特定技能外国人材の採用費用はいくら?企業が知っておくべきコストの全体像
- sou takahashi
- 4 日前
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「特定技能外国人を採用したいが、実際いくらかかるのか分からない」——これは外国人材の受け入れを検討する企業が最初にぶつかる疑問です。人材紹介料、登録支援機関への委託費、ビザ申請費用、渡航費など、特定技能にかかるコストは多岐にわたります。さらに採用ルートによって費用は大きく変わります。
本記事では、特定技能の採用費用を「初期費用」と「月額費用」に分けて項目ごとに整理し、採用ルート別のシミュレーションとコストを抑える具体的な方法まで解説します。
📋 目次
1.特定技能の採用費用は「初期費用」と「月額費用」に大別される

特定技能外国人を雇用する際にかかるコストは、大きく2種類に分類されます。採用・入社時に一度だけかかる初期費用(イニシャルコスト)と、雇用している間ずっとかかる月額費用(ランニングコスト)です。
まず全体像を数字で把握しておきましょう。

費用の全体像:早見表
費用の種類 | タイミング | 相場 | 備考 |
人材紹介手数料 | 採用時(初期) | 25〜60万円 | 紹介会社を使う場合。国内採用のケースが多い |
送り出し機関手数料 | 採用時(初期) | 5〜15万円 | 海外採用の場合のみ。国によって異なる |
在留資格申請費 | 採用時(初期) | 5〜20万円 | 行政書士報酬+収入印紙(認定4,000円・変更4,000円) |
渡航費(航空券) | 採用時(初期) | 3〜10万円 | 海外採用の場合のみ。企業負担が原則 |
住居初期費用 | 採用時(初期) | 10〜30万円 | 敷金・礼金・仲介手数料等。企業が立替するケースも |
健康診断費 | 採用時(初期) | 1〜3万円 | 入社時健康診断。企業負担が一般的 |
登録支援機関委託費 | 毎月(継続) | 1.5〜4万円/月 | 自社支援の場合は不要 |
在留資格更新費 | 1〜2年ごと | 3〜5万円 | 行政書士報酬+印紙。特定技能1号は最長1年ごと |
JAC年会費・受入負担金 | 毎月(継続) | 約3〜4万円/月 | 建設業のみ。JAC加入が義務 |

なぜ費用体系が複雑なのか?
特定技能制度では、企業は採用費用だけでなく「支援義務」を果たすためのコストも負担する必要があります。特定技能1号の外国人には、生活相談・日本語学習支援・定期面談など10項目の支援が法令で義務付けられており、それを自社で行うか、登録支援機関に委託するかによって費用が変わります。
また、海外から採用するか国内在住の外国人を採用するかによって、手続きや費用が大きく変わります。費用の全体像を正しく理解したうえで、自社に合った採用ルートを選ぶことが重要です。
2.初期費用の内訳と相場を項目別に解説

特定技能外国人を採用する際に最初にかかる「初期費用」は、以下の項目から構成されます。各費用の相場と注意点を確認しておきましょう。
① 人材紹介手数料(25万〜60万円)
人材紹介会社を通じて特定技能外国人を採用する場合にかかる費用です。一般的に内定者の年収の15〜25%が相場とされており、年収240万円の場合は36万〜60万円程度になります。
採用ルート | 相場 | 特徴 |
人材紹介会社(国内) | 25〜60万円 | 最も一般的。マッチング精度が高い |
海外現地採用 | 10〜30万円 | 送り出し機関経由。紹介料は比較的低いが他コストが加わる |
技能実習生からの移行 | 0〜5万円 | 自社の技能実習生の場合は紹介料ゼロ |
リファラル採用(紹介) | 0〜10万円 | 既存外国人スタッフからの紹介。コスト最小 |

② 在留資格申請・変更費用(5万〜20万円)
特定技能の在留資格を取得・変更するための費用です。行政書士に依頼する場合、申請代行費が5万〜15万円程度かかります。海外在住の場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内在住の場合は「在留資格変更許可申請」となります。
在留資格認定証明書交付申請(海外採用):収入印紙代なし(申請自体は無料)
在留資格変更許可申請(国内採用):収入印紙4,000円
行政書士報酬:5万〜15万円(複雑な案件は高くなる)

