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建設分野で特定技能外国人を採用する流れと現場でよくある課題

  • sou takahashi
  • 9月26日
  • 読了時間: 13分
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目次:



1.はじめに:特定技能制度の建設分野とは


建設業界では深刻な人手不足が続いており、その対策として注目されているのが「特定技能制度」です。これは即戦力となる外国人材の受け入れを可能にする制度であり、建設現場でも多くの企業が導入を検討し始めています。


本記事では、制度の概要から採用の流れ、課題までを具体的に解説します。



特定技能制度とは何か?


特定技能制度は、一定の専門性や技能を持った外国人材を日本の産業分野で受け入れるための在留資格です。2019年に創設され、建設業を含む14分野での受け入れが認められています。


この制度には「特定技能1号」と「特定技能2号」があり、1号は現場での実務作業が中心で、2号になるとリーダー的な立場や熟練作業が可能になります。1号で在留できる期間は最長5年で、2号は家族帯同や在留の更新が可能となるのが大きな特徴です。


比較項目

特定技能1号

特定技能2号

技能水準・内容

「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」

「熟練した技能」を要する業務。建設分野では班長レベルで指導・工程管理を行う能力が求められる

試験要件

業務区分ごとの技能試験 + 日本語試験(生活・業務水準)

特定技能2号評価試験、または技能検定1級相当の試験合格が要件

実務経験

特に「班長レベルで指導・管理を行う実務経験」は不要

建設分野では「複数の技能者を指導しながら作業、工程を管理する者(班長)」としての実務経験が必要。0.5~3年程度など、職種による年数設定あり

在留期間・更新

通算最長5年(更新可能だが通算5年まで)

更新回数に制限なし(在留期間の上限なし)

家族帯同(配偶者・子など)

原則不可

条件を満たせば可能となる(家族帯同が認められる)

永住権取得に対する扱い

特定技能1号で在留した期間は、永住許可要件(10年在留など)に原則カウントされない

在留期間の上限がなく、長期間滞在できるため、永住許可の要件を満たしうる可能性が出てくる

支援義務(受入企業・支援機関)

登録支援機関による支援計画策定と実施が義務付けられている

支援計画の義務はない(1号のような義務支援は不要)

転職(業務区分変更)

同一の業務区分、または試験等で技能水準が確認できる区分間で転職可能

転職についても、同区分または技能水準の共通性が認められる区分内での移動が基本とされる

特定技能1号を取得するには、日本語能力や業種ごとの技能試験に合格する必要がありますが、技能実習を修了した人は一部試験が免除されるケースもあります。受け入れ企業側は、外国人が安心して働けるよう生活面や就労面のサポート体制を整える義務があります。



建設業界が特定技能制度を活用する理由


建設業界が特定技能制度を活用する大きな理由は、人手不足の解消です。特に若手の国内労働力が減少する中で、現場作業を担える人材の確保は急務となっています。高齢化が進む現場では、安定した労働力の確保が今後の事業継続に直結します。


また、特定技能制度では、一定の技能や経験を持った人材を受け入れることができるため、教育にかかる時間やコストを最小限に抑えられる点も企業にとって魅力です。即戦力として活躍できる人材が多く、職場への適応も早い傾向にあります。


さらに、技能実習制度に比べてキャリアアップが可能であるため、本人のモチベーションが高く、企業との信頼関係を築きやすい点も評価されています。ただし、受け入れには明確なルールや支援体制が必要となるため、制度理解と準備は欠かせません。


2.従事できる職種・業務区分


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特定技能制度において建設分野で従事できる職種は、国土交通省が定めた「作業区分」に基づいています。対象は型枠施工やとび、鉄筋施工などの現場作業に直結する業務です。制度上は限定されているため、職種や業務内容の理解が採用前の重要なステップとなります。


最新3区分:土木/建築/ライフライン・設備


出入国在留管理庁および国土交通省等では、建設分野の特定技能の対象業務を下記の3つに整理しています。

区分

主な対象作業内容例

土木

型枠施工、鉄筋施工、とび、土工、さく井、コンクリート圧送、造園、舗装、基礎工、地盤改良など

建築

左官、表装(内装仕上げ)、建築板金、ガラス施工、石材施工、塗装、鉄骨施工、溶接、仕上げ工事など

ライフライン・設備

電気通信、配管、電気設備、給排水衛生設備、空調・冷暖房設備、耐震補強設備など


業務範囲と実務上の留意点


特定技能人材が従事できる業務は、基本的に作業区分に沿った範囲に限定されます。たとえば「鉄筋施工」の在留資格を持つ人材は、鉄筋組立や加工などの作業に関わることはできますが、現場全体の管理や資材発注などの間接業務に関わることは原則として認められていません。


