特定技能ドライバー採用でよくある質問と回答【Q&A形式で徹底解説】
- sou takahashi
- 11月8日
- 読了時間: 30分

目次:
「特定技能ドライバーの採用に興味はあるけど、わからないことだらけで不安」――運送会社の経営者や人事担当者から、このような声をよく聞きます。
特定技能(自動車運送業分野)は2024年12月に本格運用が始まったばかりの新しい制度です。情報が少なく、「本当にうちの会社でできるのか」「どんなリスクがあるのか」と不安を感じるのは当然のことです。
この記事では、企業からよく寄せられる質問に、一問一答形式でわかりやすくお答えします。制度の基本から、採用プロセス、コスト、業務管理、定着支援まで、幅広くカバーしています。
この記事を読めば、採用判断に必要な情報がすべて揃います。
疑問や不安を一つひとつ解消し、安心して特定技能ドライバー採用に踏み出すための道しるべとして、ぜひご活用ください。
1.まず知りたい!制度の基本Q&A
Q1. 特定技能ドライバーは何年間雇用できますか?
A. 特定技能1号は通算で最長5年間の雇用が可能です。
特定技能1号の在留期間は、1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとに更新します。これを繰り返し、通算で最長5年間まで日本に滞在し、就労することができます。
例えば、1年ごとに更新する場合、5回の更新で合計5年間の雇用が可能です。これは、中長期的な人材育成計画を立てる上で十分な期間と言えるでしょう。
特定技能2号への移行可能性:現在、自動車運送業分野では特定技能1号のみが運用されていますが、将来的には特定技能2号への移行が検討される可能性があります。特定技能2号になれば、在留期間の更新回数に制限がなくなり、家族の帯同も認められるため、より長期的な雇用が実現します。
Q2. どの国の人材を採用できますか?
A. 特定技能評価試験を実施している国の人材を採用できます。
現在、特定技能(自動車運送業分野)の評価試験は、以下の国々で実施されています:
インドネシア
フィリピン
ベトナム
その他、順次拡大予定
現時点で最も採用が多いのはインドネシア人です。 インドネシアは親日国として知られ、国民性が真面目で勤勉、日本の職場文化に適応しやすいという特徴があります。また、イスラム教徒が多いため、宗教上の配慮が必要な場合もありますが、適切な理解とサポートがあれば問題なく働いてもらえます。
フィリピン人は英語が堪能で、インバウンド対応が求められるタクシーやバス事業者にとって魅力的な人材です。ベトナム人は手先が器用で、細かい作業にも対応できると評価されています。
💡 参考記事インドネシア人ドライバーの特徴や強みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
Q3. トラック、タクシー、バスで要件は違いますか?
A. はい、業務区分ごとに必要な運転免許と試験内容が異なります。
特定技能(自動車運送業分野)には、3つの業務区分があり、それぞれ要件が異なります。
業務区分 | 必要な運転免許 | 主な業務内容 |
トラック運転者 | 第一種運転免許(普通・準中型・中型・大型) | 貨物自動車の運転、荷物の積み下ろし、配送、伝票処理など |
タクシー運転者 | 第二種運転免許(普通) | 旅客輸送、接客、運賃精算、予約対応など |
バス運転者 | 第二種運転免許(中型・大型) | 旅客輸送、案内、安全確認、乗客対応など |
試験について:特定技能評価試験も、業務区分ごとに分かれています。トラックドライバーを採用したい場合は、トラック区分の試験に合格している候補者を選ぶ必要があります。
タクシーやバスは第二種運転免許が必要なため、トラックよりも取得のハードルがやや高くなります。その分、専門性の高い人材として活躍が期待できます。
Q4. 日本語能力はどのくらい必要ですか?
A. 日本語能力試験N4レベル(またはJFT-Basic)が必須です。
特定技能1号の要件として、以下のいずれかの日本語能力を証明する必要があります:
日本語能力試験(JLPT)N4以上に合格
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)で一定以上の成績
N4レベルとは?N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルです。具体的には:
基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の身近な話題の文章を読んで理解できる
ゆっくり話される会話であれば、内容がほぼ理解できる
簡単な日常会話ができる
業務での日本語は?N4レベルは基礎的な日常会話レベルなので、業務で使う専門用語や、配送先での細かいやり取りについては、別途教育が必要です。しかし、これは日本人の新入社員でも同じことです。
継続的な日本語研修と、実務を通じた学習により、数ヶ月で業務に必要なコミュニケーションは十分に可能になります。
Q5. うちの会社でも受け入れられますか?受入企業の要件は?
