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執筆者の写真Ayumi Kimura

【特定技能】自動車運送業の詳細や受け入れ企業の要件について徹底解説!

2024年3月の閣議決定で特定技能分野に「自動車運送業分野」が追加されました。担い手不足が深刻化している自動車運送業分野では、特定技能制度が対象となることで解消を目指しています。


本記事では自動車運送業分野の受け入れ見込み数や業務内容、技能水準や受け入れ企業側の要件について詳しく解説していきます。


 

目次:

 

1.自動車運送業分野の現状



自動車運送業はバス、タクシーおよびトラック運転手の人手不足解消を目的としています。

自動車運送業の人手不足は何年も前より指摘されており、労働環境や女性ドライバーの募集などさまざまな対策をとっていましたが、それでも解消されていません。


バス、タクシー、トラック運転手の人手不足は深刻な状況となっています。国土交通省も生活を支える上で必要な人材が足りなくなっていると発表しています。


1-1.トラック運送業の現状

トラック産業は、国内貨物輸送の4割強を担っています。国民の生活と日本経済を支える産業の一つとして、重要な役割です。しかし、重要な役割であるトラックドライバーは年々不足傾向とされています。


貨物自動車運転手(パート含む)の有効求人倍率を見てみると、平成25年度から1.0を超える倍率となっており、平成30年度では2.76倍となっています。


(※有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割り算出。倍率が1を超える場合は、人を探している企業が多く逆に1より低い場合は仕事を探している人が多いことを示します。)


有効求人倍率から、多くのトラック運送業では人材を探している=人手不足であることがわかります。


人手不足の背景として、年齢や女性進出数が挙げられます。トラック業界で働く人の半数は40歳〜54歳となっており、29歳以下の若年層は全体の10%以下に満たないのです。また、女性の割合も2.5%と全産業に比べると極めて低いとされています。


1-2.タクシー事業の現状

タクシー運転手は年々減少傾向です。特に令和元年度から令和3年度のコロナ禍において、タクシー運転者数は全国で約4万人も減少したと言われています。コロナ禍で外出する人数も減少してしまったことも、運転者数が減ってしまった一因にもなっているでしょう。


タクシー運転手も、トラック運転手と同様に、高齢化が進んでいます。全体の産業に比べ16歳も高い58歳となっており、地域によっては、平均年齢=定年という話もあるそうです。


若年層が少なく、定着しないというのも人手不足の要因となっています。


1-3.バス事業の現状

バス事業においては、運転手不足を理由に路線バスの減便や廃止が生じています。路線バスだけではなく、ツアーによる貸切バスでも、運転手不足のため断られることも少なくありません。


バス運転手も、タクシーやトラックと同様に平均年齢が49.9歳と全職業に比べ7歳も高い結果となっています。また、二種免許取得者も減少しているのも、人材不足の原因となっています。



2.特定技能「自動車運送業分野」



特定技能「自動車運送業分野」は2024年3月に閣議決定し追加となった分野です。令和6年度から5年間の受け入れ見込み数は2万4,500人となっており、令和10年度末までの受け入れ上限となっています。


この受け入れ見込み数は、自動車運送業分野で令和6年度以降5年間で見込まれる人手不足人数(28万8,000人)のなか生産性向上や、労働環境整備において、国内人材の確保をしてもなお、不足すると見込まれている人数を1号特定技能外国人の受け入れ上限として運用するものです。


2-1.バス運送業に求められる特定技能外国人の人材基準

バス運送業の主な業務内容は、運行業務と接遇業務です。

技能水準は、第二種運転免許と自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)となっています。


日本語水準は、日本語能力試験(N3)以上、そのほか日本語教育の参照枠B1相当以上の水準と認められるものとなっています。


2-2.タクシー運送業に求められる特定技能外国人の人材基準

タクシー運送業の主な業務内容は、運行業務と接遇業務です。

技能水準は、第二種運転免許と自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)となっています。


日本語水準は、日本語能力試験(N3)以上、そのほか日本語教育の参照枠B1相当以上の水準と認められるものとなっています。


2-3.トラック運送業に求められる特定技能外国人の人材基準

トラック運送業の主な業務内容は、運行業務と荷役業務です。

技能水準は、第一種運転免許と自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)となっています。


バス運送業やタクシー運送業では、ほかの分野に比べ高い日本語能力が必要とされています。従事する業務内容から、コミュニケーションをとって行うためには日本語をある程度理解できる能力が不可欠だからです。


日本語水準は、国際交流基金日本語基礎テストまた、日本語能力試験(N4)以上、そのほか日本語教育の参照枠A2相当以上の水準と認められるものとなっています。


※日本語能力試験…N4以上:基本的な日本語を理解することができる。N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。


日本語教育の参照枠…A2相当=基礎段階の言語使用者:ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、近所、仕事など直接的に関係がある領域に関するよく使われる分野表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応じることができる。


