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特定技能外国人材を"属人化させない"運用設計とは?再現性のある仕組みづくりの考え方

  • sou takahashi
  • 4 時間前
  • 読了時間: 7分
特定技能外国人材を"属人化させない"運用設計とは?再現性のある仕組みづくりの考え方

目次:


「〇〇さんがいないと、外国人スタッフのことが何もわからない」
「トラブルが起きるたびに、いつも同じ担当者が対応している」
「マニュアルがないから、教え方が人によってバラバラ」

特定技能外国人材を受け入れている企業の現場で、こうした声を聞くことは少なくありません。採用した外国人材が定着せず、短期間で離職してしまう。現場の教育担当者が疲弊し、日本人スタッフまで退職してしまう。そして気づけば、また採用からやり直し――。

この悪循環の根本原因は、「属人化」にあります。


属人化とは、特定の人物にしか業務のやり方や情報がわからない状態を指します。外国人材の受け入れにおいて属人化が進むと、担当者が休んだり退職したりした途端に現場が回らなくなり、外国人材も不安を抱えて離職リスクが高まります。


しかし、この問題は個人の努力や能力の問題ではありません。「運用設計」が整っていないことが根本原因です。


本記事では、特定技能外国人材の受け入れを属人化させず、再現性のある仕組みとして機能させるための運用設計の考え方を、具体的に解説します。「支援」ではなく「経営設計」として外国人材活用を捉え直すことで、定着率の向上、現場負担の軽減、そして事業の持続的成長につなげることができます。


1.なぜ特定技能の受け入れは属人化しやすいのか


なぜ特定技能の受け入れは属人化しやすいのか

属人化が起きる典型パターン(5つ)


特定技能外国人材の受け入れにおいて、属人化が起きる背景には、いくつかの典型的なパターンがあります。



属人化は「善意の頑張り」で加速する


属人化の厄介な点は、善意ある「できる人」の頑張りによって加速することです。

「自分がやった方が早い」「困っているから助けてあげよう」という思いから、特定の担当者が業務を抱え込みます。初期段階では問題なく回っているように見えますが、その人の負荷は確実に増え続け、やがて限界を迎えます。


そして、その担当者が休職や退職をした瞬間、現場は崩壊します。なぜなら、誰もその人の業務内容や判断基準を把握していないからです。



2.属人化がもたらす経営リスク


属人化がもたらす経営リスク

属人化を放置すると、企業経営に重大なリスクをもたらします。


リスク

主な内容

企業への影響

① 定着率の低下

入社初期の不安・孤立感や対応の属人化により早期離職が発生。特定技能採用には紹介費・渡航費・住居・手続きなど数十万〜100万円以上のコストが発生。

採用コスト未回収、財務負担の増加。

② 法令・制度リスク

業務範囲逸脱、同等報酬未達、義務的支援未実施などの管理漏れが発生。

行政指導・受け入れ停止など重大リスク。

③ 現場の疲弊

教育設計不足により場当たり的指導が続き、混乱・ミス・萎縮・相談減少の悪循環が発生。

士気低下、トラブル増大、離職連鎖。




3.属人化を止める"仕組み化"の全体像(運用設計の骨子)


属人化を止める"仕組み化"の全体像(運用設計の骨子)

属人化を解消するには、仕組み化が必要です。ここでは、運用設計の骨子となる「4つの柱」を紹介します。



柱① ルール(誰が/何を/どこまで)


まず、明確なルールを設定します。

項目

主な内容

目的・ポイント

業務範囲の明文化

作業レベルで具体的に文書化/主たる業務と付随業務を区別

業務逸脱防止と現場判断の統一

逸脱しないチェック方法

責任者レビューや月次点検を実施/現場の臨時判断を抑制

制度違反リスクの未然防止

摩擦を前提にしたルール整備

報連相の方法・時間感覚・宗教配慮などを事前にルール化

文化差によるトラブル防止と円滑運用


柱② 評価(何を基準に、どう報いるか)


外国人材の評価基準を明確にすることは、モチベーション維持と定着に直結します。

項目

主な内容

目的・ポイント

業務直結の評価基準

手順遵守/安全意識/正確さ/改善提案など、業務遂行能力で評価(日本語の流暢さに依存しない)

公平で実務的な評価の実現

昇給・役割拡張条件の明文化

「〇〇ができれば時給+50円」など具体的基準を文書化

目標明確化と不公平感の防止


柱③ 相談窓口(困った時に迷わない導線)