A. 自動車運送事業の許可を持っていれば、基本的に受け入れ可能です。
特定技能ドライバーを受け入れるための主な企業要件は以下の通りです:
必須要件:
自動車運送事業者としての許可道路運送法に基づく事業許可を保有していることが必須です。トラック、タクシー、バスいずれかの事業許可が必要です。
協議会への加入特定技能外国人を受け入れた後、4ヶ月以内に「自動車運送業分野特定技能協議会」に加入する義務があります。
適切な雇用条件日本人と同等以上の報酬、社会保険・労働保険への加入など、労働関係法令を遵守する必要があります。
支援計画の策定と実施外国人材に対する生活支援、日本語教育などの支援計画を策定し、実施する義務があります(登録支援機関への委託も可能)。
推奨事項:
働きやすい職場認証制度の認証取得国土交通省が実施する認証制度で、労働環境改善に取り組む事業者を認定します。必須ではありませんが、取得していると外国人材からの信頼度が高まります。
中小企業でも大丈夫?はい、企業規模に関係なく受け入れ可能です。むしろ、人手不足に悩む中小企業こそ、特定技能制度を活用すべきです。支援計画の実施が負担であれば、登録支援機関に委託することで、小規模な企業でも安心して受け入れられます。
2.採用の進め方Q&A

Q6. どこで候補者を探せばいいですか?
A. 主に3つの方法があります。初めての企業は人材紹介会社の活用がおすすめです。
方法①:人材紹介会社の活用(最も一般的)
特定技能外国人の紹介を専門に行う人材紹介会社を利用する方法です。
メリット:候補者の募集、選考、面接調整、在留資格申請、研修など、一連のプロセスを一括でサポートしてもらえる。初めての企業でも安心。
デメリット:紹介手数料がかかる。
おすすめ度:★★★★★(特に初めての企業に最適)
方法②:海外の送り出し機関経由
候補者の母国にある「送り出し機関」を通じて直接採用する方法です。
メリット:紹介手数料を抑えられる可能性がある。
デメリット:海外とのやり取りが必要で、言語や文化の壁がある。在留資格申請などの手続きを自社で行う必要がある。現地機関の信頼性の見極めが難しい。
おすすめ度:★★☆☆☆(ノウハウのある企業向け)
方法③:国内在住の候補者から直接募集
既に日本に滞在している外国人(留学生、技能実習修了者など)を直接募集する方法です。
メリット:既に日本にいるため、採用までのリードタイムが短い。日本語能力が比較的高い場合が多い。
デメリット:候補者の数が限られる。運転免許の有無によって採用スケジュールが変わる。
おすすめ度:★★★☆☆(タイミングが合えば良い選択肢)
初めての企業へのアドバイス:特定技能ドライバーの採用が初めての場合は、人材紹介会社の活用を強くおすすめします。採用プロセス全体をサポートしてもらえるため、失敗のリスクを最小限に抑えられます。
Q7. 採用から業務開始までどのくらいかかりますか?
A. ケースによって異なりますが、6〜12ヶ月が目安です。
採用から業務開始までの期間は、候補者の状況によって大きく異なります。
パターン①:海外在住者(日本の運転免許なし)を採用する場合
所要期間:約6〜12ヶ月
ステップ | 所要期間 |
募集・選考・面接 | 1〜2ヶ月 |
在留資格申請(特定活動55号) | 1〜3ヶ月 |
入国・日本での運転免許取得 | 3〜6ヶ月(トラック) 6〜12ヶ月(タクシー・バス) |
初任運転者研修 | 数日〜1週間 |
在留資格変更(特定技能1号) | 1〜2ヶ月 |
業務開始 | - |
トラックドライバーの場合、運転免許取得までの期間が最長6ヶ月と定められているため、比較的短期間で業務開始できます。タクシー・バスは第二種免許が必要なため、最長1年かかる場合があります。
パターン②:国内在住者(日本の運転免許あり)を採用する場合
所要期間:約3〜6ヶ月
ステップ | 所要期間 |
募集・選考・面接 | 1〜2ヶ月 |
在留資格変更申請(特定技能1号) | 1〜3ヶ月 |
初任運転者研修 | 数日〜1週間 |
業務開始 | - |
既に日本の運転免許を持っている候補者の場合、免許取得のプロセスが不要なため、大幅に期間を短縮できます。
計画的なスケジュール管理を特定技能ドライバーの採用は、日本人の採用よりも時間がかかります。「来月から働いてほしい」という即戦力採用は難しいため、半年〜1年先を見据えた計画的な採用活動が必要です。
Q8. 運転免許はどうやって取得するのですか?
