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少子高齢化や労働力不足が深刻化する日本で、特定技能制度が注目されています。しかし、「特定技能受入れ人数」の現状や課題について詳しく知る機会は少ないのではないでしょうか。
本記事では、制度の概要から分野別の最新状況、目標達成のためのポイントまでを分かりやすく解説します。特定技能制度の理解を深め、外国人労働者受け入れの可能性や課題解決のヒントを見つけましょう。企業担当者や制度に興味のある方にとって、必見の内容です。
1.特定技能受入れ人数の概要と現状

特定技能受入れ人数の基本情報
特定技能受入れ人数とは、日本が必要とする特定の業種で即戦力として働ける外国人労働者を受け入れるための枠組みで定められた人数のことです。
特定技能制度は、少子高齢化や労働力不足が深刻化する日本において、特に人手が求められる分野に労働者を補充するために2019年に創設されました。この制度では「特定技能1号」と「特定技能2号」に分かれており、それぞれで受け入れ可能な人数枠が異なります。
例えば、1号では主に14分野(介護、外食、建設など)が対象で、多くの場合、技能試験と日本語試験に合格する必要があります。一方、2号では建設業や造船業など、さらなる専門的なスキルが求められる分野が中心です。
このように、受け入れ人数は業種ごとに設定され、労働需要の状況や政策方針によって調整されます。特定技能受入れ人数は、業界の需要と国の政策目標が反映された重要な指標といえます。
特定技能在留外国人数の現状とは?

出入国在留管理庁は、5年間での特定技能外国人全体の受け入れ見込み人数目標を345,150人と設定しています。2024年6月末時点での在留者数は251,594人であり、目標達成に向けて順調に推移しています。
特定技能制度は、日本の人手不足解消に向けて重要な役割を果たしており、今後も在留外国人数の増加が期待されています。
最新の特定技能受入れ状況

最新の特定技能受入れ状況では、受け入れ人数が増加している分野と停滞している分野が見られます。2024年時点で注目されているのは、特に介護分野や農業分野での受け入れ増加です。
これらの分野では、少子高齢化や地域の人手不足が深刻化しており、特定技能労働者が貴重な戦力となっています。しかし、外食業や宿泊業の分野では、人手不足が顕著である一方で受け入れ人数が伸び悩む傾向も見られます。
2.特定技能受入れ人数の推移と今後の目標

特定技能受入れ人数の推移から見る傾向
特定技能の受入れ人数は、制度開始以降、毎年着実に増加しています。2024年6月末時点では25万1,747人に達し、特に2022年以降は大幅な伸びを見せています。この増加の背景には、コロナ禍による入国制限の緩和や、試験実施回数の増加などがあります。
分野別の受入れ状況を見ると、飲食料品製造業や工業製品製造業が全体の50%近くを占める一方で、外食業や宿泊業の伸びは限定的で、分野間で大きな差が生じています。また、国籍別ではベトナムからの受入れが全体の半数以上を占め、他の国籍と比較して突出している状況です。
今後、受入れ人数をさらに拡大するには、日本語試験や技能試験の受験者数・合格率の向上、ならびに生活環境の整備が必要です。特定技能制度全体の成長には、各分野の均等な発展を図ることが課題となっています。
特定技能受入れ人数目標の設定内容
特定技能制度では、制度開始時に各分野ごとに受入れ人数目標が設定されました。政府は5年間で約34万人の受入れを目指し、介護分野で約6万人、外食業で約5万3千人、農業分野で約3万6千人など具体的な数値を示しました。これらの目標は、それぞれの分野での人材需要を基に算出されています。
2024年6月末時点で実現した受入れ人数は25万1,747人で、目標にはまだ到達していません。特に、外食業や宿泊業では目標達成が困難な状況が続いています。一方で、飲食料品製造業や工業製品製造業では目標を大きく上回る実績を挙げており、分野による達成状況の偏りが課題です。
目標達成に向けては、分野ごとの実情に応じた柔軟な政策や、外国人労働者が日本で安定的に働けるための施策強化が重要です。これには、登録支援機関を活用したサポート体制の充実や、労働条件の改善が含まれます。政府が掲げた34万人の目標を実現するためには、引き続き各分野の課題解決に取り組む必要があります。
外食業分野の特定技能受入れ人数はどのくらい?
外食業の特定技能1号では、調理や接客といった即戦力となるスキルが求められていますが、日本語能力試験や技能試験の合格率が低いことが課題として依然残っています。また、受け入れ企業側の体制が十分でない場合も多く、外国人労働者に対する適切なサポートの提供や職場環境の整備が急務となっています。
一方で、コロナ禍以降の外食産業の需要回復に伴い、特定技能労働者の必要性が再び高まっており、今後の受け入れ人数増加が期待されています。試験の実施回数や内容の見直し、受け入れ企業に対する支援体制の強化、労働環境の改善などを進めることで、目標達成に向けた進展が見込まれるでしょう。
3.特定技能受入れ人数の上限に関するポイント

