特定技能外国人材はどの国から採用できる?主要送り出し国と人材の特徴
- sou takahashi
- 3 日前
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「特定技能外国人はどこの国から採用できるのか?」——外国人採用を検討する企業が最初にぶつかる疑問のひとつです。特定技能制度では、日本政府が二国間協定(MOC)を締結した国々を主な送り出し国として、各国の法令・ガイドラインに沿った採用が求められます。一方で、国内在住の外国人であれば国籍の制限なく採用できるケースもあります。
本記事では、2026年時点における特定技能の受け入れ対象国の一覧と、主要送り出し国それぞれの特徴・採用手続き上の注意点・業種との相性まで網羅的に解説します。
📋 目次
1.特定技能の採用対象国:基本的な考え方

特定技能制度における「採用可能な国」は、採用方法によって異なります。まず大前提となる2つのケースを確認しましょう。

二国間協定(MOC)とは何か?
二国間協定(Memorandum of Cooperation、MOC)とは、日本と相手国が「特定技能外国人の適正な送り出し・受け入れを推進するための協力」について取り交わした覚書のことです。2026年4月時点で、日本は14か国とMOCを締結しています。
MOC締結国から海外採用する場合、各国の送り出し機関を通じた手続きや、相手国の政府機関(フィリピンのDMW、ベトナムのDOLABなど)への届出が必要になります。これらの手続きを怠ると採用が認められない場合があるため、注意が必要です。

採用できない国(例外)

上記2か国以外であれば、国籍そのものによる制限は基本的にありません。ただし海外から採用する場合は、前述のMOC締結国であることが実質的な前提条件となります。
2.二国間協定(MOC)締結国一覧【2026年版】
2026年4月時点で日本がMOCを締結している14か国を一覧で示します。それぞれの締結年・送り出し機関の担当省庁・主な特徴を整理しました。
国名 | MOC締結年 | 相手国の担当省庁・機関 | 送り出しの特徴 |
🇻🇳 ベトナム | 2019年 | 労働・傷病兵・社会省(MOLISA)/DOLAB | 最多送り出し国。認定送り出し機関制度あり |
🇵🇭 フィリピン | 2019年 | 移住労働者省(DMW、旧POEA) | DMW審査・OEC取得が必須。手続きが最も厳格 |
🇮🇩 インドネシア | 2019年 | 労働省 / BP2MI(海外労働者配置・保護庁) | IPKOL経由での手続き。急増中 |
🇳🇵 ネパール | 2019年 | 労働・雇用・社会保障省 | 留学生経由が多い。国内在留者も豊富 |
🇲🇲 ミャンマー | 2019年 | 労働・移住・農村開発省 | 技能実習移行ルートが多い。政情に注意 |
🇰🇭 カンボジア | 2019年 | 労働・職業訓練省 | 送り出し体制整備中。農業分野に多い |
🇲🇳 モンゴル | 2019年 | 労働・社会保護省 | 農業・建設系に多い。人材数は比較的少ない |
🇱🇰 スリランカ | 2019年 | 外国雇用局(SLBFE) | 英語力高め。介護・サービス業向き |
🇧🇩 バングラデシュ | 2019年 | 海外雇用・移住省 | 製造・建設系が多い。近年増加傾向 |
🇺🇿 ウズベキスタン | 2019年 | 雇用・労働関係省 | 中央アジアから注目。若い労働力 |
🇵🇰 パキスタン | 2019年 | 海外雇用公社(OEP) | 製造・建設系。英語力はアジア系の中では高め |
🇹🇭 タイ | 2019年 | 雇用局(DOE) | サービス業向き。日本語能力高め傾向 |
🇮🇳 インド | 2023年 | 外務省・労働雇用省 | 英語力が高い。IT・製造・介護分野に対応 |
🇲🇾 マレーシア | 2023年 | 人的資源省 | 英語・中国語対応可。多文化人材が特徴 |

3.受け入れ人数の最新動向と国別シェア

特定技能外国人の受け入れ人数は年々増加しており、2025年6月末時点では約33万6,196人に達しています(出入国在留管理庁発表)。前年比133.5%という急激な伸びです。

ベトナム一強時代の終焉:インドネシア・ミャンマーの台頭
特定技能外国人の国籍別シェアは大きく変化しています。制度開始当初から2022年頃まではベトナム国籍が圧倒的多数を占めていましたが、近年はインドネシア・ミャンマーが急速にシェアを拡大しています。
国籍 | 人数(2025年6月末時点・推定) | シェア | トレンド |
🇻🇳 ベトナム | 約14万人以上 | 約42% | 最多だが相対的シェア低下中 |
🇮🇩 インドネシア | 約5万人以上 | 約16% | 急増中・2位争い |
🇲🇲 ミャンマー | 約4万人以上 | 約13% | 技能実習移行で増加 |
🇵🇭 フィリピン | 約3万人以上 | 約9% | 介護・サービス業で安定 |
🇨🇳 中国 | 約2万人以上 | 約7% | 国内在留者からの移行が主 |
🇳🇵 ネパール | 約1.5万人以上 | 約5% | 留学→特定技能移行が多い |
その他 | 約2万人以上 | 約8% | カンボジア・バングラデシュ等 |