A. 多くの場合、母国の免許から日本の免許に切り替えます。
特定技能ドライバーの運転免許取得には、主に2つのパターンがあります。
パターン①:母国の運転免許からの切替(最も一般的)
多くの候補者は、母国で既に運転免許を取得しています。この場合、日本の運転免許への「切替」手続きを行います。
切替の流れ:
母国の運転免許証と必要書類の準備
母国の運転免許証(翻訳文が必要)
取得から3ヶ月以上その国に滞在していたことの証明
運転免許試験場での手続き
適性検査(視力検査など)
知識確認(学科試験に相当)
技能確認(実技試験に相当)
免許証の交付
合格すれば日本の運転免許証が交付される
国によって試験内容が異なる:国際運転免許に関する条約(ジュネーブ条約)に加盟している国の場合、実技試験が免除されることがあります。それ以外の国では、実技試験が必要です。
所要期間:
トラック運転者:最長6ヶ月
タクシー・バス運転者:最長1年
この期間中は「特定活動55号」の在留資格で滞在します。
パターン②:日本で新規取得(教習所)
母国で運転免許を持っていない場合や、切替が難しい場合は、日本の教習所で新規に取得します。
教習所での学科教習・技能教習
所要期間:通常2〜3ヶ月程度
費用:30万円前後(免許の種類による)
💡 参考記事運転免許取得の詳しいプロセスについては、外国人ドライバーの免許取得までの流れで解説しています。
企業のサポートが重要:運転免許の取得は、外国人にとって大きなハードルです。試験場への同行、練習のサポート、費用の負担など、企業側の積極的なサポートが成功の鍵となります。
Q9. 面接はどのように行うのですか?
A. オンライン面接が一般的です。通訳を介して実施することもできます。
海外在住の候補者を採用する場合、面接はオンライン(Zoom、Skype、Google Meetなど)で行うのが一般的です。
面接の進め方:
事前準備
候補者の履歴書・職務経歴書を確認
質問項目をリストアップ
通訳の手配(必要に応じて)
面接の実施
自己紹介、志望動機の確認
母国での運転経験の詳細(車両の種類、運転年数、業務内容など)
日本で働く意欲、日本語学習の状況
人柄、コミュニケーション能力の確認
候補者からの質問
仕事内容、給与、住居、生活環境などについての質問に答える
候補者の不安を解消することも重要
確認すべきポイント:
運転経験:何年運転しているか、どんな車両を運転していたか
事故歴:過去に重大な事故を起こしていないか
日本語能力:試験の点数だけでなく、実際のコミュニケーション能力
人柄:真面目さ、誠実さ、協調性
家族構成:母国に家族がいる場合、定着率が高い傾向がある
健康状態:長時間の運転業務に耐えられる体力があるか
通訳の活用:候補者の日本語能力がまだ十分でない場合、通訳を介して面接を行うことができます。人材紹介会社を利用する場合、通訳の手配もサポートしてもらえます。
現地面接も可能:必要であれば、候補者の母国に出向いて対面面接を行うこともできます。複数の候補者をまとめて面接する場合などに有効です。
Q10. 在留資格の申請は難しいですか?
A. 書類が多く複雑ですが、専門家のサポートがあれば問題ありません。
在留資格の申請は、確かに複雑です。必要な書類が多く、記載内容にも細かいルールがあります。しかし、行政書士や人材紹介会社のサポートを活用すれば、企業側の負担は最小限に抑えられます。
主な必要書類(例):
企業側が準備する書類:
雇用契約書
賃金台帳、源泉徴収票(既存従業員分)
会社の登記事項証明書
決算書
労働条件説明書
支援計画書
協議会への加入証明(受入後)
その他、事業内容を証明する書類
候補者側が準備する書類:
パスポート
特定技能評価試験の合格証明書
日本語能力試験の合格証明書
母国の運転免許証(該当する場合)
健康診断書
履歴書
その他
申請の流れ:
書類の準備(1〜2ヶ月)
地方出入国在留管理局への申請
審査(通常1〜3ヶ月)
結果通知
在留カードの交付
審査のポイント:
企業の経営状況が安定しているか
適切な雇用条件が設定されているか
支援計画が適切に策定されているか
候補者が要件を満たしているか
不許可になることもある?書類に不備がある場合や、企業の経営状況に問題がある場合、不許可になる可能性があります。しかし、適切に準備すれば、不許可になるケースは多くありません。
専門家の活用を強くおすすめ:在留資格申請は、行政書士の専門分野です。多少の費用はかかりますが、確実性とスピードを考えれば、専門家に依頼する価値は十分にあります。
3.お金に関するQ&A

Q11. 採用にどのくらいの費用がかかりますか?