このように、業務内容が定められている一方で、実務では他の作業との境界があいまいになる場面も少なくありません。そのため、現場の管理者や日本人スタッフは、業務範囲の確認と役割の明確化を徹底する必要があります。


また、特定技能人材が日本語での指示を正確に理解できるとは限らないため、安全管理や作業効率の面でも配慮が不可欠です。多言語マニュアルの整備や、指導担当者の教育も現場運用をスムーズにする重要なポイントとなります。


3.採用の流れ(試験要件・免除制度・支援機関活用)


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建設分野で特定技能人材を採用するには、まず対象者が技能試験と日本語試験に合格する必要があります。ただし、技能実習の修了者には一部免除措置もあります。


企業側は登録支援機関と連携しながら、採用から受け入れまでの手続きを着実に進めていくことが重要です。


特定技能 建設業分野社員採用について



試験要件と免除対象の概要


特定技能1号として建設分野で働くには、「技能評価試験」と「日本語能力試験(JFT-BasicまたはN4以上)」の2つの試験に合格する必要があります。これらの試験は、対象分野での基本的な知識と、最低限の日本語コミュニケーション力があるかを確認するために実施されます。


一方で、過去に技能実習2号を良好に修了した外国人は、これらの試験の受験が免除される制度もあります。この免除対象は、同一分野内での移行が前提となっているため、建設分野での技能実習経験があることが条件です。


試験の実施頻度や国ごとの会場情報は年度ごとに変わるため、最新の情報を確認しておく必要があります。また、試験合格後も在留資格の取得申請や支援体制の準備が必要になるため、採用前から全体の流れを把握しておくと安心です。



登録支援機関の活用と選び方


特定技能人材を受け入れる企業には、外国人が円滑に働き、生活できるよう支援する義務があります。これらの支援業務を代行するのが「登録支援機関」です。登録支援機関は法務省に認定された外部機関で、生活支援、相談対応、日本語学習の支援などを提供します。


中小企業など、社内に十分な支援体制を整えることが難しい企業にとって、登録支援機関の活用は大きな助けとなります。ただし、どの支援機関を選ぶかによって、外国人の定着率や満足度に差が出ることもあるため、選定は慎重に行いましょう。


選ぶ際には、建設業界での支援実績があるか、母国語対応ができるか、支援内容が契約通り実施されているかなどを確認することが大切です。実際の支援の質は担当者によっても変わるため、複数社と面談し、信頼できるパートナーを選ぶことをおすすめします。


特定技能 建設業分野社員採用について




4.よくある課題とその対応策


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特定技能人材を受け入れる建設現場では、言語の違いや文化のギャップから生じる課題が少なくありません。中でも、現場でのコミュニケーションや離職リスクは企業側にとって大きな悩みの種です。こうした課題を未然に防ぐには、事前の準備と現場の理解が鍵となります。


現場でのコミュニケーションの壁


建設現場では、安全確認や作業指示など、迅速かつ正確なコミュニケーションが求められます。しかし、特定技能人材は必ずしも高い日本語力を持っているわけではなく、日常会話はできても業界特有の専門用語までは理解が及ばないことも多いです。


そのため、現場では「言った・聞いていない」といったすれ違いが起こりやすく、事故やトラブルの原因にもなりかねません。こうした事態を避けるには、指示の出し方を工夫することが有効です。、指示を日本語だけでなく図や写真を使って視覚的に伝える、簡潔な単語で話す、翻訳アプリを活用するといった方法があります。


また、同じチーム内に「通訳役」や「相談係」を置くことも、精神的な安心感につながります。大切なのは、外国人がわからないことを気軽に聞ける環境をつくることです。互いの文化を尊重しながら信頼関係を築くことが、結果的に作業効率の向上にもつながっていきます。


離職リスクへの対処法


外国人材が職場に定着しない原因として多いのが、職場環境とのミスマッチや、孤独感、生活面での不安です。建設業界は力仕事や屋外作業が多く、日本人でも体力的に厳しいと感じる職種です。そうした中で、期待と現実のギャップが大きいと、早期離職につながりやすくなります。



離職を防ぐには、まず採用前の情報提供を丁寧に行うことが重要です。仕事内容、労働時間、住環境などを事前にしっかり伝え、誤解のないようにしておきましょう。また、来日直後のサポート体制も鍵を握ります。生活ガイドの提供や、相談窓口の設置、日常生活のフォローが充実しているほど、安心して働ける環境になります。


さらに、定期的な面談を通じて不満や困りごとを早期にキャッチし、柔軟に対応することも効果的です。仕事へのモチベーションを維持するには、評価制度やキャリアパスを提示するなど、将来像が描ける仕組みづくりも欠かせません。「採用して終わり」ではなく、長く活躍してもらうための視点が求められます。


