【2025年最新版】トラック運送業の賃金・労働時間の実態とは?海外人材受け入れ前に知るべきポイント
- sou takahashi
- 3 日前
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目次:
トラック運送業界は、2024年も人手不足や高齢化といった課題に直面しながら、賃金制度や雇用のあり方に大きな変化が見られました。
本記事では、最新データをもとに、職種別・地域別・年齢別など多角的な視点から賃金水準を徹底解説。さらに、海外人材の受け入れや制度面の留意点についても詳しく紹介します。2025年の採用・雇用戦略に役立つ実践的な情報をお届けします。
1.2024年データから見るトラック運送業の最新賃金水準(2025年公表)

全体平均と運転者平均の月給比較
2024年のデータによると、トラック運送業全体における1人あたりの月給平均は341,800円となっています。一方で、トラックの運転者に限ると平均月給は360,300円と、全体平均をやや上回る水準となっています。
この違いは、業務内容の専門性や責任の重さに起因しています。運転者は長時間運転を伴うことが多く、時間外労働や深夜勤務、荷物の取り扱いなど、身体的・精神的負担が大きい職種です。そのため、労働条件の過酷さを反映して、賃金にもある程度の上乗せがされています。
実際に賞与を含めた「月額換算」で比較すると、全体平均が388,700円に対して運転者は404,100円と、差がさらに広がっています。これは、運転者に支給される運行手当や時間外手当などの変動給の存在が大きく影響しているためです。なお、この傾向は毎年大きな変動はなく、構造的な差として定着しています。
男女別・職種別に見る賃金格差
同じトラック運送業界でも、性別や職種によって賃金には明確な差が存在しています。とくに顕著なのが、男性と女性の運転者間での平均月給の違いです。2024年のデータでは、男性運転者の平均月給が360,300円であるのに対し、女性運転者は299,200円と、約6万円以上の開きが見られます。
この差にはいくつかの要因があります。
項目 | 男性の傾向 | 女性の傾向 |
担当車種 | けん引・大型など高収入車種が多い | 普通車・準中型が多い傾向 |
勤続年数 | 長い傾向(昇給の機会が多い) | 比較的短め |
平均賃金 | 高い傾向 | 同職種でも低めの傾向 |
高収入職種順 | けん引 > 大型 > 中型 > 準中型 > 普通 | |
職種間の賃金構造 | 男女共通(上記の順で賃金が高い) | 男女共通だが女性は全体的に低め |
なお、事務職や整備職といった運転以外の職種でも男女差は見られ、特に事務員では男性が363,100円、女性が249,600円と、約11万円以上の開きが報告されています。賃金の公平性を考えるうえで、性別や職種による格差は重要な視点です。
賞与の実態とその年次推移
トラック運送業における賞与(ボーナス)は、年2回の支給が一般的ですが、その額や割合は固定給に比べて大きく変動します。2024年の調査結果では、全職種平均の年間賞与を月額換算した金額は46,900円となっています。
この賞与は、企業業績や個人の勤怠状況、事故の有無などによって支給額が変わるため、毎年必ず支払われるとは限りません。特に運送業界では燃料費の高騰や人手不足の影響を受けやすく、企業ごとの差も大きくなりがちです。
年次推移を見ると、2023年と比べて2024年は全体的に賞与額がやや増加している傾向があります。男性運転者では前年の45,300円から43,800円へとわずかに減少していますが、準中型や普通車を担当する運転者では逆に賞与が増えている例もあります。
一方で、女性運転者や女性事務職では賞与の上昇幅が小さく、依然として全体平均を下回る傾向にあります。こうした格差が継続していることから、賞与についても性別や職種による偏りに注意が必要です。安定的な雇用環境を整えるうえでは、賞与制度の透明性や平等性の見直しも求められます。
特定技能 運送業分野社員採用について
2.車種別・年齢別にみる運転者の賃金傾向