A. ケースによって異なりますが、総額で100万円〜200万円程度が目安です。
特定技能ドライバーの採用には、通常の日本人採用とは異なる費用がかかります。主な費用項目を見ていきましょう。
主な費用項目:
費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
人材紹介手数料 | 30万円〜80万円 | 紹介会社を利用する場合 |
在留資格申請費用 | 10万円〜30万円 | 行政書士報酬含む |
運転免許取得費用 | 10万円〜30万円 | 教習所利用の場合はさらに高額 |
初任運転者研修費用 | 5万円〜15万円 | 外部機関に委託する場合 |
日本語研修費用 | 10万円〜30万円 | 来日前・来日後の研修 |
渡航費用 | 5万円〜15万円 | 航空券など |
住居準備費用 | 20万円〜50万円 | 敷金・礼金、家具家電など |
登録支援機関委託費用 | 月2万円〜4万円 | 年間24万円〜48万円 |
総額の目安:
初年度:100万円〜200万円程度
2年目以降:登録支援機関委託費用のみ(月2〜4万円)
助成金の活用:自動車運送業分野では、外国人材の受け入れに関する助成金が利用できる場合があります。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
各自治体独自の助成金・補助金
助成金を活用することで、実質的な負担を大きく軽減できる可能性があります。詳しくは、社会保険労務士や人材紹介会社に相談してみましょう。
長期的な視点で考える:初期投資は確かに必要ですが、5年間雇用できることを考えれば、年間20万円〜40万円程度の投資です。人手不足により配送を断る機会損失や、頻繁な採用活動のコストと比較すれば、十分に合理的な投資と言えるでしょう。
Q12. 給与はどのくらい支払う必要がありますか?
A. 日本人ドライバーと同等以上の報酬が必須です。
特定技能外国人の給与は、「日本人が従事する場合と同等以上」であることが法律で定められています。「外国人だから安く雇える」という考え方は、明確な法律違反です。
給与水準の考え方:
同じ業務に従事する日本人ドライバーと同等以上
地域の相場(最低賃金以上は当然)
経験年数やスキルに応じた適正な水準
業務内容(長距離、夜勤などの有無)に応じた手当
具体的な金額の目安:
地域や業務内容によって大きく異なりますが、一般的には:
トラックドライバー:月給25万円〜40万円
タクシードライバー:月給20万円〜35万円(歩合制の場合もあり)
バスドライバー:月給25万円〜40万円
これに残業手当、各種手当が加算されます。
社会保険・労働保険への加入も義務:
健康保険
厚生年金保険
雇用保険
労災保険
これらの保険料(企業負担分)も、コストとして考慮する必要があります。
昇給について:日本人と同様に、勤続年数や能力に応じた昇給を行うことが望ましいです。適切な評価と処遇により、モチベーションと定着率が高まります。
Q13. 住居の用意は必要ですか?
A. はい、企業側で住居を確保する必要があります。
特定技能外国人の受け入れにあたり、「住居確保に関する支援」は企業の義務とされています。具体的には、以下のいずれかの方法で住居を用意します。
方法①:社宅の提供
企業所有の社宅や寮を提供
光熱費込みで月1〜3万円程度の自己負担が一般的
方法②:賃貸物件の借り上げ
企業が賃貸契約を結び、外国人材に貸与
企業が連帯保証人になるケースが多い
家賃の一部を本人負担とすることも可能
住居費の負担方法:
全額企業負担
一部本人負担(家賃の30〜50%程度を給与から控除)
どちらの方法を取るかは企業の判断ですが、日本人社員との公平性を考慮する必要があります。
初期費用のサポート:
賃貸物件を借りる場合、以下の初期費用がかかります:
敷金・礼金(家賃の2〜4ヶ月分)
仲介手数料(家賃の1ヶ月分)
火災保険料
保証会社利用料
これらの費用は、通常企業側が負担します。
家具・家電の準備:
来日直後の外国人は、生活に必要な家具・家電を持っていません。最低限必要なものを企業側で準備するか、購入費用をサポートすることが一般的です。
寝具(布団またはベッド)
冷蔵庫、洗濯機
調理器具、食器
エアコン(物件に備え付けがない場合)
💡 参考記事生活立ち上げ支援の具体的な内容については、日本で携帯・銀行口座を作るには?をご参照ください。
Q14. その他にかかる費用はありますか?