海外採用と国内採用の比率変化
制度開始当初は国内在留者(技能実習修了者や留学生)の特定技能移行が大半でしたが、近年は海外現地から直接採用するケースが増加しています。この傾向は、国内の特定技能人材プールが徐々に飽和に近づいていることを示しており、今後は海外採用ルートの活用がより重要になると見られています。
4.主要送り出し国の特徴と採用注意点【詳細解説】
特定技能の採用数が多い主要国について、国民性・日本語能力・送り出し体制・採用手続き上の注意点を詳しく解説します。採用する国を選ぶ際の参考にしてください。






5.業種・分野別のおすすめ送り出し国

特定技能の対象16分野は、それぞれ求められるスキル・コミュニケーション能力・体力などが異なります。分野ごとに相性のよい送り出し国を選ぶことが、採用成功と定着率向上につながります。
介護分野
介護分野では、コミュニケーション能力の高さ・利用者との信頼関係構築力・日本語能力が特に重要です。
おすすめ国 | 理由 | 注意点 |
🇵🇭 フィリピン | 英語・コミュニケーション能力が高い。介護教育の水準も高い | 手続きが複雑。採用から就労まで時間がかかる |
🇮🇩 インドネシア | 若い人材が豊富。介護分野への参入意欲が高い | ハラール対応・礼拝時間の配慮が必要 |
🇻🇳 ベトナム | 日本語習得が早い。すでに介護現場での実績が多い | 認定送り出し機関を通じた採用が必須 |
🇱🇰 スリランカ | 英語力が高く、異文化適応能力に優れる | 日本語力は個人差が大きいため事前確認が必要 |
建設・製造分野
建設・製造分野では体力・技術力・安全意識の高さが求められます。日本語は現場コミュニケーションのためN4程度が目安です。
おすすめ国 | 理由 | 注意点 |
🇻🇳 ベトナム | 建設・製造分野の技能実習経験者が最も多い | 送り出し機関は必ず認定機関を使用すること |
🇲🇲 ミャンマー | 真面目で技術習得が早い。技能実習移行ルートが充実 | 現地採用は政情リスクを考慮すること |
🇮🇩 インドネシア | 若い労働力が豊富。急増中で人材供給が安定 | IPKOL経由の手続きに慣れた支援機関の活用を推奨 |
🇧🇩 バングラデシュ | 製造・建設への就労意欲が高い。労働力が豊富 | 日本語教育サポートが必要な場合が多い |
飲食・外食分野
飲食・外食分野では、接客スキル・衛生管理意識・日本語でのコミュニケーション能力が重要です。
おすすめ国 | 理由 | 注意点 |
🇵🇭 フィリピン | サービス精神旺盛。英語でのインバウンド対応も可 | 手続きが複雑なため、早めに採用活動を開始すること |
🇳🇵 ネパール | 飲食業経験者が多い。日本語能力も比較的高い | 特定技能の飲食分野試験への事前準備が必要 |
🇹🇭 タイ | サービス業の職業意識が高い。料理スキルも高め | 海外就労への意欲が他国と比べてやや低い傾向 |
農業・漁業分野
農業・漁業分野では、体力・屋外作業への適性・季節変動への対応力が重要です。
おすすめ国 | 理由 | 注意点 |
🇻🇳 ベトナム | 農業従事経験者が多い。地方農村出身者が豊富 | 認定送り出し機関の利用を必ず確認すること |
🇰🇭 カンボジア | 農業国出身のため農業への適性が高い。真面目 | 送り出し体制がまだ整備途上のため時間がかかる |
🇲🇳 モンゴル | 体力があり、屋外作業への適性が高い | 人材プールが小さく、採用競争が激しくなる可能性 |
6.国内在住外国人の採用:国籍制限なしの活用
海外から採用する場合と異なり、日本国内に在住している外国人を採用する場合は、基本的に国籍の制限がありません(イラン・トルコを除く)。この点を活用することで、採用可能な人材の選択肢が大幅に広がります。
国内在留者なら採用可能な国籍が広がる
海外採用ではMOC締結14か国が実質的な対象ですが、国内在留者であれば中国・韓国・台湾・モンゴル・スリランカなど、多様な国籍の外国人を特定技能として採用できます。国内在住者の活用は以下のような在留資格を持つ方が対象になります。
✓技能実習2号修了者良好に修了した場合は技能試験・日本語試験が免除。最もスムーズに移行できる
✓留学生(在学中・卒業後)所定の技能試験・日本語試験に合格すれば、在留資格変更が可能
✓特定活動・定住者・家族滞在 等在留資格の変更許可申請で特定技能に切り替えが可能なケースがある
✓他企業の特定技能外国人(転職希望者)特定技能1号は同一分野内での転職が認められている。採用で引き抜きも可能
国内在留者採用のメリットと注意点


