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【特定技能】自動車運送業の未来—海外人材ドライバーの今後と活躍

執筆者の写真: GLORY OF BRIDGEGLORY OF BRIDGE

更新日:2月13日


特定技能ドライバー

 

目次:


 

はじめに:日本の自動車運送業界が直面する課題


2024年問題

日本の自動車運送業界は、深刻な人手不足に直面しています。少子高齢化の影響により、国内の労働人口は年々減少し、特にトラック運転手やバス運転手、タクシー運転手の不足が顕著になっています。この状況を打開するため、政府は2019年に「特定技能」制度を導入し、海外労働者の受け入れを進めてきました。

そして2024年、【特定技能】自動車運送業が対象分野に追加されました。これにより、海外人材がトラック、タクシー、バスの運転業務に従事できるようになり、業界の人材不足の解決が期待されています。本記事では、特定技能制度の詳細、自動車運送業への適用、そして岡山県で誕生したインドネシア人バス運転手の事例について詳しく解説します。


特定技能制度とは?

特定技能制度の概要

特定技能制度は、日本の人手不足が深刻な産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格制度です。この制度には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。


  • 特定技能1号:比較的短期間で習得可能な技能を持つ海外国籍の方が対象。在留期間は最長5年。


  • 特定技能2号:より高度な技能を持つ海外国籍の方が対象。在留期間の更新が可能で、家族の帯同も認められる。


特定技能1号は、現在12の産業分野で導入されており、2024年3月には「自動車運送業」も正式に追加されました。


特定技能1号と自動車運送業


特定技能トラック

適用対象となる業務

自動車運送業において特定技能1号の対象となるのは、以下の3つの業務です。


  1. トラック運転業務

    日本の物流を支えるトラック運送業界は、深刻な人手不足に直面しています。2024年の「物流の2024年問題」により、運転手の労働時間が制限され、業界全体でさらなる人手不足が予想されています。これを解決する手段のひとつとして、政府は特定技能制度を活用し、海外人材の受け入れを促進しています。


    1. 貨物の輸送

    トラック運転業務の主な仕事は、貨物を安全かつ効率的に目的地へ輸送することです。貨物の種類によって、以下のような業務があります。

    • 一般貨物輸送:日用品や食品、工業製品など、幅広い品目を配送。

    • 冷蔵・冷凍輸送:生鮮食品や医薬品など、温度管理が必要な貨物を配送。

    • 危険物輸送:ガソリン、化学薬品など、危険物の運搬(特別な資格が必要)。

    • 重量物・大型貨物輸送:建築資材、大型機械など、大型トラックを使用した輸送。


    2. 運行前後の点検

    トラック運転手は、事故やトラブルを防ぐために運行前後の車両点検を実施します。点検の主な項目は以下の通りです。

    • タイヤの空気圧チェック

    • エンジンオイルや冷却水の確認

    • ブレーキやライト類の動作確認

    • 荷台の積載状態の確認


    3. 積み込み・荷下ろし作業

    運転手自身が荷物の積み込みや荷下ろしを行うケースも多いため、ある程度の体力が求められます。また、フォークリフトを使用する業務もあるため、フォークリフト免許を持っていると業務の幅が広がります


    4. 乗務記録の作成

    トラック運転手は**「運行記録(デジタコ)」や「日報」を作成し、運行の記録を残します。これは労働時間管理や事故防止のために重要な業務**であり、日本語の読み書きスキルが求められます。


    5. 荷主や物流センターとのコミュニケーション

    運行スケジュールの調整、積み荷の確認など、荷主や物流センターとの円滑なコミュニケーションが不可欠です。特に、納品先での対応やトラブル時の連絡など、日本語の会話力も重要です。



  2. タクシー運転業務

    日本のタクシー業界は、深刻なドライバー不足に直面しています。特に地方都市では、高齢化の影響でドライバーの数が減少し、移動手段を確保できない「交通空白地帯」が増加しています。一方で、観光需要の増加やライドシェア規制の緩和などにより、タクシーの役割はますます重要になっています。