A. 生活立ち上げ支援や、継続的な教育にも費用がかかります。
住居以外にも、以下のような費用が発生します。
生活立ち上げ支援費用(初期のみ):
携帯電話契約のサポート
契約手続きの同行
初期費用のサポート(1〜2万円程度)
銀行口座開設のサポート
口座開設手続きの同行
必要書類の準備サポート
住民登録などの行政手続きサポート
市役所への同行
マイナンバーカードの取得サポート
生活必需品の購入
日用品、衣類、自転車など
5〜10万円程度
継続的にかかる費用:
日本語教育費用
社内研修:教材費、講師謝礼など
外部の日本語学校:月1〜3万円程度
オンライン学習サービス:月数千円
定期面談などのフォロー費用
登録支援機関に委託する場合:月2〜4万円
自社で実施する場合:人件費(時間コスト)
健康診断費用
年1回の定期健康診断(日本人と同じ)
1回5千円〜1万円程度
帰国・再入国の渡航費
母国への一時帰国を希望する場合
企業負担とするか本人負担とするかは判断による
総合的なコスト管理を:これらの費用は、予算として事前に確保しておく必要があります。登録支援機関に委託すれば、多くの支援業務を代行してもらえるため、社内の時間コストを削減できます。
4.配属後の実務Q&A

Q15. どんな業務に従事させられますか?
A. 事業用自動車の運転と、それに付随する業務に従事させることができます。
特定技能ドライバーは、各業務区分における事業用自動車の運転業務と、それに付随する業務全般に従事させることができます。
トラック運転者の場合:
主たる業務:貨物自動車の運転
付随業務:
荷物の積み込み・積み下ろし
荷物の仕分け
配送伝票の処理
車両の日常点検
配送ルートの確認
荷主・配送先との簡単なやり取り
タクシー運転者の場合:
主たる業務:旅客輸送(乗用車の運転)
付随業務:
旅客の接客対応
運賃の精算
予約の受付・対応
ナビゲーションの操作
車両の清掃・点検
観光案内(インバウンド対応)
バス運転者の場合:
主たる業務:旅客輸送(バスの運転)
付随業務:
旅客の乗降案内
安全確認
車内アナウンス
運賃の収受
車両の点検・清掃
観光案内(観光バスの場合)
注意点:「付随業務」はあくまで運転業務に付随するものであり、運転とは無関係な単純作業のみに従事させることはできません。例えば、倉庫内での仕分け作業のみ、事務作業のみといった業務は認められません。
Q16. 日本人と同じ業務をさせて大丈夫ですか?
A. はい、むしろ日本人と同等の業務に従事させることが前提です。
特定技能制度は、「即戦力として働ける外国人材」を受け入れる制度です。したがって、日本人ドライバーと同じ業務に従事させることが前提となっています。
同等の業務をさせるべき理由:
制度の趣旨特定技能は「人手不足の解消」が目的です。日本人と同じ業務をこなせる人材を受け入れることが期待されています。
報酬の同等性日本人と同等以上の報酬を支払う義務があります。これは、同等の業務に従事することが前提となっています。
職場への溶け込み特別扱いをせず、一人のドライバーとして対等に接することが、職場への溶け込みを促進します。
配慮すべき点:
ただし、以下のような配慮は必要です:
言葉の壁:配送先での細かいやり取りが苦手な場合、サポート体制を整える
文化的背景:宗教上の配慮(祈りの時間、食事制限など)
慣れるまでの期間:最初の数ヶ月は、ベテランドライバーのサポートを受けながら徐々に独り立ちさせる
特別扱いは逆効果:「外国人だから簡単な仕事だけ」という特別扱いは、本人のモチベーションを下げ、日本人社員との関係も悪化させる可能性があります。適切な教育とサポートの下で、日本人と同等に活躍してもらうことが重要です。
Q17. 事故を起こした場合の責任は?
A. 日本人ドライバーと同じ扱いです。適切な保険でカバーします。
外国人ドライバーが事故を起こした場合の責任や対応は、基本的に日本人ドライバーと同じです。
保険でのカバー:
運送事業者は、以下の保険に加入しているはずです:
自賠責保険(強制保険)
任意保険(対人・対物・車両保険など)
貨物保険(トラックの場合)
これらの保険は、運転者が日本人であろうと外国人であろうと、同様に適用されます。
事故後の対応:
負傷者の救護、警察への通報(日本人と同じ)
会社への報告
保険会社への連絡
事故原因の調査
再発防止策の検討
外国人特有の配慮:
言葉の壁:警察とのやり取りで通訳が必要な場合がある
心理的サポート:異国での事故は大きなストレスになるため、メンタルケアが重要
事故対応マニュアルの多言語化:事前に準備しておくと安心
事故のリスク管理:
事故を防ぐための対策は、日本人・外国人に関わらず重要です:
デジタルタコグラフでの運行管理
ドライブレコーダーの設置
定期的な安全講習
健康管理の徹底
適切な休憩時間の確保
実際の事故率は?適切な教育を受けた外国人ドライバーの事故率は、日本人ドライバーと比較して特に高いというデータはありません。むしろ、慎重に運転する傾向があるという報告もあります。
Q18. 日本の交通ルールに慣れてもらうには?