特定技能受入れ人数の上限について詳しく解説
特定技能外国人の受け入れは、国内人材の雇用に影響を与えないよう、各分野ごとに受け入れ人数の上限を、受け入れ見込み人数として設定しています。
分野名 | 受け入れ見込み数(2019~2023年度合計) | 受け入れ見込み数(2024~2028年度合計) | 対比 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 49,750人 | 173,300人 | 348% |
飲食料品製造業 | 87,200人 | 139,000人 | 159% |
介護 | 50,900人 | 135,000人 | 265% |
建設 | 34,000人 | 80,000人 | 235% |
農業 | 36,500人 | 78,000人 | 214% |
外食業 | 30,500人 | 53,000人 | 174% |
ビルクリーニング | 20,000人 | 37,000人 | 185% |
造船・舶用工業 | 11,000人 | 36,000人 | 327% |
宿泊 | 11,200人 | 23,000人 | 205% |
漁業 | 6,300人 | 17,000人 | 270% |
自動車整備 | 6,500人 | 10,000人 | 154% |
航空 | 1,300人 | 4,400人 | 338% |
合計 | 345,150人 | 785,700人 | 228% |
建設特定技能2号の受入れ人数に上限はあるのか?
建設分野における特定技能2号は、在留期間に上限がなく、より高度な技能を持つ外国人労働者を長期的に雇用できる制度です。受け入れ人数に明確な上限はないものの、受け入れ機関の条件や在籍外国人の総数制限など、運用に関する一定のルールが設けられています。
また、建設業界特有の「労働者需給調整システム」を活用することで、地域や業種ごとの需給バランスを調整しています。以下に、この制度のポイントをまとめました。

建設分野における特定技能2号は、在留期間に上限がなく、高度な技能を持つ外国人労働者を長期的に雇用できる制度です。受け入れには日本人と同等以上の労働条件を確保することや生活サポートの提供が求められ、「労働者需給調整システム」による需給管理も行われます。雇用には実務経験や専門試験の合格が必要で、家族帯同が認められる点が特徴です。
一方で、手続きの複雑さや労働条件の透明性といった課題が残るため、制度の運用改善が期待されています。
4.特定技能2号に関する受け入れ人数の概要

特定技能2号の受け入れ枠と対象分野
特定技能2号は、特定技能1号と異なり、熟練した技能を持つ労働者を対象とした在留資格制度です。この制度は、より専門的な分野に特化しており、法的な受け入れ枠の上限が設けられていないため、需要に応じて柔軟に対応することが可能です。
対象分野の拡大特定技能2号が認められる分野は、かつては非常に限定的でしたが、2023年6月の閣議決定により大幅に拡大されました。現在、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野を除く11分野で特定技能2号の受け入れが可能となっています。
これには以下の分野が含まれます:
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
また、一部の既存分野では業務範囲が拡大され、従事できる業務内容がより多様化しました。
特定技能2号の特徴特定技能2号の最大の特徴は、長期滞在が可能である点です。特定技能1号では在留期間が最大5年に制限されていましたが、2号では在留資格の更新を続けることで、事実上無期限に滞在することが可能です。さらに、特定技能2号を取得した場合には家族の帯同も認められています。
この制度は、外国人労働者にとってより魅力的な選択肢となり、日本の労働市場に安定した労働力を供給することが期待されています。一方で、受け入れ企業には、外国人労働者が働きやすい環境の整備や適切な支援体制の構築が求められるため、導入にあたっての課題も存在します。
5.まとめ

特定技能制度は、日本の少子高齢化や労働力不足を補うために重要な役割を果たしていますが、現状は課題も多く、さらなる改善が求められています。受け入れ人数は徐々に増加しているものの、各分野の目標人数には届いておらず、特に日本語試験や技能試験のハードルが高い点が障壁となっています。
また、外国人労働者の定着率を向上させるためには、職場環境や生活支援の充実が必要です。一方で、介護や建設分野を中心に進む受け入れの拡大や、特定技能2号による長期的な雇用の可能性は、制度の大きな魅力といえます。これから日本が持続可能な労働市場を構築するためには、柔軟な制度設計と、受け入れ側の努力が欠かせません。
外国人労働者が安心して働ける環境を整えることで、互いに利益を享受できる社会を築けるはずです。あなたの職場でも、受け入れの可能性を検討してみてはいかがでしょうか。
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