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日本の労働力不足が深刻化する中、特定技能制度の重要性が高まっています。最新データでは、特定技能社員が増加傾向にあり、特に介護・建設・外食業界での受け入れが進んでいます。
本記事では、特定技能1号と2号の違いや受け入れ状況、今後の見通しについて詳しく解説します。さらに、日本人の就業環境への影響や、企業が特定技能社員を活用するメリットと課題についても掘り下げます。最新情報を知りたい方は、ぜひご覧ください。
1.特定技能人数最新の動向と最新データ

2024年の特定技能社員数と海外人材労働者数の動向
2024年の特定技能社員数は、前年と比較して増加傾向にあります。特定技能制度は、日本の人手不足解消を目的として導入され、多くの業種で海外人材労働者が活躍しています。
2024年時点での特定技能社員数は、政府の受け入れ拡大方針により増加しており、特に外食業、介護、建設分野での需要が高まっています。

また、特定技能1号の在留海外人材数が多いのに対し、特定技能2号の人数はまだ限られています。
海外人材労働者全体の数も増えており、技能実習制度から特定技能への移行が進んでいる点が特徴です。企業側としては、特定技能の受け入れによる即戦力確保のメリットがあり、特に労働力不足が深刻な業界では重要な人材確保策となっています。
一方で、言語や文化の違いによる課題も指摘されており、受け入れ企業には適切なサポート体制の整備が求められています。
特定技能1号と2号の違いと2024年の受け入れ状況
特定技能1号と2号は、それぞれ異なる条件と役割を持つ在留資格です。
特定技能1号は、一定の技能を持つ海外人材が対象で、建設、外食、農業、介護など12分野での就労が認められています。
一方、特定技能2号は、より高度な技能を持ち、リーダー的な役割を担う人材向けの資格で、2023年に、対象分野が従来の2分野から11分野へ拡大されました。これにより、特定技能1号の12分野のうち、介護を除く全ての分野で特定技能2号の受け入れが可能となりました。
2024年の受け入れ状況を見ると、特定技能1号の申請数は増加傾向にあり、特に介護業界では海外人材労働者の需要が急増しています。技能実習からの移行が進んでいることも影響し、企業側も特定技能を活用した採用活動を強化しています。

一方、特定技能2号については、対象分野の拡大が進んでいるものの、取得要件が厳しいため、現時点での取得者数は依然として少数にとどまっています。

政府は今後、試験制度の整備や受験機会の増加を図り、より多くの海外人材労働者が特定技能2号へ移行しやすい環境を整える方針です。
◾️海外人材労働者が特定技能2号へ移行しやすい環境
項目 | 内容 |
対象分野の拡大 | 2023年の制度改正で、特定技能2号の対象が11分野に拡大 |
移行要件の明確化 | 各分野で試験合格や実務経験が必要 |
企業のサポート | 一部業種で企業が試験申込を代行できる制度あり |
日本語能力向上 | 一部業種で日本語能力N3以上が必須 |
特定技能2号は家族の帯同が認められ、在留期間の更新に制限がないため、長期的な雇用を希望する海外人材にとって魅力的な選択肢となります。対象分野の拡大により、より多くの海外人材が長期就労できる可能性が高まり、企業側の期待も高まっています。
ただし、高度な技能と試験合格が求められるため、企業側も海外人材労働者のスキル向上を支援する体制を整えることが重要です。今後の制度の運用次第では、日本の労働市場における特定技能2号の役割がますます拡大していくでしょう。
2.特定技能人数の推移と将来予測

特定技能人数の推移と技能実習生からの移行
特定技能制度が導入された2019年以降、特定技能1号の在留海外人材数は年々増加しています。特に、技能実習生から特定技能への移行が進んでおり、特定技能取得者の約7割が技能実習制度を経た海外人材労働者です。
技能実習制度では原則3年間の実習期間が設けられており、その期間を終えた後に特定技能1号へ移行するケースが増えています。これは、技能実習で学んだ経験を生かし、より実務的な業務に従事できる特定技能へスムーズに移行できるためです。
2020年から2023年にかけて、新型コロナウイルスの影響で海外人材労働者の受け入れが一時的に減少しましたが、2023年以降は回復傾向にあります。特に建設、外食、介護、農業分野では、人手不足が深刻化しており、特定技能を持つ海外人材労働者のニーズが高まっています。
技能実習生が特定技能に移行する際には、業務内容が同一であることが求められるため、受け入れ企業は海外人材労働者がスムーズに移行できるようサポートすることが重要です。
ただし、技能実習制度と特定技能制度には大きな違いがあります。
技能実習制度は「技術習得」を目的とし、企業が教育を行う役割を担っています。一方、特定技能は即戦力として働くことが前提のため、より実践的な業務に従事できる海外人材労働者が求められます。
今後、技能実習生から特定技能への移行がさらに増えると予想されるため、企業側の受け入れ体制の整備が必要です。
国籍・地域別:特定技能社員数の推移
2024年6月末時点での特定技能社員数は251,747人に達し、前年と比較して増加しています。特定技能の取得者は主に アジア諸国 からの労働者が中心で、特に ベトナム、インドネシア、フィリピン などの国籍が多くを占めています。
◾️国籍別 特定技能在留海外人材数の推移