A. 段階的な教育とフォローが重要です。
外国人ドライバーが日本の交通ルールや運転習慣に慣れるためには、計画的な教育とフォロー体制が必要です。
教育の段階:
ステップ①:初任運転者研修(業務開始前)
日本の交通法規の基礎
安全運転の基本
車両の日常点検方法
事故時の対応手順
配送業務の流れ
通常、数日〜1週間程度の集中研修を行います。
ステップ②:OJT(業務開始後の実地訓練)
ベテランドライバーが同乗し、実際のルートで指導
配送先での対応方法を実践的に学ぶ
地域特有の道路事情や注意点を伝える
最初の1〜2ヶ月は、できるだけ同乗指導を行う
ステップ③:独り立ち後の継続フォロー
定期的な安全講習の実施
ヒヤリハット事例の共有
運転記録(デジタコ)のチェックとフィードバック
困っていることがないか、定期面談で確認
外国人がよく間違えるポイント:
左側通行:多くの国は右側通行なので、最初は戸惑う
一時停止の徹底:母国では比較的緩い国も多い
歩行者優先:横断歩道での歩行者優先が徹底されていない国もある
狭い道でのすれ違い:日本特有の狭い道路での運転技術
複雑な交差点や高速道路の合流:日本の交通量の多さに慣れが必要
💡 参考記事外国人ドライバーがよく間違えやすい交通ルールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
教材の工夫:
動画教材の活用(視覚的に理解しやすい)
平易な日本語やイラストを使ったマニュアル
母国語での補足説明(重要な部分)
焦らず、段階的に:日本の運転に完全に慣れるまでには、数ヶ月かかるのが普通です。焦らず、段階的に教育していくことが大切です。
Q19. 夜勤や長距離運行も可能ですか?
A. はい、労働基準法の範囲内であれば可能です。
特定技能ドライバーは、日本人ドライバーと同様に、夜勤や長距離運行にも従事させることができます。
労働時間の制限:
特定技能外国人だからといって、特別な制限はありません。日本人と同じく、労働基準法が適用されます。
法定労働時間:1日8時間、週40時間が原則
時間外労働:36協定を締結していれば、一定時間内で可能
2024年問題:ドライバーの時間外労働は年960時間が上限
夜勤について:
夜勤も問題なく可能です。ただし、以下の点に配慮が必要です:
深夜労働に対する割増賃金の支払い(25%以上)
健康管理の徹底(定期的な健康診断)
十分な休息時間の確保
長距離運行について:
長距離運行も可能です。ただし、以下の点に注意が必要です:
改善基準告示(ドライバーの労働時間改善基準)の遵守
連続運転時間(4時間以内)の管理
休憩時間の確保
宿泊を伴う場合の宿泊手配
文化的・宗教的配慮:
特に、イスラム教徒の外国人材の場合、以下の配慮が望ましいです:
礼拝の時間:1日5回の礼拝が必要な場合がある(短時間で済む)
食事制限:ハラール対応の食事(豚肉・アルコール不可)
断食月(ラマダン):日中の飲食を控える期間がある
これらは、事前に本人とよく話し合い、可能な範囲で配慮することで、十分に対応可能です。
実際の働き方:多くの外国人ドライバーは、「日本でしっかり働いて稼ぎたい」という意欲が高く、夜勤や長距離も積極的に引き受ける傾向があります。ただし、無理をさせすぎないよう、健康管理には十分注意が必要です。
5.受入後のフォローQ&A

Q20. 日本語教育は継続的に必要ですか?
A. はい、継続的な日本語教育が定着の鍵です。
特定技能の要件としてN4レベルが求められますが、これは基礎的なレベルです。業務で必要なコミュニケーションをスムーズに行うためには、継続的な日本語教育が重要です。
継続教育が必要な理由:
業務で使う専門用語の習得
配送、荷扱い、車両点検などの専門用語
配送先とのやり取りで使うフレーズ
社内の連絡で使う言葉
日本語能力のさらなる向上
N3、N2レベルを目指すことで、より円滑なコミュニケーションが可能に
日本語能力が高いほど、職場での活躍の幅が広がる
モチベーションの維持
「会社が成長をサポートしてくれる」という実感が、定着につながる
具体的な教育方法:
社内研修:
週1回、業務終了後に30分〜1時間程度
業務で使う用語を中心に教育
ベテラン社員が講師を務める
外部の日本語学校:
週1〜2回、夜間や休日のクラスに通う
費用は企業が全額または一部負担
N3、N2の資格取得を目指す
オンライン学習:
スマホアプリやオンライン教材を活用
隙間時間に自主学習
費用は月数千円程度
費用対効果:日本語教育への投資は、コミュニケーション能力の向上、業務効率の改善、定着率の向上という形でリターンがあります。決して無駄な投資ではありません。
Q21. 生活面でどんなサポートが必要ですか?