特定技能 建設業分野社員採用について



5.成功事例・ベストプラクティス


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特定技能外国人の受け入れに成功している企業は、共通して「継続的な支援」と「現場との橋渡し」を大切にしています。制度だけに頼らず、自社でできる工夫を重ねた結果、外国人材が長期にわたり定着し、職場の活性化にもつながっています。


特定技能外国人の定着に成功した企業の事例


関西に拠点を置く中堅ゼネコンA社では、フィリピン出身の特定技能人材を複数名受け入れ、3年以上の長期定着に成功しています。この企業が重視したのは「生活面のサポート」と「現場との橋渡し」です。


来日直後から日本語学校の費用を一部補助し、定期的な面談を通じて不安や悩みを聞き取る体制を整えました。さらに、社内に専任の支援担当を置き、就業面・生活面の両方に目を配っています。


現場では、日本人スタッフ向けに外国人材との接し方に関する研修も行い、チーム全体で受け入れる意識を高めました。その結果、外国人材は会社への信頼を深め、定着率が向上。今では彼らが新人指導を行うなど、現場に欠かせない存在となっています。


採用から現場運用までのベストプラクティス


特定技能外国人を安定して受け入れるには、採用段階から現場運用までを一貫して設計することが重要です。単に人手を補う存在として見るのではなく、「将来的な戦力」として扱う視点が成果を左右します。


まず採用段階では、候補者のスキルや性格、文化背景までを丁寧に把握し、自社との相性を見極めます。そのうえで、日本語レベルや生活面の課題を想定し、来日前から支援体制を整えておくことが有効です。


現場に配属した後は、業務マニュアルを多言語化したり、OJTの進め方を工夫することで理解度を高める工夫が求められます。また、日本人スタッフにも多文化理解の機会を設け、現場全体が協力しやすい土壌をつくることが、スムーズな運用につながります。


支援機関に任せきりにせず、自社の文化として「共に働く姿勢」を持つことが、長期的な成功への近道です。


特定技能 建設業分野社員採用について




6.よくある質問


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建設分野で特定技能1号と2号の違いは?


特定技能1号は「一定の技能を持つ作業者」として現場業務に従事できますが、在留期間は最長5年で家族の帯同はできません。一方、2号はより高度な熟練技能を持つ人材が対象で、在留の更新や家族帯同も可能です。現時点で2号が認められているのは限られた作業区分に限られます。


技能実習から特定技能への移行が免除になるケースは?


建設分野で技能実習2号を良好に修了した外国人は、特定技能1号への移行時に「技能試験」と「日本語試験」の両方が免除されます。ただし、実習時の職種が特定技能で定められた作業区分と一致していることが条件です。移行前の制度確認が不可欠です。


建設業で特定技能外国人を雇う場合の必要書類は?


在留資格申請には、雇用契約書、支援計画書、会社概要書類、作業内容の説明資料などが必要です。加えて、建設業許可証や受入れ見込みの業務量に関する資料も求められます。不備があると審査が遅れるため、事前にリストを確認しておくことが大切です。



採用後のフォロー体制で失敗しやすい点は?


採用後にありがちな失敗は、「支援の内容を支援機関に任せきりにしてしまう」ことです。生活や職場での悩みに気づかず、離職につながるケースもあります。定期的な声かけや、現場との橋渡し役を明確にすることで、早期のトラブル回避が可能になります。


7.まとめ:建設企業がまず取り組むべきこと3点


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特定技能外国人の採用を検討している建設企業が、最初に取り組むべきことは次の3つです。

重点項目

内容

目的・効果

1.制度理解と社内共有

在留資格の要件、対象業務、受入義務を正しく理解し、経営層から現場まで共有

誤解や手続き不備によるトラブル防止

2.支援体制の整備

登録支援機関の活用に加え、自社のサポート方針を明確化

外国人材の安心感・定着率向上

3.職場環境とコミュニケーション見直し

言語・文化の違いに配慮した現場づくり

多国籍人材が働きやすい環境整備

これらを丁寧に準備することで、外国人材が活躍しやすい環境が整い、企業にとっても持続的な人材確保が実現しやすくなります。

特定技能に強い登録支援機関 GLORY OF BRIDGE


GLORY OF BRIDGEは、特定技能の分野で高品質な海外人材の紹介・支援を行う登録支援機関です。これまでに580名以上の特定技能社員の採用を成功させており、ビザ申請の認定率は100% という確かな実績を誇ります。


特に インドネシアやベトナムに自社の送り出し機関を持つため、現地での人材確保から日本での定着支援まで、一貫したサポートを提供できます。また、24時間対応の多言語サポートを実施し、入社後のトラブルや不安を解消。こうした充実したフォロー体制により、他社と比べ4分の1の低離職率を実現しています。


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