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特定技能外国人材の平均給与はいくら?業種別相場と企業が考えるべきポイント

  • sou takahashi
  • 13 時間前
  • 読了時間: 10分
特定技能外国人材の平均給与はいくら?業種別相場と企業が考えるべきポイント

目次:



特定技能制度の活用を検討する企業が増える中、採用判断で最も気になるのが「給与水準」「コスト感」です。


「外国人材なら人件費を抑えられる」という期待を持つ経営者も少なくありませんが、実際には日本人と同等以上の報酬が法的に義務付けられており、安易な低賃金設定は定着率の低下や法令違反につながります。


本記事では、2026年最新のデータをもとに、特定技能外国人材の平均給与・年収業種別相場日本人との比較視点、そして経営視点での給与設計のポイントを整理して解説します。「いくら?」という疑問に具体的な数字で即答し、採用・定着に成功する給与戦略を提示します。


1.特定技能外国人の給与原則|日本人と同等以上が必須


特定技能外国人の給与原則|日本人と同等以上が必須

制度上の基本ルール


特定技能外国人材の給与を設定する際、最も重要なのが「日本人と同等以上の報酬」という原則です。これは単なるガイドラインではなく、法的義務として明確に定められています。

具体的には、以下の3つの法的枠組みが適用されます。


  • 最低賃金法:国籍に関わらず、地域ごとの最低賃金を下回ってはならない

  • 労働基準法:労働時間、休日、割増賃金など、日本人と同じ基準が適用される

  • 出入国管理法の審査基準:特定技能の在留資格申請時、「同一業務に従事する日本人と同等以上の報酬額」が審査される


さらに重要なのは、基本給だけでなく、賞与・各種手当・福利厚生も比較対象となる点です。「基本給は同じだが、手当は支給しない」という設定は、原則として認められません。



違反時のリスク


給与設定が不適切だった場合、企業は深刻なリスクに直面します。

リスク区分

何が起きるか

企業への影響

在留資格の不許可・更新拒否

入管審査で「報酬が不適切」と判断される

在留資格が認められず、雇用継続が不可

労働基準監督署からの是正指導

未払い賃金の遡及支払い、罰金など

金銭負担・行政指導・企業信用低下

登録支援機関の登録取消

支援体制不備や不適切運用が判明

自社支援ができなくなり事業継続に影響

労務トラブル・離職

不満による突然退職、外部相談・紛争化

人材流出、採用コスト増、評判悪化

つまり、給与設定は法令遵守採用戦略の両面から慎重に設計する必要があります。


2.特定技能外国人の平均給与・平均年収はいくら?


特定技能外国人の平均給与・平均年収はいくら?

全国平均の目安


厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」によると、特定技能外国人材の平均給与は以下の通りです。



ただし、この平均値には業種・地域・経験・日本語能力による大きな差が含まれています。後述する業種別相場を参考に、自社の給与水準を検討することが重要です。


手取り額の考え方


企業が支払う「額面給与」と、外国人材が実際に受け取る「手取り額」には差があります。これを理解していないと、採用後に「聞いていた金額と違う」というトラブルが発生します。


一般的な控除項目と手取り額の目安は以下の通りです。

控除項目

控除率・金額の目安

内容

健康保険・厚生年金

月給の約14〜15%(労使折半分)

社会保険料。将来の医療・年金給付に充当

雇用保険

月給の約0.6%

失業給付や育児休業給付などに充当

所得税・住民税

月給の約5〜8%(所得により変動)

国税・地方税。扶養状況や年収で変動

寮費・光熱費

1〜3万円程度(企業により異なる)

社宅提供時に給与から控除される場合あり

例えば、月給22万円の場合、社会保険・税金で約4〜5万円、寮費で2万円控除されると、実質手取りは15万〜16万円程度になります。





3.業種別の給与相場一覧(企業が最も知りたいポイント)


業種別の給与相場一覧(企業が最も知りたいポイント)

特定技能制度は12分野(2026年時点)に分かれており、業種ごとに給与水準が大きく異なります。以下は厚生労働省データおよび業界調査をもとにした相場です。



同じ「特定技能」でも、建設業と農業では約8万円/月の差があります。これは業界全体の賃金水準を反映したものであり、企業は自社の業種相場を把握した上で給与を設定する必要があります。



4.外国人ドライバーの給料水準|他職種より高い?


