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執筆者の写真Ayumi Kimura

【特定技能1号 製造業】陶磁器製品製造区分で従事できる業務内容や受け入れ詳細を解説!

在留資格である特定技能は、就労ビザの一つでもあります。特定技能制度は日本国内において、深刻な人手不足が懸念される特定産業を対象に特定技能外国人を雇うことができます。


特定技能は現在16分野あり、すべての分野において人手不足となっています。一定の知識や技術を有する特定技能外国人が就業してくれることで、即戦力となり人手不足を解消してくれるでしょう。


本記事では、工業製品製造業分野(製造業)の区分である「陶磁器製品製造」について詳しく解説していきます。


 

目次:

 

1.陶磁器製品製造の実情



深刻な人手不足とされている、陶磁器製品業界ですがさまざまな問題を抱えています。そのなかの一つとして、人手不足が挙げられます。


1-1.陶磁器製品製造業における人手不足

陶磁器は有名な産地がいくつかあります。長崎県や佐賀県、岐阜県など、そのほかにも数多くの有名産地が挙げられるでしょう。


人手不足の状況として、岐阜県の詳細についてみていきます。

岐阜県における陶磁器業界では、経営者・職人ともに高齢化が進むだけではなく後継者が不足していると発表されています。


陶磁器業界における年齢構成比として、全産業や製造業に比べると50歳から64歳の割合が多くなっています。また、65歳以上も他より数%高くなっています。

高齢化や後継者不足の原因として、考えられるのは若い人材が集まらないからです。理由としては、暑い・埃っぽいといった労働環境のイメージがあるからでしょう。


また、年々事業所が減少しており、その理由としては倒産ではなく廃業です。これらの原因は売上と後継者不足になります。


後継者不足は、家業を継ぎたくないと考えているからです。


岐阜県は美濃焼が古くから作られています。美濃焼の産地構造として、原料から商社まで分業・フルセット型の産地を形成しており多種多様なニーズに対応可能となっていました。

しかし、それによって一つのメーカーに多くの関連業者があるため1社が廃業してしまうと多数の関連業社も廃業してしまうといった問題点も浮上してきます。


そのため、現在ではフルセット型の産地構造が崩れつつあるのです。現状として、多様な再編の動きがあるようです。


これらのように、問題を抱えてしまっている状況を見てしまうと、後を継ぎたくないと考えてしまう人や、若い世代がなかなか入ってこない状況になってしまうのは必然といえます。


1-2.人手不足解消のための取り組み

岐阜県だけではなく、ほかの産地も人手不足に悩まされています。各産地において、人手不足解消のための取り組みは大きな課題となっています。


どのような取り組みがあるのでしょうか。


・陶芸以外の街の魅力をアピールする

有田焼で有名な佐賀では、特産品も多く存在します。棚田米や佐賀牛、ありたぶたやありたどり、きんかんなどがあります。

これらを含む、有田産の食材を多く使用したランチメニューを開発し、町自体の魅力を伝えていくとしています。

また、有名なアーティストや陶芸家を誘致し作陶できるイベントの提供といった活動をしています。


・脱炭素の研究

2050年までにCO2排出をゼロにする動きが開始されています。焼き物製造工程別CO2排出量は焼成が59%乾燥が21%となっています。約6割を占める焼成のCO2を削減するべく研究開発が進んでいます。

この研究が進めば、若者たちからのイメージも改善されるかもしれません。


・外国人人材の積極的な受け入れ

元々、技能実習生を受け入れていた企業も少なくありません。しかし技能実習制度は、技能実習生の母国へ技術や知識を広げることが目的となっています。そのため、在留期間の上限が来た場合、母国へ帰国してしまいます。


しかし、特定技能は技能実習と異なり、人手不足を解消することが目的となっています。

現在、陶磁器製品製造区分においては、特定技能1号しか認められていません。特定技能1号の在留期間は最長で5年となっています。


一方で特定技能2号は、在留期間の上限がなくなります。今後、陶磁器製品製造区分が特定技能2号まで認められた場合、長期間勤めることや担い手となることも可能です。


2.特定技能 工業製品製造業分野「陶磁器背品製造」で従事できる内容



【分野・区分の概要】

指導者の指示を理解し、または自らの判断により、陶磁器製品の製造工程の作業に従事

【従事する主な業務】

陶磁器工業製品製造

【想定される関連業務】

当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えない。


関連業務に当たり得るものとして、次が想定される。

・原材料・部品の調達・搬送作業

・各職種の前後工程作業

・クレーン・フォークリフト等運転作業

・清掃・保守管理作業

※専ら関連業務に従事することは認められない。



2-1.特定技能工業製品製造業分野の詳細

工業製品製造業分野において、特定技能1号を取得するためには試験に合格するか、技能実習2号を良好に修了するかのどちらかになります。


製造分野特定技能1号評価試験は、

・言語:日本語

・試験水準:特定技能1号の試験免除となる技能実習2号修了者が受験する技能検定3号試験程度を基準

・受験資格:原則として、試験日当日において、満17歳以上の外国人とし、試験に合格した場合に日本国内で就業する意思のある者

・評価試験内容:学科試験は問題文の内容が正しいか間違っているかを選ぶ問題です。実技試験は実際の作業工程や材料に関する内容を読んで正しい答えを選ぶ試験となっています。


