を深める内容です。やさしい日本語とは、難解な単語や敬語を避け、シンプルな言葉で伝えるコミュニケーション手法のことです。
たとえば、「お疲れ様です」を「ごくろうさまです」や「ありがとう」に置き換えるなど、身近な工夫で意思疎通が円滑になります。さらに、国ごとの宗教や生活習慣、価値観の違いを知ることで、トラブルの未然防止にもつながります。研修は1日完結型のものでも効果がありますが、定期的なフォローアップも推奨されます。
こうした取り組みを通じて、職場全体の受け入れ体制が自然に整い、互いに尊重し合える関係性が築かれていきます。
多文化共生のための取り組み事例
実際に多文化共生を推進している企業では、さまざまな工夫が取り入れられています。ある運送会社では、海外人材ドライバー向けの「生活ガイドブック」を社内で作成し、ゴミ出しのルールや災害時の対応方法などをイラスト付きで説明しています。
また、社内報を多言語で発行したり、通訳アプリを全社員に配布することで、言語の壁を低くする取り組みも行われています。宗教的配慮として、礼拝スペースを確保したり、豚肉を含まない食事を用意するといった事例もあります。
さらに、異文化交流会を定期的に開催し、日本人社員と海外人材社員の相互理解を深めている企業もあります。こうした柔軟な対応は、離職率の低下や職場の一体感にもつながり、長期的な雇用の安定化に貢献しています。
5. 入社後のサポート体制と手続き

外国免許切替・日本語研修の流れ
試験の流れ・費用・必要書類


海外人材が日本で運転業務に従事するためには、母国の運転免許を日本の免許に切り替える手続きが必要です。この「外国免許切替」は各都道府県の運転免許センターで実施され、書類審査、適性検査(視力・聴力など)、知識確認のための学科試験、そして一部では実技試験も求められます。
費用の目安は、受験手数料や翻訳代を含めて約8,000~15,000円程度です。必要書類は、有効な外国免許証、公式な日本語翻訳(JAFなどで発行)、在留カード、住民票などが基本です。並行して行う日本語研修では、業務上必要な単語や表現に重点を置いた指導が行われます。
運転中の標識理解や緊急時の対応など、実務に直結する内容が多く、研修期間は数日から数週間程度とされるのが一般的です。
在留管理(定期・随時・更新届出)
特定技能海外人材を雇用する企業は、適切な在留管理を行う義務があります。在留管理には「定期届出」「随時届出」「在留期間の更新」などが含まれ、いずれも法務省や出入国在留管理庁への報告が必要です。
定期届出は四半期ごとに実施され、就労状況や生活支援の実施状況などを報告します。

随時届出は、住所変更、退職、本人の失踪など、重大な変更があった場合に行います。

更新手続きは在留期限の約3か月前から可能で、継続雇用が前提となるため、企業側の就労証明書や支援状況報告書の提出が求められます。

これらの手続きを怠ると、企業が指導対象となる場合があり、最悪の場合は受け入れ停止処分を受けることもあります。法令順守を徹底することが、継続的な海外人材雇用の基盤となります。
特定技能 自動車運送業分野社員採用について
6. まとめ:制度を味方に、持続可能な運送業へ

今後の日本社会において、海外人材材の活用は一時的な人手不足対策ではなく、持続的な労働力確保の戦略として位置づけられていくでしょう。少子高齢化の進行により、国内労働力が年々減少するなか、多様な人材を受け入れ、共に働ける環境を整えることが企業の競争力を左右します。
とくに自動車運送業界では、若年層の人材確保が難しい状況が続いており、即戦力となる海外人材ドライバーの活躍がますます期待されています。一方で、言語や文化の違いによる摩擦も想定されるため、企業には多文化共生を前提とした受け入れ体制の整備が求められます。
海外人材材が「一時的な労働力」から「チームの一員」へと意識が変化することで、組織の安定と成長につながる未来が見えてきます。
特定技能に強い登録支援機関 GLORY OF BRIDGE
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