7.送り出し国選びで失敗しない3つのポイント

特定技能外国人の採用を成功させるためには、送り出し国の選択がカギを握ります。採用担当者が失敗しないための3つのポイントを解説します。
1分野と国民性・文化の「相性」を確認する
送り出し国を選ぶ際には、単に「人材が多い国」ではなく、「自社の業種・職場環境と相性がよい国」を選ぶことが重要です。たとえば礼拝時間の確保が難しい現場ではムスリムが多い国との相性が下がります。逆に、インバウンド対応が多い職場では英語力が高いフィリピン・スリランカ人材が強みを発揮します。
先輩社員への聞き取りや、採用実績のある企業へのヒアリングを通じて、職場環境と送り出し国の相性を事前に確認しましょう。
2送り出し機関の信頼性を徹底的に確認する
特定技能の海外採用では、現地の「送り出し機関」の信頼性が採用の成否を大きく左右します。特にベトナムでは政府の「認定送り出し機関リスト」への掲載が必須です。非認定機関を利用した場合、手続きが認められず採用できないリスクがあります。
確認すべき点は、①政府の認定リストに掲載されているか、②手数料の透明性(不透明な追加請求がないか)、③過去の採用実績と定着率、④日本語でのコミュニケーションが可能かどうか、などです。
3採用後の定着支援体制を事前に整える
どの国から採用しても、入社後のサポートが不十分だと早期離職につながります。特定技能1号は転職が認められているため、離職・転職のリスクは常に存在します。採用前から定着支援の体制を整えておくことが重要です。
具体的には、①日本語学習支援の継続(入社後もサポート)、②生活相談窓口の設置、③定期的な面談(月1回以上)、④母国語対応のマニュアル・指示書の整備、⑤キャリアアップ制度の整備(正社員登用制度等)などが効果的です。
8.よくある質問(FAQ)
QMOC未締結国から特定技能外国人を採用することはできますか?
A海外在住者の採用については、MOC未締結国では実質的に難しいケースがほとんどです。一方、国内に在留しているMOC未締結国の外国人(例:韓国籍、台湾籍など)であれば、在留資格変更手続きを経て採用できます(イラン・トルコ国籍は除く)。国内人材の活用を検討してみましょう。
Qベトナム人が最も多い理由は何ですか?
A主な理由は2つです。①技能実習生として来日したベトナム人が特定技能に移行するケースが多いこと、②日本への留学生数がアジア1〜2位であり、留学後に特定技能に移行する人材が多いこと。また、ベトナムは早くから日本への送り出し体制を整えており、認定送り出し機関数も最多水準です。
Qフィリピン採用はなぜ手続きが複雑なのですか?
Aフィリピンは「海外で働く自国民の保護」に非常に積極的な国で、労働者保護のための厳格な手続き(DMW審査・OEC取得・出国前オリエンテーション等)が法律で義務化されています。これらの手続きは外国人の権利を守るためのものであり、適切に対応することが企業に求められます。手続きが複雑な分、フィリピン人材は法的な保護が充実しており、採用後の定着率が高い傾向があります。
Q今後、特定技能の受け入れ国は増えますか?
A日本政府は引き続き外国人労働力の確保を重要政策として位置づけており、今後もMOCを締結する国は増加する可能性があります。2023年にはインド・マレーシアとの締結が行われており、今後もアフリカ諸国やその他アジア諸国との締結拡大が検討されています。最新の締結状況は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。
9.この記事のまとめ

特定技能外国人を海外から採用できるのは、日本とMOCを締結した14か国が主な対象(2026年4月時点)
国内在留者の採用であれば、イラン・トルコを除いてほぼすべての国籍から採用可能
最大の送り出し国はベトナム(全体の約42%)。近年はインドネシア・ミャンマーが急増
フィリピンは手続きが最も厳格(DMW審査・OEC取得が必須)。採用から就労まで4〜6か月を要することも
インドネシアからの採用ではハラール対応・礼拝時間の確保が定着率向上のカギ
ミャンマーは政情不安が続いており、現地採用よりも国内在留者の採用が安全
業種別おすすめ:介護=フィリピン・インドネシア、建設・製造=ベトナム・ミャンマー、飲食=フィリピン・ネパール
送り出し国選びの3大ポイントは「職場との相性」「送り出し機関の信頼性」「採用後の定着支援体制」




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