    1.乗客の輸送

    タクシードライバーの主な業務は、乗客を安全かつ快適に目的地へ運ぶことです。乗客の種類や目的に応じて、以下のような業務があります。

    • 一般乗客の送迎:個人客の移動をサポート

    • ビジネス客の送迎:空港やオフィスなどへの移動手段として利用される

    • 観光タクシー:外国人観光客向けに観光案内を行う

    • 介護・福祉タクシー:高齢者や障がい者向けの送迎サービス


    2. 乗務前後の点検

    安全運行のため、車両の点検を徹底する必要があります。点検項目には以下が含まれます。

    • タイヤの空気圧・摩耗状況の確認

    • エンジンオイルや冷却水のチェック

    • ブレーキやライト類の動作確認


    3. 運賃の計算と精算業務

    タクシー運転手は、運賃メーターを使用し、適正な料金を乗客から受け取る必要があります。支払い方法は現金・クレジットカード・QRコード決済など、多様化しています。


    4. 乗務記録の作成

    タクシードライバーは、運行記録(デジタコ)や日報の作成が義務付けられています。

    • 乗務時間、走行距離、乗客数などを記録

    • 勤務終了後に会社へ提出


    5. 乗客とのコミュニケーション

    乗客に快適な移動を提供するため、丁寧な接客スキルが求められます。また、外国人観光客の増加に伴い、英語や中国語のスキルがあると業務の幅が広がります


  3. バス運転業務

    日本のバス業界は、都市部・地方を問わず深刻な運転手不足に直面しています。

    特に地方では、路線バスの廃止や減便が相次ぎ、住民の移動手段が大きく制限されています。

    また、都市部では観光客の増加やインバウンド需要の拡大により、観光バスの需要が高まる一方で、運転手の確保が課題となっています。


    1. 運行前後の点検

    バス運転手は、出発前に必ず車両の点検を行います。【点検項目】

    • タイヤの空気圧・摩耗状況の確認

    • ブレーキやライト類の動作確認

    • 運賃機・ICカードリーダーの動作チェック

    運行後も、異常がなかったかを報告し、次の運行に備えます。


    2. 乗客の安全管理

    • 乗降時の確認(車椅子の乗客や高齢者への配慮)

    • 運転中の急ブレーキを避け、安全運転の徹底

    • 混雑時の案内(座席案内・手荷物管理)


    3. 運賃の収受と精算

    • 路線バスでは、乗車時または降車時に運賃の収受を行う

    • 観光バスでは、ツアー会社と協力し、料金の精算をサポート


    4. 乗務記録の作成

    バス運転手は、勤務終了後に運行記録を作成します。

    • 走行距離、乗客数、燃料消費量の記録

    • トラブル発生時の報告書作成


受け入れ見込上限数

政府が発表した自動車運送業分野での特定技能1号の受け入れ見込上限数は、以下の通りです。

  • トラック運転手:56,000名

  • タクシー運転手:48,000名

  • バス運転手:17,000名


【最新情報】特定技能1号評価試験の実施状況


試験の実施概要

2024年12月4日、国土交通省は「自動車運送業分野」における特定技能1号評価試験の開始を発表しました。この試験に合格することで、海外人材が正式に日本のトラック・タクシー・バス運転手として働くことができます。


  • 試験の実施形式

    • 出張方式:企業が希望する会場で試験を実施する方式(2024年12月16日以降開始予定)。

    • CBT方式:テストセンターでコンピュータを使用して受験する方式(配信準備中)。


  • 受験資格

    • 満17歳以上。

    • 有効な日本または外国の運転免許を保有していること。

    • 国内で受験する場合は、適切な在留資格を持っていること。

    詳しくはこちら 

    https://www.moj.go.jp/isa/content/001428721.pdf


  • 試験結果の発表

  2024年12月に実施された試験の結果は、2025年1月に公表されました。


トラック


特定技能自動車運送業

試験実施場所

受験者数

合格者数

合格率

福岡県

16

11

68.8%

東京都

24

22

91.7%

埼玉県

22

12

54.5%

トラック合計

62

45

72.6%

特定技能1号でトラック運転手になるための条件

1. 特定技能1号評価試験の合格

海外人材が日本でトラック運転手として働くためには、「自動車運送業分野 特定技能1号評価試験(トラック)」に合格することが必須です。この試験では、以下の知識や技能が問われます。

  • 日本の交通ルール(道路交通法・運転マナー)

  • 安全運転の基本

  • 車両点検の手順

  • 荷役作業(積み込み・積み下ろし)の基礎知識


2. 日本の運転免許の取得

特定技能1号でトラック運転手として働くためには日本の準中型免許または中型免許(場合によっては大型免許)が必要です。海外で取得した運転免許を持っている場合、日本の免許に切り替える手続き(外免切替)を行う必要があります。