③ 送り出し機関への手数料(海外採用のみ:5万〜20万円)
海外在住の外国人を採用する場合、現地の「送り出し機関」に人材の手配・書類作成を依頼します。国によって費用が大きく異なるため注意が必要です。
送出国 | 送り出し機関手数料の目安 | 備考 |
ベトナム | 7万〜15万円 | 二国間協定あり。最も人気の送出国 |
フィリピン | 5万〜10万円 | 英語力が高い。介護・サービス業に多い |
インドネシア | 5万〜12万円 | 近年急増中。建設・製造に多い |
ミャンマー | 5万〜10万円 | 技能実習からの移行が多い |
中国 | 10万〜20万円 | 二国間協定なし。手数料が比較的高い |

④ 渡航費・住居初期費・健康診断費
海外採用の場合、入国のための航空券代(渡航費)は企業が負担するのが原則です。また、入社後の住居確保のための初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)や健康診断費も採用時にかかるコストです。
費用項目 | 相場 | 負担者 |
渡航費(航空券) | 3万〜10万円 | 企業(必須) |
住居初期費用 | 10万〜30万円 | 企業が立替(月々の家賃から控除も可) |
健康診断費 | 1万〜3万円 | 企業(入社時健診は法定) |
日本語研修費(任意) | 1万〜5万円 | 企業(支援計画に含める場合) |
🧮 初期費用の合計試算(参考)
採用パターン | 初期費用の目安合計 |
海外在住者の新規採用 | 約80〜130万円 |
国内在住外国人の採用 | 約40〜70万円 |
技能実習生からの移行 | 約5〜15万円 |
3.入社後に毎月かかるランニングコストの内訳

特定技能外国人を雇用し続ける限り、毎月・毎年かかり続けるランニングコストがあります。採用時の初期費用だけで計算すると、実際の総コストを大きく見誤るため注意が必要です。
登録支援機関への月額委託費(1.5万〜4万円/月)
特定技能1号の外国人には、法令で10項目の支援が義務付けられています。この支援業務を外部の登録支援機関に委託する場合、月額の委託費がかかります。
支援の内容には、事前ガイダンス、空港送迎、住居確保支援、生活オリエンテーション、公的手続き同行、日本語学習支援、定期面談、相談対応などが含まれます。
委託パターン | 月額費用の目安 | 特徴 |
登録支援機関に全委託 | 1.5万〜4万円/月 | 対応工数がゼロ。初めての企業に向いている |
一部業務のみ委託 | 1万〜2万円/月 | 定期面談のみ委託など、コスト節減が可能 |
自社支援(委託なし) | 0円(内部コストのみ) | 条件あり。担当者の工数・体制整備が必要 |

在留資格更新費(1〜2年ごと:3万〜5万円)
特定技能1号の在留期間は最長1年(通算5年まで)です。在留期間が満了する前に更新申請が必要で、行政書士に依頼した場合は1回あたり3万〜5万円程度かかります。
5年間雇用した場合、更新費用だけで合計15万〜25万円になる計算です。長期雇用を見込む場合は必ずランニングコストに含めて試算しましょう。
建設業のみ注意:JACへの年会費・受入負担金
建設分野で特定技能外国人を受け入れる場合、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入が義務付けられています。JACへの費用は以下のとおりです。
費用項目 | 金額 | 備考 |
正会員年会費 | 24万〜36万円/年 | JACへ直接加入する場合 |
受入負担金(賛助会員) | 2.5万〜3万円/月/人 | JACの賛助会員(建設業団体加入)の場合 |
建設キャリアアップシステム(CCUS)登録 | 2,500〜4,900円/人 | カード発行・事業者登録が必要 |