国籍・地域 | 2023年6月 | 2024年6月 | 増減数 |
ベトナム | 110,648 | 126,832 | +16,184 |
インドネシア | 34,255 | 44,305 | +10,050 |
フィリピン | 21,367 | 25,311 | +3,944 |
ミャンマー | 11,873 | 19,059 | +7,186 |
中国 | 13,468 | 15,696 | +2,228 |
カンボジア | 4,664 | 5,461 | +797 |
ネパール | 4,430 | 5,386 | +956 |
タイ | 4,359 | 5,178 | +819 |
その他 | 3,398 | 4,519 | +1,121 |
◾️ポイント
ベトナムが最も多く、全体の約50%を占めている。
インドネシア・フィリピン も増加傾向にあり、労働力供給国として重要な役割を果たしている。
カンボジア・ミャンマーからの移行も進んでおり、特定技能の受け入れが広がっている。
中国・ネパール からの受け入れは増えているが、他の国に比べて増加率は緩やか。
◾️都道府県別特定技能社員数の推移

特定技能社員は、日本全国で受け入れが進んでいますが、特に 都市部や労働力不足が深刻な地域 での需要が高いです。
関東・中部・近畿圏の都市部では、外食・宿泊・建設・介護業界での受け入れが顕著 であり、一方で地方では農業や漁業などでの受け入れが多い 傾向にあります。
3.特定技能と日本人の雇用バランス

特定技能と日本人の就業者数の関係
特定技能制度の導入により、日本国内の就業者数にどのような影響があるのかが注目されています。特定技能は、特に人手不足が深刻な業種で海外人材労働者を受け入れる制度であり、建設、介護、外食、農業などの分野で多くの海外人材が活躍しています。一方で、日本人労働者の就業状況にどのような変化があるのかを正しく理解することが重要です。
日本では、少子高齢化の影響により労働力人口が減少しています。特に、若年層の就業者が少ない業種では、海外人材労働者の存在が欠かせない状況になっています。例えば、介護業界では、日本人の人材確保が難しくなっており、特定技能を持つ海外人材が現場の重要な戦力となっています。
◾️労働市場の現状と特定技能の必要性
日本では少子高齢化が進行し、生産年齢人口(15~64歳)は1995年の約8,726万人をピークに減少傾向にあります。2023年10月時点では約7,395万人となっています。
一方、労働力人口(就業者数+完全失業者数)は、2024年平均で6,957万人と報告されています。
これは前年と比較して32万人の増加であり、2年連続の増加となります。
特に、介護、建設、外食、農業などの業種で人手不足が深刻化しており、これらの分野で特定技能制度の導入が進められています。
◾️業種別有効求人倍率(2024年12月時点)
業種 | 有効求人倍率 |
介護サービスの職業 | 3.84倍 |
建築・土木・測量技術者 | 7.38倍 |
接客・給仕の職業 | 2.06倍 |
一般事務の職業 | 0.35倍 |
有効求人倍率が2倍を超える業種では、労働力の供給不足が顕著であり、日本人労働者だけでは対応が難しい状況です。
以上のデータを踏まえ、特定技能制度の導入は、特に人手不足が深刻な業種において、労働力の確保に寄与していると考えられます。
ただし、海外人材労働者の増加により、日本人の雇用機会が奪われるという懸念もあります。
さらに、特定技能の受け入れによって日本人の雇用環境が改善される面もあります。例えば、海外人材労働者が単純作業を担うことで、日本人がより専門的な業務に集中できるようになります。また、企業が海外人材労働者の活用を進めることで、労働条件の見直しや待遇改善が行われるケースも増えています。
そのため、特定技能の受け入れが日本人の就業環境に与える影響は一概に悪いものとは言えず、バランスの取れた受け入れ体制が求められます。
企業が特定技能海外人材を活用するメリットと課題
企業が特定技能社員を活用する最大のメリットは、慢性的な人手不足の解消です。特に、建設、介護、外食業界では、日本人労働者の確保が難しくなっており、海外人材労働者の受け入れは業務の維持・拡大に不可欠です。また、特定技能社員は即戦力として働くことが求められているため、技能実習生よりも実務経験が豊富であり、現場の生産性向上にもつながります。
さらに、海外人材労働者の活用によって、企業の国際競争力が向上するケースもあります。特に、外国市場への進出を考えている企業にとっては、特定技能を持つ海外人材従業員が社内にいることで、異文化理解や海外ビジネスの視点を取り入れやすくなります。
また、多文化共生の職場環境を整えることで、日本人従業員の視野が広がり、企業全体の成長につながる可能性があります。
一方で、特定技能社員を受け入れる際には、さまざまな課題もあります。まず、言語や文化の違いによるコミュニケーションの問題が挙げられます。業務上の指示が正しく伝わらない場合、作業効率が低下し、トラブルが発生する可能性があります。そのため、企業は海外人材向けの研修やサポート体制を強化する必要があります。
また、受け入れ後の定着率も課題の一つです。適切な職場環境を整えなければ、海外人材労働者が短期間で離職してしまうリスクがあります。
今後、企業が特定技能社員を効果的に活用するためには、単なる労働力としてではなく、長期的に戦力となるような環境づくりが重要です。海外人材労働者のキャリアアップ支援や、働きやすい職場環境の整備を進めることで、企業と労働者の双方にとってメリットのある仕組みを構築することが求められます。
関連記事:特定技能受入れ人数の現状と課題を徹底解説
4.まとめ

日本の労働市場は今、大きな転換期を迎えています。特定技能制度の拡大により、企業は新たな労働力を確保しつつ、グローバルな競争環境の中でどう適応していくかが問われています。
しかし、単に外国人労働者を受け入れるだけでは、真の課題解決にはなりません。むしろ、日本人労働者との共存、労働環境の整備、賃金や待遇の適正化を進めなければ、社会全体のバランスが崩れる可能性もあります。
企業も政府も、単なる「労働力の補填」ではなく、「共に成長する仕組みづくり」にシフトすべき時ではないでしょうか。これからの労働市場は、「誰が働くか」ではなく、「どのように働くか」が問われる時代へと進んでいきます。
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