B1相当=自立した言語使用者:仕事・学校・娯楽で普段出会うような身近な話題について、共通語による話し方であれば、主要点を理解できる。身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のあるテクストを作ることができる。



3.特定技能「自動車運送業」分野で特定技能外国人を受け入れるための条件



特定技能外国人を受け入れる企業も一定の条件を満たしている必要があります。

「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」

によると、以下の通り記載されています。


◻️国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員になること。また、協議会に対し必要な協力を行うこと。


◻️国土交通省またはその委託を受けたものが行う調査または指導に対し、必要な協力を行うこと。


◻️道路運送法(昭和26年法律第183号)第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)第2条第8項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営するものであること。


◻️一般財団法人日本海事協会が実施する運転者職場環境良好認証制度に基づく認証を受けたものまたは、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する安全性優良事業所を有するものであること。


◻️タクシー運送業およびバス運送業の受け入れ機関は、1号特定技能外国人に対し、新任運転者研修を実施すること。


◻️特定技能外国人の雇用形態は、直接雇用に限る


3-1.トラック運送業で従事させることができる業務

特定技能自動車運送業分野(トラック)では、廃棄物の運搬するトラックや、貨物軽自動車運送事に特定技能外国人を従事させることが可能となっています。


受け入れ事業者が、道路運送法に規定する自動車運送事業を経営していることや働きやすい職場認証制度、Gマーク制度に基づく認定を受けた安全性優良事業所を有していることといった、受け入れ企業の条件を満たしていれば問題ありません。


ただし、貨物軽自動車運送事業のみを行なっている事業者は働きやすい職場認証制度やGマーク制度に基づく安全性優良事業所の認定対象外となっているため受け入れは不可となっています。


3-2.バス・タクシー運送業の新任運転者研修

バス・タクシー運送業は新任運転者研修が必須となっています。


研修は、旅客自動車運送事業運輸規則第38条第1項、第2項および第5項並びに第39条に規定する事項についての、指導監督および特別な指導をうけ、適性診断を受診することです。


具体的な内容として、

・座学研修(法令・接遇・地理・安全に関する研修)

・路上走行研修

・適正診断

となっています。


新任運転者研修の修了は業界団体が定めた効果測定の基準に基づき判定となります。



4.特定技能制度の基本情報



特定技能「自動車運送業」分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、特定技能制度がどのようなものか理解する必要があります。


特定技能制度の基本情報について確認しておきましょう。


4-1.特定技能1号と特定技能2号

特定技能制度には、1号と2号が存在します。特定技能2号は1号よりさらに熟練した技術や知識が求められます。現在、自動車運送業分野は特定技能1号のみとなっています。


特定技能1号と2号では知識や技術のほかに、在留期間や永住権の取得の可否といった相違点があります。


【特定技能1号】

*在留期間:4ヶ月・6ヶ月・1年ごとの更新で、通算5年を上限とする

*永住権:取得できない

*家族の帯同:不可

*技能水準:相当程度の知識または経験を必要とする技能

*外国人支援:必須、支援計画の策定実施が義務付けられている


【特定技能2号】

*在留期間:6ヶ月・1年・3年ごとの更新で、更新の上限はない

*永住権:条件を満たせば可能

*家族の帯同:条件を満たせば可能

*技能水準:熟練した技能が必要

*外国人支援:不要


4-2.特定技能1号の外国人支援

1号特定技能外国人を受け入れる場合、支援計画を作成し支援が必要となります。

支援計画は特定技能1号に関する在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請の際にそのほかの書類と併せて提出しなくてはなりません。


支援計画には、職業生活上、日常生活条または社会生活条の支援として必要であると定められた10項目の内容や方法を記載します。


また、支援責任者および支援担当者の氏名・役職、または支援の実施を契約により他の者に委託する場合は該当者の氏名・住所が必要となります。


登録支援機関に委託する場合は、登録支援機関を記載してください。


支援計画の10項目は以下の内容になります。

・事前ガイダンス

・出入国する際の送迎

・住居確保・生活に必要な契約支援

・生活オリエンテーション

・公的手続等への同行

・日本語学習の機会の提供

・相談・苦情への対応

・日本人との交流促進

・転職支援(人員整理等の場合)

・定期的な面談・行政機関への通報

この項目に基づき、支援を行います。


5.人手不足の自動車運送業に新たな人材を



自動車運送業界において、新たな人材が入り定着することが重要なミッションとなるでしょう。


外国人ドライバーの雇用は、必要な免許や求められる日本語能力も高いため、難しい部分も少なくありません。しかし、その部分を事業所側でサポートし、支障なく業務を遂行できるように研修や接遇について教えるのも大切です。


早い段階で、受け入れる準備や接遇に関してのサポート体制を整えておきましょう。

特定技能や外国人材の受け入れについて、疑問やサポートが必要な方はぜひご相談ください。


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