4.採用ルート別費用シミュレーション

特定技能外国人の採用費用は、どのルートで採用するかによって大きく異なります。主に3つのルートがあり、それぞれコストの特性が異なります。
1
海外在住者の新規採用
最もコストが高いが、人材プールが広い。ベトナム・フィリピン等が主な送出国
2
国内在住外国人の採用
渡航費・送り出し機関費が不要。既に日本語が一定レベル以上の人材が多い
3
技能実習生からの移行
最低コスト。自社の技能実習生であれば採用費用がほぼゼロになる
ケース①:海外在住者の新規採用(最高コスト)
🧮 海外採用の費用シミュレーション(ベトナムの例)
費用項目 | 金額(目安) |
人材紹介手数料 | 40〜60万円 |
送り出し機関手数料 | 7〜15万円 |
在留資格認定証明書申請費 | 8〜15万円 |
渡航費(航空券) | 5〜10万円 |
住居初期費用 | 10〜25万円 |
健康診断費 | 1〜3万円 |
初期費用 合計 | 約71〜128万円 |
登録支援機関委託費(月額) | 2〜4万円/月 |
初年度 総コスト(給与除く) | 約95〜176万円 |
ケース②:国内在住外国人の採用(中コスト)
🧮 国内採用の費用シミュレーション
費用項目 | 金額(目安) |
人材紹介手数料 | 25〜50万円 |
在留資格変更申請費 | 5〜12万円 |
住居初期費用(必要な場合) | 0〜15万円 |
健康診断費 | 1〜2万円 |
初期費用 合計 | 約31〜79万円 |
登録支援機関委託費(月額) | 2〜3万円/月 |
初年度 総コスト(給与除く) | 約55〜115万円 |
ケース③:技能実習生からの移行(最低コスト)
🧮 技能実習→特定技能移行の費用シミュレーション
費用項目 | 金額(目安) |
人材紹介手数料 | 0〜5万円(自社実習生の場合はゼロ) |
在留資格変更申請費 | 3〜8万円 |
住居費(継続居住の場合) | 0円 |
初期費用 合計 | 約3〜13万円 |
登録支援機関委託費(月額) | 1.5〜3万円/月 |
初年度 総コスト(給与除く) | 約21〜49万円 |

5.企業が負担すべき費用・本人が負担できる費用

特定技能外国人の採用費用の中には、企業が必ず負担しなければならない費用と、外国人本人に負担させてよい費用があります。誤った費用負担をさせると法令違反になる可能性があるため、必ず把握しておきましょう。
本人負担が認められる費用
✓家賃(居住費)適正な金額(近隣相場と同等以内)であれば、給与から控除できます。
✓食費・水道光熱費宿舎を提供している場合、実費相当を控除できます。ただし不当に高額な徴収はNG。
✓帰国費用(帰国を希望する場合)本人の意思による帰国の場合、本人負担が認められます。
✓任意の保険料任意加入の保険(海外旅行保険等)は本人負担も可。
企業が必ず負担すべき費用

✕支援にかかる費用(登録支援機関委託費等)法律で定められた支援費用はすべて企業負担。本人への転嫁は法令違反。
✕在留資格申請・更新費用ビザ申請・更新にかかる費用(行政書士報酬・印紙代等)はすべて企業が負担。
✕渡航費(入国時)海外から呼び寄せる際の航空券代は企業負担。本人に立替させることもNG。
✕帰国費用(本人が帰国費用を払えない場合)本人が帰国を希望しても費用を払えない場合は、企業が負担する義務あり。

