特定技能2号とは?1号との違いとキャリアアップの可能性
- sou takahashi
- 10月9日
- 読了時間: 13分

目次:
1.はじめに:特定技能2号が注目される背景
日本では深刻な人手不足が続いており、特に建設業や製造業などの現場では外国人材の活躍が欠かせなくなっています。こうした状況の中で、長期的に働ける「特定技能2号」が注目されています。制度の拡充により、外国人がより安定して日本でキャリアを築ける道が広がりつつあります。
外国人労働力不足と制度拡充の流れ
近年、日本の多くの産業で人手不足が深刻化しています。少子高齢化によって国内の労働人口が減少し、特に中小企業や地方の現場では採用が難しい状況が続いています。こうした課題に対応するため、2019年に導入されたのが「特定技能制度」です。
この制度により、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が日本で働けるようになり、即戦力としての受け入れが進みました。しかし、特定技能1号では在留期間が最長5年で、家族の帯同も認められないなど制約が多く、長期的な人材確保には限界がありました。
そこで政府は、より高度な技能を持つ外国人が長く日本で働けるように「特定技能2号」を創設。更新が可能で、家族帯同も認められるなど、定住を視野に入れた制度へと進化しました。これにより、企業側も安定的な人材確保がしやすくなり、外国人にとっても日本でのキャリア形成が現実的な選択肢となっています。
特定技能2号創設の目的と期待
特定技能2号が設けられた最大の目的は、「熟練した外国人労働者の長期的な活躍を促すこと」にあります。単に労働力の不足を補うだけでなく、技能と経験を積んだ人材が日本社会の一員として定着し、産業の持続的な発展を支える存在になることが期待されています。
また、2号の創設は外国人本人にとっても大きな意味を持ちます。家族と共に日本で暮らせることで、安心して働ける環境が整い、結果として職場への定着率も向上します。企業側も、再教育や採用コストの削減が見込めるため、双方にメリットが生まれる仕組みです。
一方で、制度の運用には課題もあります。2号への移行には高い技能水準や試験合格が求められるため、企業のサポート体制が不可欠です。それでも、将来的には日本の産業構造を支える重要な制度として、ますます注目が高まっています。
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2.特定技能1号と2号の違い(在留期間・家族帯同・職種)

特定技能1号と2号は、どちらも外国人が日本で就労できる在留資格ですが、在留期間や家族の帯同可否、対象職種などに大きな違いがあります。2号はより高度な技能を持つ人材向けの制度で、長期的な定住やキャリア形成を前提としている点が特徴です。
在留期間・更新条件の違い
特定技能1号では在留期間が最大5年と定められており、更新を重ねても原則として延長はできません。一方、特定技能2号は在留期間の上限がなく、一定の条件を満たせば何度でも更新が可能です。つまり、実質的に日本に長期滞在し、定住を視野に入れて働くことができます。 この違いは、制度の目的にも表れています。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
在留期間 | 最長5年(更新制・通算上限あり) | 上限なし(条件を満たせば何度でも更新可能) |
主な目的 | 即戦力としての短期就労 | 熟練人材の長期定着・活躍 |
定住の可否 | 不可(5年で帰国が原則) | 可能(定住・永住も視野に入る) |
家族帯同 | 不可 | 可(配偶者・子ども帯同可能) |
更新要件 | 技能・日本語レベルを維持 | 高度な技能試験合格や実務経験が必要 |
企業側の特徴 | 短期的な人材確保向け | 長期雇用・人材育成・定着支援が前提 |
1号が「即戦力としての就労」を目的としているのに対し、2号は「熟練人材の定着と活躍」を重視しています。そのため、2号では社会保険加入や安定した生活基盤の構築も求められます。 更新が可能な分、企業にとっても長期的な雇用計画を立てやすくなり、人材の定着率向上につながります。
ただし、2号に移行するには高度な技能試験の合格や実務経験が必要であり、誰もが簡単に更新できるわけではありません。企業は早い段階から人材育成を意識し、継続的なサポート体制を整えることが大切です。
家族帯同・対象職種の違い
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
対象となる人材 | 一定の技能と日本語能力を持つ外国人 | 熟練した技能・実務経験を持つ外国人 |
対象分野 | 16分野(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、電気電子情報関連製造、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業) | 介護を除く11分野(建設、造船・舶用工業、自動車整備、産業機械製造、電気電子情報関連製造、素形材産業、繊維工業、飲食料品製造業、外食業、宿泊業、農業、漁業) |
在留期間 | 通算最長5年(更新制・上限あり) | 期間の上限なし(更新可) |
家族帯同 | 不可 | 可能(条件を満たせば配偶者・子ども帯同可) |
雇用形態 | 直接雇用が原則 | 直接雇用(管理職・熟練ポジションも可) |
永住への道 | 原則なし | 永住申請も視野に入れやすい |
試験要件 | 技能試験+日本語試験(N4程度) | 上位技能試験または実務経験(分野別要件あり) |
主な特徴 | 即戦力として短期的な就労を想定 | 長期定着・キャリア形成を想定(家族帯同・更新無制限) |
届出制度 | 年1回の届出(2026年4月以降) | 年1回の届出(2026年4月以降) |
特定技能1号では、家族の帯同が原則として認められていません。そのため、多くの外国人が単身で来日し、限られた期間の中で働いています。一方、特定技能2号では家族帯同が可能で、配偶者や子どもと一緒に日本で生活することができます。
これにより、生活の安定が図られ、長期的な定住がしやすくなっています。 また、対象となる職種にも大きな差があります。
企業にとって、家族帯同が可能な2号人材は、生活の安定によって離職率が低く、長期雇用が期待できる存在です。ただし、家族の生活支援や地域との関係づくりなど、企業や自治体の受け入れ体制の整備も欠かせません。安定的な就労と生活を支える環境づくりが、2号制度の成功の鍵を握っています。
3.2号への移行条件とプロセス

