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特定技能外国人材を"戦力化"できる企業・できない企業の決定的な違い

  • sou takahashi
  • 6 日前
  • 読了時間: 8分
特定技能外国人材を"戦力化"できる企業・できない企業の決定的な違い

目次


外食・製造・建設・介護など、あらゆる業界で人手不足が常態化する中、特定技能外国人材の採用は「採用手段」として一般化しました。しかし現場では、「採用できたのに定着しない」「思っていたのと違う」という声が後を絶ちません。


同じ制度を使っているのに、なぜ成果に差が生まれるのか?その答えは、「制度の理解度」ではなく「運用設計の品質」にあります。


本記事は制度解説ではありません。特定技能外国人材を本当の意味で「戦力化」できる企業と、できない企業を分ける経営判断の分かれ道を整理します。


1.同じ制度でも成果が分かれる理由(結論:運用設計の差)


同じ制度でも成果が分かれる理由(結論:運用設計の差)

特定技能は「雇えば解決」ではなく「運用で差が出る制度」

特定技能制度は「即戦力」を前提として設計されています。しかし、「即戦力=入社初日から100%活躍できる」ではありません。技能試験に合格していても、実際の現場環境への適応、日本語でのコミュニケーション、職場文化の理解には時間がかかります。


特定技能外国人材を採用すると、企業には以下の責任が発生します。

  • 生活支援:住居確保、生活オリエンテーション、行政手続きサポート

  • 就労支援:業務指導、日本語教育、相談対応

  • 業務範囲の適正管理:主たる業務と付随業務の区分

  • 同等報酬:日本人と同等以上の賃金体系

  • 各種手続き:定期面談、行政報告、在留資格管理


これらは法令で義務化されているだけでなく、外国人材が安心して働き、戦力として成長するための「土台」です。この土台づくりを怠ると、どれだけ優秀な人材を採用しても成果は出ません。



「採用」がゴール化すると、ほぼ確実にズレる


「とにかく人が足りない」という切迫感から、採用すること自体が目的化してしまうケースが非常に多く見られます。しかし、採用はスタートであり、ゴールではありません

人員補充だけを目的化した採用では、配属後の設計が薄くなります。その結果、以下のような問題が連鎖的に発生します。



採用後の設計が不十分だと、1人あたり100〜150万円の採用コストが無駄になり、さらに再採用で同額のコストが発生します。これは経営リスクそのものです。


2.戦力化できる企業の共通点(経営層が先に決めている)


戦力化できる企業の共通点(経営層が先に決めている)

特定技能外国人材を確実に戦力化できている企業には、明確な共通点があります。それは、採用前に「運用設計」が完了していることです。



① 業務設計が"業務分解レベル"でできている


特定技能制度では、「主たる業務」と「付随業務」の区分が法令で明確に定められています。戦力化できる企業は、この区分を具体的な作業レベルまで落とし込んでいます。



「とりあえず何でも」という曖昧な指示は、法令違反リスクと本人のモチベーション低下を同時に引き起こします。業務範囲を明確にし、現場と共有することが、戦力化の第一歩です。


② 受け入れの90日設計(立ち上げ計画)がある


特定技能外国人材の定着は、最初の3ヶ月でほぼ決まります。この期間に「職場に馴染めた」「成長を実感できた」と感じてもらえるかが、その後の活躍を左右します。

戦力化できる企業は、初日から3ヶ月までの成長シナリオを明確に設計しています。



この90日設計があることで、本人も成長の道筋が見え、現場も指導の方針が明確になります。逆に、この設計がないと「何をどこまで教えればいいのか分からない」状態になり、現場が疲弊します。


③ 日本語の前提を現実に合わせている(指示設計がある)


特定技能外国人材の多くは日本語能力試験N4レベル(基本的な日本語が理解できる程度)です。しかし、N4は万能ではありません。日常会話はできても、専門用語や方言、早口の指示は理解が難しいことがあります。

戦力化できる企業は、日本語レベルに合わせた「指示設計」を行っています。



「日本語が通じない」という不満の多くは、指示する側の工夫不足が原因です。現場の負担を減らし、ミスを防ぐためにも、指示設計は不可欠です。


④ 現場を巻き込む仕組みがある(メンター・窓口・評価)


特定技能外国人材の受け入れを「人事部の仕事」「現場任せ」にすると、必ず失敗します。戦力化できる企業は、現場を巻き込む仕組みを制度化しています。

  • メンター制度: 1対1で相談できる先輩社員を配置

  • 相談窓口の明確化: 業務の悩み、生活の困りごとを誰に相談すればいいか明示

  • 定期面談の実施: 月1回、進捗確認と悩みのヒアリング

  • 評価基準の明確化: 昇給・役割拡張のルールを文書化し、不公平感を予防



⑤ 支援体制を内製/外部で設計し、責任分界が明確


特定技能外国人材の受け入れには、義務的支援(生活オリエンテーション、定期面談、行政報告など)が法令で定められています。多くの企業は登録支援機関に委託しますが、受け入れ企業が責任主体であることに変わりはありません。