けん引・大型・中型などの月給差

トラック運送業界では、車両の種類によって月給に明確な差が生じています。とりわけ収入が高いのは「けん引運転者」で、2024年の平均月給は404,200円に達しています。次いで「大型運転者」は379,600円、「準中型」は344,500円、「中型」は322,700円と続きます。
この差は、運転に必要な免許の区分や、運ぶ荷物の重量、運行距離、安全性などの条件によって決まる業務の負担度に比例しています。たとえば、けん引運転者はトレーラーなどの特殊な車両を操作するため、高度な運転技術と資格が必要であり、その分だけ賃金も高めに設定されています。
一方、中型や準中型は地方配送や短距離運行が多く、業務負荷が比較的軽い傾向にあります。そのため、給与水準もやや低く抑えられる傾向が見られます。ただし、これらの職種でも時間外手当や深夜手当が加算されることで、総支給額は変動する場合があります。
年齢別の賃金ピークと減少傾向
運送業界における賃金は、年齢の上昇とともに一定のパターンを描きます。2024年のデータによれば、男女総合で最も賃金が高いのは「50~59歳」の年齢層で、月額換算で412,000円に達しています。これは20~29歳層の100を基準とした場合、指数で126.8に相当します。
このようなピークを迎える背景には、勤続年数による昇給、職能給の増加、役職手当などが影響しています。運転技術の習熟や安全運転歴の蓄積も評価対象となるため、40代〜50代にかけては賃金が安定して上昇しやすい傾向にあります。
一方で、60歳を超えると賃金は減少傾向に転じます。60~64歳では指数が108.6、65歳以上になると84.5まで下がります。この減少は、体力的な制限や業務内容の軽減、再雇用制度による給与体系の変更などが原因となっています。高齢化が進む中で、今後はこの年齢層への待遇改善も課題となるでしょう。
平均年齢と勤続年数からみる業界構造

2024年の調査では、トラック運送業界の全体平均年齢は48.5歳と高めに推移しています。特に男性運転者の平均は49.7歳で、すでに50歳に迫る勢いです。勤続年数も平均で14年超となっており、業界の中核を支える層がベテラン中心であることがわかります。
この状況は、若年層の採用が伸び悩んでいることを示唆しています。運転免許の取得制限や、運送業に対するイメージ、長時間労働といった要因が、若者の業界離れにつながっていると考えられます。特定技能など海外人材の導入が注目される背景には、こうした構造的な人手不足があります。
また、女性労働者の勤続年数は全体的に短く、平均でも7〜10年程度にとどまっています。育児や介護との両立、職場環境のミスマッチといった課題も根深く、今後は多様な働き方に対応した制度設計が求められます。

このように、年齢と勤続の傾向からは「高齢化」と「若年層の定着難」という二重の課題が浮かび上がっており、業界全体としての人材戦略の見直しが急務となっています。
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3.地域別にみる賃金格差と雇用環境の違い

都市圏と地方圏の賃金水準の比較
トラック運送業における賃金水準には、都市圏と地方圏で大きな開きがあります。特に関東圏、近畿圏、中部圏といった大都市圏では、全体的に月給が高い傾向にあります。2024年の調査では、関東の男性運転者の平均月給は374,700円で、全国平均の360,300円を上回っています。


一方、東北や四国などの地方圏では賃金が低く抑えられており、東北の男性運転者は302,100円、四国では347,500円と、都市圏との差が顕著です。このような差が生まれる背景には、地域の物価水準、輸送距離、取引単価、また人手不足の深刻度などが影響しています。
都市部では長距離輸送や夜間配送が多く、変動給が加算されやすい一方で、地方では短距離・日中の業務が中心になる傾向があります。そのため、基本給の構成が大きく変わるのです。さらに、企業規模が都市部に集中していることも、給与水準に差をもたらす要因の一つといえます。
最も高い地域と最も低い地域はどこか
2024年の調査において、最も賃金水準が高かったのは「関東地方」でした。男性運転者の賞与込み平均月給は435,000円に達しており、都市部需要の高さが反映されています。関東には大手物流企業が集中しており、長距離運行や高負荷の業務が多いため、賃金も高く設定されがちです。
反対に、最も賃金が低かったのは「沖縄県」で、男性運転者の平均月給は262,300円、賞与を含めても286,100円と全国で最も低い水準にとどまっています。物流の地理的な制約や業務のボリュームが限られる点が、賃金に影響していると考えられます。