特定技能2号へ移行するには、特定技能1号での就労経験や高い技能レベルの証明が必要です。制度の目的が「熟練人材の定着」であるため、一定の実務経験と試験合格が求められます。企業も移行支援を行いながら、申請から認定までの手続きを進める流れになります。
移行に必要な経験・技能水準
特定技能2号へ移行するためには、まず1号として一定期間働いた実績が必要です。多くの場合、同一分野で数年以上の実務経験を積み、専門的な知識や技能を備えていることが前提となります。加えて、分野ごとに定められた「技能試験」や「実務評価」に合格することが条件です。
たとえば、建設業分野では高度な施工技術や現場管理のスキルが求められ、造船業では溶接や設計などの専門的な知識が評価対象になります。単なる作業員ではなく、現場をリードできるレベルの人材であることが重視されます。 また、2号では日本語能力もより高いレベルが期待されます。業務上の安全指示や書類の理解、チームとの円滑なコミュニケーションが必要だからです。
企業側も、試験対策や技能研修の機会を提供するなど、従業員のキャリアアップ支援が欠かせません。早い段階から2号取得を視野に入れた教育計画を立てることが、移行をスムーズに進める鍵となります。
申請から認定までのステップ
特定技能2号への移行は、本人と受け入れ企業が協力して進める必要があります。
手続きステップ | 内容 | 企業・本人のポイント |
① 試験合格 | 本人が必要な技能試験・日本語試験に合格 | 分野ごとの上位技能試験に合格する必要あり |
② 就労実績の証明 | 1号としての勤務実績を証明(勤続年数・職務内容など) | 勤務態度や評価も審査の参考になる |
③ 企業による申請 | 所属機関(企業)が法務省・出入国在留管理庁へ申請書類を提出 | 雇用契約・報酬・社会保険加入状況を明記 |
④ 審査 | 法務省・入管庁が雇用環境・生活支援体制を審査 | 長期雇用体制・安定した生活支援が重要 |
⑤ 認定・資格変更 | 在留資格が「特定技能2号」に変更される | 変更後は在留期間に上限がなく更新可能 |
⑥ 注意点 | 審査期間は数か月かかる場合あり | 更新時期や雇用契約の有効期限を管理することが大切 |
企業は手続きの遅延を防ぐため、早めに行政書士や専門機関と連携し、必要書類を整えておくことが望ましいです。
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4.企業にとってのメリット(長期雇用・家族定住による安定)

特定技能2号の導入は、企業にとって長期的な人材確保につながる大きなチャンスです。1号のような短期雇用ではなく、定住を前提とした雇用が可能になることで、教育コストの削減や職場の安定にも効果を発揮します。家族帯同の制度によって、外国人社員の定着率も向上します。
長期的な人材確保とコスト削減効果
特定技能2号の最大の魅力は、在留期間の制限がなく、長期的に働いてもらえる点です。これにより、企業は人手不足の根本的な解消につながるだけでなく、採用や再教育にかかるコストを大幅に削減できます。
特に製造業や建設業のように、現場経験が重要な分野では、長く働いてもらうほど生産性が高まり、ミスも減少します。新しい人材を毎年教育するよりも、既存スタッフを育てて定着させたほうが、結果的に企業全体のパフォーマンスが向上します。
また、2号人材は高い技能を持ち、現場のリーダーとしても活躍できるため、組織内での技術継承にも貢献します。ただし、長期雇用が前提となる分、企業側にも責任が伴います。労働環境の整備やキャリア支援が不十分だと離職につながるおそれがあるため、受け入れ体制を整えることが成功のカギになります。
家族帯同による定着率向上
特定技能2号では、配偶者や子どもなどの家族帯同が認められています。この仕組みによって、外国人本人が安心して日本で生活できるようになり、結果として職場への定着率が高まります。
家族と共に暮らせることは、心理的な安定をもたらし、仕事へのモチベーション維持にもつながります。 企業にとっても、家族帯同は大きなプラスです。従業員が安定した生活を送ることで、無断退職や帰国のリスクが減少します。また、地域社会との関わりが深まることで、企業イメージの向上や地域貢献にもつながります。
一方で、家族帯同には住宅支援や教育環境など、生活面でのサポートが必要です。前述の通り、企業が自治体や地域団体と連携して生活支援を行うことが、制度の円滑な運用に不可欠です。単なる「労働力」としてではなく、1人の生活者として受け入れる姿勢が、長期的な雇用安定を生むポイントになります。
5.2号人材のキャリアアップ支援のポイント