6.採用コストを抑える5つの方法

特定技能の採用費用は工夫次第で大幅に削減できます。コストを抑えるための具体的な方法を5つ紹介します。
① 技能実習生からの移行を優先する
自社の技能実習生を特定技能に移行させる方法が、最もコストを抑えられます。技能実習2号を良好に修了した場合、技能試験・日本語試験が免除されるため、ビザ変更費用だけで移行が可能です。
また、すでに職場に馴染んでいるため教育コストも最小限で済み、定着率も高い傾向にあります。技能実習制度を活用している企業は、まずこの選択肢を検討しましょう。
② 国内在住外国人を直接採用する
留学生・技能実習修了者など、国内在住の外国人を採用すれば、海外採用と比べて送り出し機関費用・渡航費・住居初期費用の多くを削減できます。在留資格変更手続きだけで済むため、初期費用を海外採用の半分程度に抑えられます。
ハローワークや外国人雇用サービスセンター、外国人向けの求人サイト(外国人雇用協議会・ジョブレインボーなど)を活用すれば、紹介手数料ゼロでの採用も可能です。
③ 支援業務を自社で行う(自社支援)
登録支援機関への委託をやめ、自社で支援業務を行う「自社支援」を選択すれば、月額1.5万〜4万円の委託費をゼロにできます。5年間(特定技能1号の上限)雇用した場合、最大240万円の節減になります。
自社支援の条件は以下のとおりです。
外国人に対する支援の担当者を選任すること
過去2年以内に外国人雇用の実績があること(または支援が可能であると認定されること)
支援計画書を作成・届出すること
定期報告(4半期ごと)を出入国在留管理庁に提出すること
④ 複数名を同時採用してコストを分散する
人材紹介会社との交渉では、複数名同時採用でまとめて依頼すると、紹介手数料の割引が適用されるケースがあります。また、登録支援機関への委託費も人数に応じた割引プランを設けている業者があります。
2〜3名以上の採用を検討している場合は、必ず複数名採用時の費用を確認しましょう。
⑤ 助成金・補助金を活用する
外国人採用・定着支援には、活用できる助成金・補助金制度があります。主なものを確認しておきましょう。
制度名 | 支給額の目安 | 概要 |
人材確保等支援助成金 (外国人労働者就労環境整備助成コース) | 最大57万円 | 外国人向けの就労環境整備(翻訳・通訳等)に要した費用の一部を助成 |
キャリアアップ助成金 | 最大約57万円 | 有期→正規への転換や処遇改善を実施した場合に助成 |
特定求職者雇用開発助成金 (特定就職困難者コース) | 最大60万円(大企業は最大30万円) | 就職困難者(外国人含む)をハローワーク等の紹介で雇用した場合に助成 |

7.よくある質問(FAQ)

Q特定技能外国人を1人採用した場合の年間総コストはいくらですか?
A給与を含めた年間総コストは、300〜400万円程度が目安です。内訳は、給与(約220〜280万円)+社会保険等の法定福利費(給与の約15%)+登録支援機関委託費(年間18〜48万円)+ビザ更新費(1〜2年ごとに3〜5万円)などです。海外採用の場合は初年度に初期費用(約70〜130万円)が加わります。
Q技能実習と比較して特定技能の採用費用は高いですか?
A技能実習の海外採用では送り出し機関費用・監理団体費用などを合わせると初期費用が80〜150万円以上かかるケースが多く、さらに監理団体への月額費用(3万〜5万円)も継続して発生します。これと比較すると、特定技能の国内採用や技能実習からの移行コースは総じてコストが低く抑えられます。また、特定技能は転職が可能であるため、労働者の定着に向けた職場環境整備がより重要です。
Q登録支援機関への委託費を外国人本人に支払わせてもよいですか?
Aいいえ、認められていません。登録支援機関への委託費は「支援に関する費用」に該当し、すべて企業が負担しなければなりません。本人に負担させた場合、出入国在留管理庁への報告義務違反となり、行政指導・受け入れ停止処分のリスクがあります。
Q採用費用の相場は業種によって異なりますか?
Aはい、業種によって異なります。特に建設業はJACへの加入・受入負担金が必須であるため、他業種と比べてランニングコストが高くなります(月額2.5〜3万円追加)。介護分野では介護施設内での日本語支援体制が求められるため、支援コストが高くなる傾向があります。一方で製造・飲食・農業は比較的コストを抑えやすい傾向があります。
Q特定技能の採用にかかる期間と費用のタイミングはいつですか?
A採用から就労開始までの期間は、国内採用で約1〜3ヶ月、海外採用で約3〜6ヶ月かかるのが一般的です。費用の支払いタイミングは、紹介手数料が内定後〜入社時、ビザ申請費が申請開始時、登録支援機関委託費が就労開始月から毎月となります。キャッシュフロー計画を立てる際は、採用活動開始から就労開始まで数ヶ月分の費用を先に計上しておく必要があります。
8.この記事のまとめ

特定技能の採用費用は「初期費用」と「月額費用(ランニングコスト)」の2種類に分かれる
初期費用の相場は、海外採用:70〜130万円/国内採用:30〜70万円/技能実習移行:5〜15万円
月額ランニングコストは登録支援機関への委託費(1.5〜4万円/月)が主な支出
建設業のみJACへの年会費・受入負担金(約3〜4万円/月)が追加でかかる
支援費用・ビザ申請費・渡航費は企業負担が原則。本人への転嫁は法令違反
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