この差は単なる地域の経済規模だけでなく、業務内容や輸送手段の違いも影響しています。特に沖縄では本土とのフェリー輸送が多く、ドライバーが担う工程が短い傾向にあるため、全体として給与が伸びにくい構造になっています。

地域別の年齢・勤続傾向との相関性
地域ごとの賃金差は、単に給与額だけでなく、従業員の年齢構成や勤続年数とも密接に関係しています。
地域 | 平均年齢 | 傾向・特徴 |
関東 | 48.9歳 | 若年層が比較的多く、全国平均に近い |
近畿 | 49.5歳 | 関東同様に若年層が一定数存在する |
北海道 | 50歳以上 | 高齢化が進行、若年層の定着が難しい傾向 |
九州 | 50歳以上 | 高齢層が多数派、労働力の高齢化が顕著 |
地方圏全般 | 50歳以上 | 若年層が少なく、平均年齢が高い傾向 |
勤続年数にも傾向があります。
たとえば、沖縄では男性運転者の勤続年数が15年7カ月と長めで、他地域に比べても安定した雇用が維持されているように見えますが、それに対して賃金水準は全国最低というアンバランスな状況が存在します。
長く勤めても収入が伸びにくい構造は、離職リスクや人材流出の原因にもなり得ます。
このように、地域によって人材構成や雇用の安定性に違いがあり、それが結果的に賃金水準や待遇差にも反映されています。地域別の雇用戦略を考える際には、単なる給与額の比較だけでなく、年齢層や勤務歴の特徴にも目を向けることが重要です。
4.変動給・手当の内訳とその重要性

固定給・歩合給・時間外手当の構成比
トラック運送業の給与は、大きく分けて「固定給」「歩合給」「時間外手当」の3つから構成されています。2024年の平均的な内訳を見ると、固定給が約58~67%を占めており、給与の基盤を形成しています。次いで歩合給が20~30%前後、時間外手当が10~20%程度の割合です。
たとえば、けん引運転者の場合、固定給は月額240,300円、歩合給と時間外手当などを合わせた変動給は163,900円となっており、固定給と変動給のバランスはおよそ6:4です。
これに対して普通運転者では、固定給が約74%と高く、変動給の割合は26%にとどまっています。

こうした構成は職種や企業によって異なるため、雇用契約時には給与の内訳をしっかり確認することが重要です。固定給が高ければ収入は安定しますが、歩合給や時間外手当の割合が高い職種では、働いた分だけ収入が増える一方で、勤務時間や業務量に左右されやすくなります。

変動給の割合が高い職種の特徴
変動給の割合が高い職種には、いくつかの共通点があります。
職種 | 変動給比率 | 傾向・特徴 |
大型運転者 | 47.1% | 長距離・深夜・休日の運行多く、運行手当や時間外手当など変動給が多い |
けん引運転者 | 高水準 | 積載重量や走行距離が大きく、歩合制が導入されやすい職種 |
中型・準中型運転者 | 中程度 | 地域輸送など比較的安定した業務が中心で、変動給と固定給のバランスが取れている |
事務職 | 低水準 | 業務が定型的で、変動給の仕組みがほとんどない |
整備職 | 低水準 | 作業内容が一定であり、成果や時間に連動した手当が発生しにくい傾向 |
変動給の割合が高い職種では、稼げる可能性がある一方で、業務量や拘束時間も増える傾向があります。そのため、体力や生活スタイルに応じて適切な職種を選ぶことが求められます。
賃金制度が与える就労意欲への影響
賃金制度は、従業員の就労意欲に直接的な影響を与える要素の一つです。特にトラック運送業界のように、固定給と変動給が併存する給与体系では、その設計次第でモチベーションに大きな差が生じます。
歩合制が導入されている職種では、「走れば走るほど稼げる」という仕組みが労働意欲を引き上げることがあります。たとえば、大型運転者やけん引運転者は、実績に応じた報酬があることで、業務への前向きな姿勢を保ちやすくなります。
しかしその一方で、変動給への依存度が高すぎる場合、収入の不安定さや過剰な労働負荷につながるリスクもあります。特に長時間労働や過労の原因になるケースもあり、一定の固定給が保障されていないと、安心して働けないという不満につながることもあります。
就労意欲を高めるには、固定給と変動給のバランスが取れていることが重要です。また、成果が適切に評価される制度であることも信頼性につながります。企業側は、単に「稼げる仕組み」を作るだけでなく、「働き続けたいと思える制度設計」を心がける必要があります。
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5.海外人材の受け入れに向けた企業の準備とは