特定技能2号人材の育成には、単に雇用するだけでなく「成長を支える仕組み」が欠かせません。技能評価試験への挑戦を後押ししたり、日本語教育や資格取得支援を行うことで、本人のモチベーションと定着率が高まります。企業にとっても、こうした支援は生産性と信頼の向上につながります。
技能評価試験や教育支援の仕組み
特定技能2号へ移行するには、分野ごとに設定された技能評価試験への合格が必要です。これは単なる形式的な試験ではなく、現場で培った経験や専門知識を測るもので、合格すれば「熟練技能者」として正式に認められます。
そのため、企業は社員がこの試験に合格できるよう、計画的な教育支援を行うことが重要です。 たとえば、試験対策の勉強会を社内で実施したり、日本語研修を定期的に行う取り組みが効果的です。OJT(職場内訓練)に加え、外部講師や専門スクールと連携することで、より体系的なスキルアップが可能になります。
また、評価試験に合格した後も成長の機会を提供することが大切です。業務改善プロジェクトへの参加や、後輩指導の役割を任せることで、自信と責任感が育まれます。教育を単なる「支援」ではなく、本人のキャリア形成の一部として位置づけることが、企業と従業員双方の成長を促すポイントです。
多文化共生とキャリアパス設計
特定技能2号人材が長く活躍するためには、職場内での多文化共生を進めることが欠かせません。言語や価値観の違いがある中で、お互いを理解し尊重できる環境を作ることが、安定したチーム運営につながります。たとえば、外国人社員向けの相談窓口や、文化交流イベントの開催などが有効です。
また、キャリアパス設計の明確化も重要です。どのようなスキルを積めば昇進できるのか、将来的に管理職や専門職への道があるのかを示すことで、社員の目標意識が高まります。特に2号人材は長期雇用を前提としているため、「働き続けたい」と思えるキャリアの見通しを示すことが大切です。
さらに、現場リーダーや日本人社員の理解も欠かせません。前述の通り、教育だけでなく「共に働く文化づくり」が制度成功の鍵になります。国籍や背景を超えて協力できる職場をつくることが、最終的には企業全体の競争力向上につながります。
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6.よくある質問

特定技能2号になれる職種は?
特定技能2号の対象職種は、現在は介護を除く11分野(建設、造船・舶用工業、自動車整備、産業機械製造、電気電子情報関連製造、素形材産業、繊維工業、飲食料品製造業、外食業、宿泊業、農業、漁業)が対象です。今後、他の職種への拡大も政府によって検討されています。
1号から2号へ移行する条件は?
特定技能1号から2号へ移行するには、同一分野で一定の実務経験を積み、所定の技能評価試験に合格する必要があります。また、日本での生活基盤が安定していることや、雇用先企業の支援体制も審査の対象です。高い技能と信頼を得た人材のみが移行できる制度です。
2号人材を採用するメリットは?
2号人材は在留期間の更新が可能で、長期的な雇用が期待できる点が大きな魅力です。家族帯同が認められているため、生活が安定し、離職リスクも低下します。さらに、高度な技能を持つため、即戦力として活躍できるだけでなく、現場リーダーや指導者としても成長が見込めます。
7.まとめ:特定技能2号を見据えた採用戦略

特定技能2号の制度は、単なる外国人雇用の枠を超え、「長期的に日本社会で働き続けられる人材」を育てる仕組みとして注目されています。企業にとっては、即戦力となる人材を確保しながら、将来的にはリーダー層として育成できる点が大きな魅力です。短期的な労働力補充だけでなく、戦略的な人材投資として考えることが求められます。
採用戦略を立てる際は、まず1号の段階から育成プランを明確にし、2号への移行を見据えたサポート体制を整えることが重要です。技能試験対策や日本語教育の支援だけでなく、生活面のフォローやキャリア相談なども含め、トータルで支援する仕組みが定着率を高めます。
さらに、家族帯同が可能な2号では、生活環境の整備も採用戦略の一部になります。地域との連携を強め、住まいや教育のサポートを行うことで、社員だけでなくその家族も安心して暮らせる環境を提供できます。
今後、特定技能2号の対象分野が拡大すれば、ますます競争力のある採用が求められます。人材を「使う」視点ではなく、「共に成長する」姿勢で臨むことが、企業の信頼を高め、持続的な成長につながる鍵になるでしょう。
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