相談しやすい体制を整えることは、早期離職を防ぐ上で極めて重要です。


相談カテゴリ別に窓口を固定



カテゴリごとに窓口を明示し、外国人材が「誰に相談すればいいか」迷わない仕組みを作ります。

項目

主な内容

目的・ポイント

相談・支援体制の整備

1対1メンター制度の導入/月次面談の実施/緊急時の連絡先・手順の明示

不安の早期把握、トラブル初動の迅速化、定着率向上


柱④ 情報共有(引き継げる仕組み)


属人化を防ぐ最大のポイントは、情報を組織に蓄積することです。

項目

主な内容

目的・ポイント

記録が残る運用への移行

個人LINE・口頭連絡を廃止/Slack・Teams・共有ドライブで履歴管理

情報消失防止と引き継ぎ品質の向上

共有情報の標準化

入社〜90日計画/多言語の作業手順(動画・写真・やさしい日本語)/トラブルログ(発生→対応→再発防止)

担当変更時も教育・支援品質を維持



4.実務で効く「90日設計」──最初の3か月を仕組みにする


実務で効く「90日設計」──最初の3か月を仕組みにする

外国人材の定着を左右するのは、最初の90日です。この期間にどれだけ安心感を与え、成長を実感させられるかが、その後の定着率を決定します。



0〜7日:不安を消す(生活・職場ルールの見える化)

項目

主な内容

目的・ポイント

生活支援のメニュー化

住居設備・ゴミ出し説明/銀行口座開設/携帯契約・SIM設定/住民登録・マイナンバー取得をスケジュール化(初日・3日目・1週間以内)し担当者を明確化

生活不安の早期解消と初期定着の促進

オリエンテーションのパッケージ化

安全衛生教育(動画+実地)/挨拶・礼儀ルール/休憩・喫煙・食事場所案内/避難経路・AED位置の周知

職場適応の迅速化と安全確保


8〜30日:ミスを減らす(指示設計・マニュアル運用)

項目

主な内容

目的・ポイント

伝わる指示の出し方

指示を短く区切る/具体的表現を使う/復唱で理解確認

指示ミス防止と作業理解の向上

視覚マニュアルの活用

作業手順を動画・図解で提示/写真に矢印・番号付与/やさしい日本語+母国語字幕

直感的理解の促進と教育効率向上

31〜90日:戦力化の筋道を作る(評価と役割拡張)

項目

主な内容

目的・ポイント

週次チェック→月次面談

入社後3か月は週次で進捗確認/月次で成果・課題・次目標を本人と共有

早期課題発見と成長実感の促進

段階的な業務拡張

90日到達目標を明示し、評価基準に沿って任せる業務を段階的に拡大

モチベーション維持と定着率向上


5.スモールスタートで整備する手順(今日からできる)


スモールスタートで整備する手順(今日からできる)

「運用設計」と聞くと、大がかりな仕組みづくりを想像するかもしれませんが、まずは小さく始めることが重要です。






6.「支援」ではなく「経営設計」──属人化しない会社の結論


「支援」ではなく「経営設計」──属人化しない会社の結論

特定技能外国人材の受け入れを「人手不足対策」や「現場の支援業務」として捉えていると、いつまでも属人化は解消されません。

これは、経営設計の問題です。


経営層が決めるべき4つ


経営層がトップダウンで決定すべきことは、以下の4つです。



仕組み化が進むほど、外国人材だけでなく現場全体が強くなる


運用設計を整えることで得られるメリットは、外国人材の定着だけではありません。

  • マニュアル化により、日本人の新人教育も効率化される

  • 標準化により、品質のバラつきが減る

  • 情報共有により、チーム全体の対応力が向上する

  • 安全意識の可視化により、労災リスクが低減する


つまり、外国人材の受け入れを契機に、現場全体の業務レベルが向上するのです。


7.まとめ


まとめ

特定技能外国人材の受け入れを属人化させず、再現性のある仕組みとして機能させるには、以下のポイントが重要です。


  • 属人化の原因を理解する:採用後の設計不足、役割分担の曖昧さ、マニュアル未整備

  • 4つの柱で仕組み化する:ルール、評価、相談窓口、情報共有

  • 最初の90日を設計する:生活・業務・評価の段階的サポート

  • スモールスタートで始める:属人化ポイントの棚卸し、最低限の型づくり、外部連携

  • 経営設計として捉える

    :受入目的、任せる業務、育成ゴール、責任者を経営層が決定

外国人材の受け入れは、「支援」ではなく「経営設計」です。属人化を解消し、再現性のある運用を構築することで、外国人材の定着率向上、現場負担の軽減、そして事業の持続的成長を実現できます。



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