A. 生活立ち上げから日常的な困りごとまで、幅広いサポートが必要です。
外国人材が日本での生活に慣れるまでには、様々なサポートが必要です。
来日直後の生活立ち上げサポート:
行政手続き
市役所での住民登録
マイナンバーカードの取得
健康保険の加入手続き
生活インフラの整備
携帯電話の契約
銀行口座の開設
電気・ガス・水道の契約
生活ルール・マナーの教育
ゴミの分別方法
騒音への配慮
自転車の交通ルール
近隣住民との付き合い方
生活必需品の購入サポート
スーパー、コンビニ、100円ショップへの案内
買い物の仕方の説明
日常的なサポート:
病院受診時のサポート
病院の予約や受診の同行
症状の説明のサポート
保険証の使い方の説明
困りごと相談の窓口
社内に相談窓口を設置
または登録支援機関が対応
日本語、できれば母国語での対応
母国の家族との連絡環境
国際電話やビデオ通話の方法を案内
送金方法のサポート
日本の季節への対応
冬の寒さ対策(暖房器具、防寒着)
夏の暑さ対策(エアコン、水分補給)
文化交流の促進:
歓迎会の開催
日本人社員との交流機会の創出
地域のイベントへの参加
孤立させないことが重要:外国人材が孤立してしまうと、ホームシックになったり、不安やストレスを抱え込んだりします。定期的にコミュニケーションを取り、困っていることがないか確認することが大切です。
Q22. 登録支援機関とは何ですか?使うべきですか?
A. 外国人材の支援を専門に行う機関です。初めての受け入れなら活用がおすすめです。
登録支援機関とは:
出入国在留管理庁に登録された、特定技能外国人の支援を専門に行う機関です。企業に代わって、法律で定められた「支援計画」を実施します。
主な支援内容:
事前ガイダンス(雇用契約締結後、入国前)
出入国時の送迎
住居確保・生活に必要な契約支援
生活オリエンテーション
日本語学習の機会提供
相談・苦情への対応
日本人との交流促進
転職支援(雇用契約解除時)
定期的な面談の実施(3ヶ月に1回以上)
費用:
月額2万円〜4万円程度(支援内容により異なる)
使うべきか?
以下のような企業には、登録支援機関の活用を強くおすすめします:
✅ 初めて外国人材を受け入れる企業ノウハウがないため、専門家のサポートが必要
✅ 人事担当者が少ない中小企業支援業務を自社で行う人的余裕がない
✅ 外国語対応が難しい企業登録支援機関には、外国語が話せるスタッフがいる
✅ 法令遵守を確実にしたい企業支援義務を怠ると、次の受け入れができなくなる可能性がある
自社で支援を行う場合:
大企業や、既に外国人材の受け入れ経験が豊富な企業は、自社で支援を行うことも可能です。ただし、以下の要件を満たす必要があります:
過去2年以内に、中長期在留者の受入実績がある
支援を適正に実施できる体制がある
支援責任者と支援担当者を選任している
まずは登録支援機関に委託を:初めての受け入れの場合、まずは登録支援機関に委託し、ノウハウを学ぶことをおすすめします。2人目、3人目の受け入れ時に、自社での支援に切り替えることも可能です。
Q23. 途中で辞めてしまうことはありますか?
A. 適切なサポートがあれば、定着率は高いです。
「せっかく採用したのに、すぐに辞められたら困る」という不安は当然です。しかし、特定技能外国人は、適切なサポートがあれば定着率が高いというデータがあります。
定着率が高い理由:
日本での就労機会を貴重に考えている母国での収入と比較して、日本での給与は魅力的です。簡単には辞めたくないと考えています。
家族を支えるという責任感母国に家族を残して来日している場合、「家族のために頑張らなければ」という強い動機があります。
長期的なキャリアを考えている5年間日本で働けば、母国に帰国後のキャリアにも有利になります。
転職のハードルが高い在留資格の手続きなど、転職には手間がかかるため、安易な転職は少ない。
早期退職を防ぐポイント:
定期的な面談の実施
3ヶ月に1回以上、必ず面談を行う
仕事の悩み、生活の困りごとを早期にキャッチ
良好な職場環境の維持
日本人社員との関係構築
公平な評価と処遇
ハラスメントの防止
適切な日本語教育・スキルアップ機会
「成長できる」という実感が定着につながる
生活面での継続的サポート
困ったときに相談できる環境
むしろ日本人より定着率が高いケースも:適切なサポート体制がある企業では、外国人材の定着率が日本人ドライバーよりも高いというケースも報告されています。
Q24. 転職されることはありますか?