以上が概要となっています。


日本語試験では、国際交流基金日本語基礎テストもしくは日本語能力試験(N4以上)の合格が条件です。


技能実習からのルートでは、技能実習2号移行対象職種であること且つ、技能実習2号を良好に修了していることが条件となります。


2-2.技能実習2号の業務内容

技能実習「陶磁器工業製品製造」の業務内容を知ることで、従事可能な業務内容の参考になるはずです。


技能実習2号を良好に修了するという条件から、技能実習2号で従事する内容を以下にまとめました。


◻️機械ろくろ成形作業

・材料調整作業

坏土の切断作業、坏土の硬度・水分測定作業、坏土の使用可否判定作業

・成形準備作業

坏土供給作業、坏土供給機の操作作業、仕上げ機の操作作業、仕上げ機のスポンジ調整・芯出し作業、移載機の操作作業、乾燥炉(乾燥機)の操作作業

・成形作業

製品のとったり作業、 鏝の取付け・芯出し作業、鏝の後始末・保管作業、鏝の検査作業、縁切り刃物のセット作業

・品質診断

製品の良否判定作業、検査結果の記帳・報告作業


◻️圧力鋳込み成形作業

・材料調整作業

滞留泥漿の処理作業、泥漿の粘度・水分測定作業、泥漿の使用可否判定作業

・成形作業

型セット作業、泥漿の注入作業、脱型作業(中物:長径25cm以下/3.脱型作業(小物・中物・大物・高難度品) Removal of patterns (small size : 15 cm 大物:長径35cm以下)、成形直後品の取扱い作業、型乾燥作業、加圧タンクの運転・停止作業、ワーク穴あけ加工作業、成形品の鋳込み口処理作業、小物部品の接着作業

・品質診断

製品の良否判定作業、検査結果の記帳・報告作業


◻️パッド印刷作業

・印刷準備作業

パッド表面処理作業、パッド取付け・取外し作業、パッドの使用可否判定作業、版及び版台の取扱い作業、絵具の回収・保管作業、スキージ研磨機の運転・取扱い作業、パッドの選定作業

・印刷作業

パッド印刷機の操作作業、サイクルタイムの印刷作業、印刷前品の良否判定作業、ワーク着脱作業

・品質診断

製品の良否判定作業、検査結果の記帳・報告作業


参考・引用:外国人技能実習機構


3.工業製品製造業分野で特定技能外国人を受け入れるための基準



特定技能外国人を企業が受け入れるためには、基準を満たしていなくてはなりません。いくつかの基準があるので、一つずつ確認していきましょう


3-1.特定技能雇用契約の基準

・分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること

・所定労働時間が、同じ受け入れ期間に雇用される労働者の所定労働時間と同等であること

・報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること

・外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、その他の待遇について差別的な取り扱いをしていないこと

・一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること

・労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣機関が定められていること

・外国人が帰国旅費を負担できないときは、受け入れ機関が負担するものとともに、契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずること

・受け入れ機関が外国人の健康の状態、その他生活の状況を把握するために必要な措置を講ずること

・分野に特有の基準に適合すること(分野所管省庁の定める告示で規定)


以上が、特定技能雇用契約の上で満たすべき基準となっています。

基本的には、同じ労働をする日本人と同等かそれ以上の報酬であることや、差別的な扱いをしない、といった内容となっています。


3-2.企業側の基準

・労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

・1年以内に特定技能外国人との同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

・1年以内に受入機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと

・欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと

・特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えておくこと

・外国人等が保証金の徴収等をされていることを受け入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと

・受け入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと

・支援に要する費用を、直接または関節に外国人に負担させないこと

・労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っているものなどで、適当と認められるものであるほか、派遣先が上記基準に適合すること

・労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること

・雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること

・報酬を預貯金口座への振り込み等により支払うこと

・分野に特有の基準に適合すること(分野所轄省庁の定める告示で規定)


以上が企業側の基準となっています。過去には技能実習制度において、不正利用していた企業もあり、特定技能外国人を正しい待遇で受け入れるために必要な基準です。


3-3.支援体制関係の基準

・以下のいずれかに該当すること

 (1)過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ)の受け入れまたは管理を適切に行った実績があり、かつ役職員のなかから、支援責任者及び支援担当者を選任していること

 (2)役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ)の生活相談等に従事した経験を有する者のなかから、支援責任者および支援担当者を選任していること

 (3)(1)または(2)と同程度に支援業務を適切に実施することができる者で、役職員のなかから支援責任者および支援担当者を選任していること

・外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること

・支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えておくこと

・支援責任者および支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ欠格事由に該当しないこと

・5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと

・支援責任者または支援担当者が、外国人およびその監督をする立場にあるものと定期的な面談を実施することができる体制を有していること

・分野に特有の基準に適合すること(分野所管省庁の定める告知で規定)


とされています。

支援体制関係については、自社で行うか登録支援機関に委託するかのどちらかが選べます。登録支援機関に委託した場合は、すべて満たすものとされます。



4.特定技能を正しく利用し陶磁器製品製造の人手不足解消を



特定技能制度は、さまざまな基準や要件があり手続きも少なくありません。しかし、この基準は就業してくれる特定技能外国人を守るために必要なものです。


不当な理由で大切な人材を失わないためにも、制度の正しい利用を求められます。

陶磁器製品製造業界は、深刻な人手不足となっています。その状況から脱するために、さまざまな施策を講じていることでしょう。


その一つとして、海外の風を取り入れさらなる発展に繋げてください。


特定技能や技能実習など在留資格についての詳細や、受け入れに必要な手続きなど、わからない点や相談したいことがある場合は、ぜひご連絡ください!


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