戦力化できる企業は、支援の役割分担を文書化しています。



「登録支援機関に丸投げ」では、トラブルの初動が遅れ、重大な問題に発展するリスクがあります。



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3.戦力化できない企業の共通点(失敗は"人材"より"構造")


戦力化できない企業の共通点(失敗は"人材"より"構造")

特定技能外国人材の戦力化に失敗する企業は、「人材の能力不足」ではなく「受け入れ企業側の構造的問題」を抱えているケースがほとんどです。


① 制度理解不足(できる業務・支援・同等待遇の誤解)


最も多い失敗パターンが、「安価な労働力」という誤解です。特定技能は技能実習とは異なり、同等報酬が義務であり、業務範囲も厳格に定められています。


制度理解が不足していると、以下の問題が発生します。

  • 同等報酬の計算を誤り、入管から指摘を受ける

  • 義務的支援を怠り、罰則リスクを抱える

  • 業務範囲を逸脱し、在留資格更新が認められない



② 日本語レベルを甘く見て、現場が消耗する


「N4合格しているから日本語は問題ない」と考えるのは危険です。N4レベルでは、専門用語、方言、早口の指示は理解が難しいことがあります。

日本語レベルを過信した結果、以下のような問題が連鎖します。



この悪循環を防ぐには、日本語レベルに合わせた指示設計が不可欠です。


③ 業務の曖昧さ・現場判断で逸脱(法令リスク)


「忙しいから、ちょっと手伝ってもらおう」という現場判断で、付随業務の比率が高くなるケースが非常に多く見られます。これは法令違反であり、経営リスクです。



業務範囲を明確にし、現場での逸脱を防ぐ仕組み(定期チェック、責任者による確認)が必要です。


④ 登録支援機関へ丸投げ(連携不全)


登録支援機関に委託すれば、義務的支援は実施されます。しかし、「丸投げ」では連携不全が起き、トラブルの初動が遅れます

よくある失敗パターン:

  • 定期面談が形骸化: 登録支援機関が実施しても、企業が内容を確認せず、問題が放置される

  • トラブル初動が遅い: 生活面の困りごとを登録支援機関が把握しても、企業への連絡が遅れる

  • 生活面の火種が放置: 住居トラブル、近隣トラブルが悪化し、職場にも影響



⑤ 短期コスト最優先で判断し、再採用コストが膨らむ


「紹介料が安いから」という理由だけで採用を決めると、ミスマッチが起きやすく、結果的に再採用で倍のコストがかかります

特定技能採用のROI(投資対効果)は、「定着年数 × 戦力化速度」で決まります。



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4.覚悟と設計の違い(戦力化は"経営プロジェクト")


覚悟と設計の違い(戦力化は"経営プロジェクト")

戦力化できる企業は「採用前」に意思決定している


特定技能外国人材の戦力化は、採用後に考えるものではありません。戦力化できる企業は、採用前に以下を明文化しています。

  • 受入目的: 欠員補充なのか、事業拡大なのか、新規出店なのか

  • 任せる業務: 具体的にどの業務を、どこまで任せるのか

  • 育成ゴール: 半年後、1年後、3年後にどんな役割を担ってほしいか

  • キャリアパス: 可能であれば、特定技能2号や永住権取得を視野に入れる



「社内の誰が責任を持つか」が最後に効く


特定技能外国人材の受け入れは、人事だけの仕事でも、現場だけの仕事でもありません。経営層が関与し、責任者を明確にすることが成功の鍵です。


失敗パターンは「人事・現場・経営の分断」です。戦力化できる企業は、責任者と役割分担を明確化しています。





5.「制度」ではなく「経営」の話である(結論)


「制度」ではなく「経営」の話である(結論)

特定技能外国人材の成功は、制度の難易度ではなく、運用の品質で決まります。同じ制度を使っていても、成果に差が出るのはこのためです。


成功企業は「制度を守る」だけでなく、「戦力になる環境」を先に作っています。具体的には以下の3つです。


  • 業務設計: 何を任せ、どう育てるか明確

  • 現場体制: メンター・窓口・評価基準を制度化

  • 支援連携: 企業と登録支援機関の役割分担が明確



6.相談すべきタイミング


相談すべきタイミング

相談が早いほどコストが下がる(失敗の前に止める)


特定技能外国人材の受け入れは、「困ってから相談」では遅いです。トラブルが発生してから対応すると、時間もコストも何倍にも膨らみます。

相談推奨タイミングは以下の通りです。



早い段階で相談すれば、失敗を未然に防ぎ、コストを最小化できます



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