A. 制度上は転職可能ですが、適切な待遇と職場環境があれば転職リスクは低いです。
転職の可否:
特定技能1号は、同一分野内であれば転職が認められています。つまり、自動車運送業分野内での転職は可能です。
ただし、転職する場合は以下の手続きが必要です:
在留資格変更申請(転職先での雇用契約に基づく)
出入国在留管理局での審査
協議会への新たな加入(転職先企業)
これらの手続きには時間と手間がかかるため、気軽に転職できるわけではありません。
転職リスクを下げる方法:
適切な報酬の支払い
日本人と同等以上の給与
業績や能力に応じた昇給
良好な労働環境
過度な長時間労働の防止
適切な休日の確保
ハラスメントのない職場
キャリアパスの提示
5年間でどのように成長できるかを示す
スキルアップの機会を提供
コミュニケーションの充実
定期的な面談で不満や悩みを早期発見
改善できることは速やかに対応
他社からの引き抜きは?
特定技能ドライバーの数がまだ少ない現在、優秀な外国人ドライバーは貴重です。他社から引き抜きの話が来る可能性はゼロではありません。
しかし、適切な待遇と良好な職場環境を提供していれば、転職のリスクは低いです。日本人ドライバーの引き留めと同じく、働きやすい職場を作ることが最大の予防策です。
転職されても次がある:万が一転職されてしまっても、1人目の受け入れで得たノウハウは残ります。2人目以降の受け入れはよりスムーズになるはずです。
6.不安や疑問は専門家にご相談ください

ここまで、特定技能ドライバー採用に関するよくある質問に、24項目にわたってお答えしてきました。制度の基本から、採用プロセス、コスト、業務管理、定着支援まで、幅広くカバーしています。
多くの疑問が解消されたのではないでしょうか。
それでも、「自社の状況で本当にうまくいくのか」「個別に相談したいことがある」という不安や疑問があるのは当然です。
特ドラワークスは、特定技能ドライバー専門の紹介サービスです。 採用前の相談から、採用プロセスの全面サポート、配属後のフォローまで、一貫してサポートいたします。
主なサポート内容:
✅ 無料相談・カウンセリング貴社の状況をお聞きし、最適な採用プランをご提案します。
✅ 候補者の紹介・マッチング厳選された候補者の中から、貴社のニーズに合った人材をご紹介します。
✅ 採用プロセス全体のサポート面接の調整、在留資格申請、運転免許取得支援など、採用に必要なすべての手続きをサポートします。
✅ 研修・教育の実施日本語研修、安全運転研修、初任運転者研修など、業務に必要な教育を実施します。
✅ 配属後の定期フォロー定期面談を行い、早期に問題を発見・解決します。企業様と外国人材の両方をサポートすることで、高い定着率を実現します。
💡 詳しい情報はこちら特定技能ドライバー採用に関する詳しい情報は、特ドラワークス公式ブログで随時更新しています。実践的なノウハウや最新情報をぜひご覧ください。
「初めて」でも安心してお任せいただけます。 豊富な実績と現場で培ったノウハウを活かし、貴社の特定技能ドライバー採用を成功に導きます。
7.まとめ:疑問が解消されたら、次は行動へ

この記事では、特定技能ドライバー採用に関する主な疑問に、Q&A形式でお答えしてきました。
この記事でカバーした内容:
制度の基本(雇用期間、対象国、要件など)
採用プロセス(候補者の探し方、期間、免許取得、在留資格申請など)
コスト(採用費用、給与、住居、その他の費用)
業務管理(従事できる業務、事故対応、安全管理など)
定着支援(日本語教育、生活サポート、登録支援機関、退職・転職リスクなど)
「わからない」が「わかった」に変わったのではないでしょうか。
次のステップは、具体的な検討と行動です。
情報収集の段階から、実際の採用検討の段階へ。そして、最初の一歩を踏み出す決断へ。
人手不足は待ってくれません。今動き出すことが、会社の未来を守ることにつながります。
まずは、専門家に相談することから始めましょう。
次のアクション
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