外国人ドライバーの給料水準|他職種より高い?

ドライバー分野の特徴


2024年3月に追加された自動車運送業分野は、特定技能の中でも特に注目される高給与分野です。

具体的な給与水準は以下の通りです。

職種

月給目安

高収入事例

年収イメージ

備考

トラックドライバー(配送)

25万〜35万円

繁忙期の残業込みで40万円超

約350万〜500万円

残業・長距離手当の影響が大きい

タクシー・ハイヤー

20万〜30万円

歩合制で60万円以上の例あり

約300万〜500万円(上位は600万円超)

売上連動で収入差が大きい

バス運転手

23万〜32万円

大型二種免許保持者は高待遇

約350万〜500万円

公共交通の安定雇用が特徴

全体年収水準

平均350万〜500万円/トップ層600万円超

職種・地域・勤務形態で変動

給与を押し上げる要因


ドライバー分野の給与が高い理由は明確です。

要因

何が起きているか

賃金が上がりやすいメカニズム

深刻な人手不足

業界全体で大幅なドライバー不足(2024年問題の影響)

人材確保のため基本給・手当を引き上げざるを得ない

EC需要の拡大

ネット通販の成長で配送量が増加

需要増 → 労働力需要増 → 賃金上昇圧力

長距離・深夜手当

時間外・深夜・休日労働が多い

割増賃金・各種手当が総支給額を押し上げる

免許・スキルの希少性

大型・牽引など高度免許保有者が不足

希少スキルにプレミアム賃金が付く




5.日本人賃金との比較で見る適正水準


日本人賃金との比較で見る適正水準

平均値だけでは低く見える理由


統計データを見ると、外国人労働者の平均賃金は日本人よりも約12〜13%低い傾向があります。しかし、これには構造的な理由があり、単純に「外国人は安い」と解釈するのは誤りです。

要因

何が起きているか

賃金が低く見えるメカニズム

若年層中心

20代〜30代前半が多い

年齢とともに上がる賃金カーブの“低い部分”に人数が集中し、平均が下がる

勤続年数が短い

来日後数年以内が多い

勤続・経験による昇給、役割拡大、手当増がまだ反映されにくい

低賃金業界に集中

外食・農業などに偏りやすい

業界全体の賃金水準が低めなので、母集団の平均も低くなる

管理職が少ない

現場作業が中心

管理職・専門職など高賃金層が薄く、上側が伸びない

重要なのは「同一職務での公平性」


給与設定で最も重要なのは、企業内での公平性です。全国平均や業種平均と比較するだけでなく、自社の日本人従業員と同じ職務を行う場合、同等以上の給与を支払うことが原則です。



「日本語が完璧ではないから減額」「外国人だから手当なし」という理屈は通用しません。職務内容が同じなら、報酬も同じが原則です。



6.コストだけで判断するリスク


コストだけで判断するリスク

低賃金設定のデメリット


「人件費を抑えたい」という動機で低賃金設定をすると、短期的にはコスト削減に見えますが、中長期では大きな損失につながります。

リスク

何が起きるか

企業への影響

定着率の低下

条件の良い企業へ転職(特定技能は転職可能)

採用コスト増加、教育投資の回収不可

転職・失踪リスク

極端な低処遇が失踪・不法就労の要因に

法令リスク、企業イメージ悪化、業務停滞

採用競争で不利

「給料が安い」と評判が拡散

応募者減少、人材確保が困難に

モチベーション低下

生産性低下、ミス・事故増加

品質低下、顧客満足度悪化、損失発生

近年の市場変化


2020年代後半、特定技能外国人材の採用市場は大きく変化しています。

要因

何が起きているか

企業への影響

人材獲得競争の激化

多くの企業が特定技能を活用し、優秀層の争奪戦に

採用難易度上昇、条件改善が必須に

給与水準の上昇トレンド

年6〜7%程度の賃上げ傾向が継続

人件費増加、低賃金モデルが維持困難

SNS・口コミの影響力

外国人コミュニティで企業評判が即時共有

評判管理が採用成果を左右

転職エージェントの台頭

外国人向け転職支援の増加で移動が容易に

定着対策・待遇改善の重要性上昇



7.経営視点で考える給与設計のポイント


経営視点で考える給与設計のポイント

相場+自社戦略で決める


給与は、単に「相場通り」にすれば良いわけではありません。自社の戦略を反映させた設計が必要です。


給与設定時に考慮すべき要素:

評価軸

確認ポイント

賃金設定への影響

地域水準

都市部と地方での最低賃金・生活費の差

地域相場に合わせた基本給調整が必要

業種平均

同業他社の標準給与レンジ

相場より低いと採用・定着が困難

職務内容

単純作業か技能職か、責任範囲

高技能・高責任ほど賃金を上げる必要

日本語能力

N2・N3などの会話・読解力

業務範囲拡大・接客対応可なら評価加点

経験・スキル

母国での実務経験、日本での勤務年数

即戦力性が高いほど高賃金設定が妥当

定着を生む設計


給与額そのものも重要ですが、「将来の見通し」がなければ定着しません。以下の要素を明確にすることが重要です。



「初任給は相場並みだが、3年後には+5万円昇給する」という設計なら、長期的な定着が期待できます。


教育体制とセットで考える


給与設計と教育体制は表裏一体です。「しっかり教育するから、給与も上がる」という構造を作ることで、外国人材の成長意欲を引き出せます。

施策

内容

期待される効果

OJT計画

最初の3か月で習得すべき業務を明文化

早期戦力化、教育のばらつき防止

日本語研修

業務に必要な日本語を学ぶ機会を提供

コミュニケーション向上、ミス削減

資格取得支援

フォークリフト・溶接・介護福祉士などの費用を会社負担

スキル向上、長期定着の促進

メンター制度

先輩社員がマンツーマンで支援

不安軽減、離職防止、職場適応の促進

教育に投資する企業は、結果的に離職率が低く、生産性が高いという統計データがあります。




8.給与設計で失敗しないためのチェックリスト


給与設計で失敗しないためのチェックリスト

採用前に確認すべき項目



これらの項目を採用前にクリアすることで、給与に関するトラブルを未然に防ぎ、定着率を大幅に向上させることができます。


給与シミュレーションの実施


実際の給与設計では、シミュレーションを行うことが重要です。


シミュレーション例(製造業・東京都の場合):

項目

計算根拠

金額目安

基本給

地域最低賃金1,113円 × 168時間 ≒187,000円以上 → 23万円設定

230,000円

残業手当

月20時間 × 割増1.25 × 時給換算

約35,000円

夜勤手当

月5回 × 5,000円

25,000円

通勤手当

実費支給

15,000円

合計月給(額面)


約305,000円

このように具体的に計算し、外国人材に事前に説明することで、期待値のズレを防ぎます。



9.よくある質問(FAQ)


よくある質問(FAQ)

Q1. 技能実習生より特定技能の方が給与は高いですか?


A. はい。統計上、特定技能(平均21.1万円)は技能実習(平均18.3万円)より約15%高い水準です。これは、特定技能が「即戦力」として評価されるためです。


Q2. 日本語ができないから給与を下げても良いですか?


A. いいえ。同一の職務を行う場合、日本語能力を理由に給与を下げることは認められません。ただし、「日本語能力が高い人には手当を加算する」という設計は可能です。


Q3. 賞与は必ず支払わないといけませんか?


A. 法的には賞与は義務ではありませんが、日本人に賞与を支払っている場合、外国人材にも同等の賞与を支払う必要があります。


Q4. 寮費を給与から控除しても良いですか?


A. 可能ですが、市場相場を大幅に超える控除は不当とされます。一般的には月2〜3万円程度が適正です。


10.まとめ|特定技能給与は「コスト」ではなく「投資」


まとめ|特定技能給与は「コスト」ではなく「投資」

本記事で解説した内容を整理します。


特定技能外国人材の給与を「削減すべきコスト」と捉えるか、「事業を支える人材への投資」と捉えるかで、結果は大きく変わります。


適正な給与設計明確な昇給基準充実した教育体制。この3つをセットで整備することで、外国人材は長期的に定着し、企業の生産性向上・競争力強化に貢献します。


「いくら払えばいいか?」という問いには、「法令を守り、相場を理解し、自社の戦略を反映させた適正額」と答えるのが正解です。短期的なコスト削減ではなく、中長期の経営判断として給与設計を行いましょう。



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