3. 日本語能力

業務中のコミュニケーションや書類作成のために、日本語能力も求められます。特に、「日常会話レベルの日本語(N4以上)」があるとスムーズに仕事を進められます


バス


特定技能バスのドライバー

試験実施場所

受験者数

合格者数

合格率

京都

100%

バス合計

100%

特定技能1号でバス運転手になるための条件

1. 特定技能1号評価試験の合格

海外人材が日本でバス運転手として働くためには、「自動車運送業分野 特定技能1号評価試験(バス)」に合格することが必須です。試験では、以下の知識や技能が問われます。

  • 日本の交通ルール(道路交通法・安全運転の知識)

  • バス業務に関する基礎知識(車両点検・接客マナーなど)

  • 緊急時の対応方法(事故時の対応、乗客の安全確保)


2. 日本の運転免許の取得

バス運転手として働くためには日本の「大型二種免許」が必要です。海外の運転免許を持っている場合、日本の免許に切り替える手続き(外免切替)を行う必要があります。


3. 新任運転者研修の受講

特定技能でバス運転手になるためには、国土交通省が定める新任運転者研修(座学・実技)を修了する必要があります。


4. 日本語能力

バス運転手は乗客とのやり取りが多いため、日常の会話で使われる日本語をある程度は理解できる(N3以上)日本語スキルが求められます特に、観光バスでは英語・中国語スキルがあると優遇される場合があります。


タクシー


特定技能タクシードライバー

験実施場所

受験者数

合格者数

合格率

東京都

100%

タクシー合計

100%

特定技能1号でタクシー運転手になるための条件

1. 特定技能1号評価試験の合格

海外人材が日本でタクシー運転手として働くためには、「自動車運送業分野 特定技能1号評価試験(タクシー)」に合格することが必須です。試験では、以下の知識や技能が問われます。

  • 日本の交通ルール(道路交通法・安全運転の知識)

  • タクシー業務に関する基礎知識

  • 接客マナー・クレーム対応


2. 日本の運転免許の取得

タクシー運転手として働くためには、日本の「普通二種免許」が必要です。海外の運転免許を持っている場合、日本の免許に切り替える手続き(外免切替)を行う必要があります。


3. 新任運転者研修の受講

特定技能でタクシードライバーになるためには、国土交通省が定める新任運転者研修(座学・実技)を修了する必要があります。


4. 日本語能力

タクシー業務では、乗客との会話が不可欠です。特に「行き先の確認」「運賃の案内」などをスムーズに行うために、日常の会話で使われる日本語をある程度は理解できる(N3以上)日本語スキルが求められます


参考資料



出入国在留管理庁ホームページ



岡山で誕生したインドネシア人バス運転手

両備グループの新たな挑戦

岡山県に本社を置く「両備グループ」は、海外人材の積極的な採用を進めています。その一環として、インドネシア出身のイユスさん(40歳)がバス運転手として正式に採用されました。

イユスさんの歩み

  • 2013年:日本へ来日し、日本語を学ぶ。

  • 2024年6月:ニッコー観光バス(両備グループの子会社)に入社。

  • 2024年8月:大型二種運転免許を取得。

  • 2024年12月:特定技能1号評価試験に合格。

  • 2025年1月:在留資格の変更手続きを完了し、正式にバス運転手デビュー予定。

イユスさんは「日本でのバス運転は責任が重いが、安全運転を心掛け、お客様に快適なサービスを提供したい」と意気込みを語っています。


海外人材ドライバー受け入れの意義と課題

期待されるメリット

  • 人手不足の解消:労働力の確保が可能。

  • 多文化共生の促進:異文化理解が進み、サービスの質の向上にも貢献。

  • 日本の物流・交通インフラの安定:円滑な交通運営を支える存在に。


課題

  • 言語の壁:運転業務では日本語の理解が不可欠。

  • 安全運転の徹底:日本の交通ルールに適応するための十分な教育が必要。

  • 受け入れ体制の整備:海外労働者が安心して働ける環境の構築。


まとめ

特定技能制度の導入により、日本の自動車運送業界における海外人材ドライバーの活躍が本格化しています。岡山県でのインドネシア人バス運転手の誕生は、その先駆けともいえる事例です。

今後は、海外人材ドライバーが安心して働ける環境づくりと、多文化共生社会の実現に向けた取り組みが求められます。特定技能1号評価試験の実施状況にも注目しつつ、業界全体での受け入れ体制の整備が急務となっています。


 

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