賃金水準を基にした雇用計画の立て方
トラック運送業で人材を確保するためには、業界の賃金水準を把握したうえで現実的な雇用計画を立てることが重要です。特に中小企業では、周辺企業や地域全体の給与水準と比較して自社の条件がどう位置づけられるのかを明確にする必要があります。
2024年の調査では、全体平均の月給が341,800円、男性運転者の平均は360,300円でした。この数字を参考に、職種別・地域別・年齢別に細かくシミュレーションすることで、募集時のミスマッチを防ぎやすくなります。
また、単に平均額を提示するだけでなく、固定給・手当・賞与などの内訳も整理しておくと、求職者にとってわかりやすく、応募動機にもつながります。給与を理由に人材が集まらないケースは多く見られるため、競争力のある待遇設計が採用成功の鍵となります。
海外人材が働きやすい労働環境づくり
海外人材労働者を受け入れる際には、給与条件だけでなく、日常業務を支える「働きやすい環境」の整備も欠かせません。言語の壁や文化の違い、生活面での不安を少しでも減らすことが、定着率の向上につながります。

たとえば、就業規則やマニュアル類をやさしい日本語や母国語に翻訳しておくと、日々の業務に対する理解度が高まります。加えて、相談しやすい上司や先輩社員を配置することも有効です。制度として存在するだけでなく、実際に「頼れる人」がいると、安心して業務に取り組めるようになります。

生活支援面では、住居の紹介、銀行口座の開設、携帯電話の契約サポートなども、初期定着において大きな助けとなります。特に地方での雇用では、交通手段の確保や地域との交流の場づくりも、長期的な就業意欲に影響を与えるポイントになります。
技能実習や特定技能制度との違いと留意点
海外人材を受け入れる制度には複数の種類がありますが、なかでも「技能実習」と「特定技能」には明確な違いがあるため、採用前に制度の特徴を理解しておく必要があります。
技能実習制度は、もともと「技能移転」を目的としており、人材育成の意味合いが強い制度です。そのため、実習計画に沿った教育とサポートが求められ、受け入れには監理団体の関与が必要になります。期間は原則3年ですが、要件を満たせば最長5年まで延長できます。
一方、特定技能制度は「労働力としての受け入れ」が前提となっており、即戦力人材の雇用を可能にします。制度上は日本人と同等の待遇が義務付けられており、残業代・手当・有給休暇などの労働条件も一般労働者と同じ基準で対応する必要があります。

注意すべき点としては、特定技能の在留資格は「更新制」であり、要件を満たさない場合は更新が認められないこともあります。
また、特定技能の1号と2号では在留期間や家族帯同の可否などの条件も異なります。これらの違いを理解せずに採用を進めると、トラブルの原因になるため注意が必要です。
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6.まとめ

トラック運送業界の2024年データから見えてきたのは、依然として続く人手不足と賃金格差、そして地域や職種による構造的な課題です。賃金水準は一部で上昇傾向にあるものの、固定給と変動給のバランス、性別・年齢による待遇差など、改善すべき点は多く残されています。
また、海外人材の受け入れに関しては、制度の正確な理解と働きやすい環境づくりが成功の鍵を握ります。今後、持続可能な雇用体制を築くには、賃金制度の見直しだけでなく、多様な人材が安心して働ける職場づくりが不可欠です。企業にとって、制度の理解と柔軟な対応力が競争力の差となる時代が訪れています。
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