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日本と東南アジア4カ国の車線ルールを比較|特定技能ドライバーが知るべき通行方向と注意点

  • sou takahashi
  • 6月25日
  • 読了時間: 16分
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目次:


海外から来日し、日本で運転業務に従事する海外人材ドライバーが増えています。しかし、出身国と日本の交通ルールには大きな違いがあり、戸惑いや誤解から事故につながるケースも少なくありません。とくに車線の使い方や通行方向、交通マナーの違いは、安全運転に直結する重要なポイントです。


本記事では、ミャンマー・ネパール・カンボジア・タイと日本の車線ルールや運転環境を比較し、海外人材のスムーズな適応と、企業が取り組むべき交通教育のヒントをお伝えします。


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1.日本と東南アジアの車線ルールを比較

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日本は左側通行と右ハンドルが基本


日本では道路の左側を走行する「左側通行」が採用されており、運転席は車両の右側、いわゆる「右ハンドル」が標準です。これは日本に限らず、イギリスやオーストラリアなど、かつてイギリスの影響を受けた国に多く見られる形式です。


左側通行の理由には、刀を持った武士の時代に利き手を守るため左側を歩いていた文化的背景や、馬車の操縦の都合など、さまざまな説があります。日本国内では、道路標識や信号、交差点の設計すべてが左側通行・右ハンドルを前提として構築されているため、これに逆らうと重大な事故につながるおそれがあります。


海外から来た右側通行の国の運転者にとっては、最初に直面する大きな違いとなるため、しっかりとした理解と練習が必要です。



東南アジア4カ国の通行方向を整理


東南アジアの主要4カ国であるミャンマー、ネパール、カンボジア、タイは、それぞれ異なる通行ルールを採用しています。


国名

通行方向

ハンドル位置

備考

日本

左側通行

右ハンドル

国内基準に基づき、すべての道路設計が左側通行に対応

タイ

左側通行

右ハンドル

イギリス統治の影響。日本とほぼ同じ交通環境

ネパール

左側通行

右ハンドル

インドと同様の交通方式で、日本と近い運転感覚

カンボジア

右側通行

左ハンドル

フランスの影響を受けた交通制度で、右側通行が一般的

ミャンマー

右側通行

右ハンドル

日本やタイからの中古車輸入が主流。通行方向とハンドル位置が不一致で特殊

タイとネパールは左側通行を採用しており、日本と似た交通環境にあります。一方、ミャンマーとカンボジアは右側通行で、通行方向も運転席の位置も日本と逆になります。


特にミャンマーでは、右側通行にもかかわらず右ハンドル車が多く流通しており、非常に特殊な環境です。これは周辺国や日本からの中古車輸入の影響によるものです。


国によって通行ルールが異なる背景には、植民地支配の歴史や貿易の影響、国内法整備のタイミングなどが複雑に関係しています。運転業務に従事する海外人材にとっては、こうした違いを事前に整理し、混乱を避けることが重要です。


車線の違いが運転感覚に与える影響


通行方向が違えば、当然ながら車線の使い方にも違いが生じます。たとえば、日本では右側の車線が追い越し用ですが、右側通行の国では逆になります。これは運転中の感覚や判断に大きな影響を与える要因です。


また、ハンドルの位置が変わることで死角の位置やミラーの見え方も異なり、特に交差点での右左折や合流時には注意が必要です。さらに、ウインカーやワイパーの操作が左右逆になる車両もあるため、慣れないうちは誤操作のリスクもあります。交通の流れや周囲の反応も異なるため、出身国の感覚で運転すると事故につながることもあります。


こうした違いを理解し、反射的な行動が出ないように意識して運転することが、円滑で安全な運転のために不可欠です。


2.ミャンマーの通行ルールと交通事情

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ミャンマーは右側通行と右ハンドルの国


ミャンマーでは道路の右側を走行する「右側通行」が採用されています。ところが、使用されている車両の多くは右ハンドルという、日本とは逆の組み合わせが一般的です。


項目

内容

通行方向

右側通行

ハンドル位置

右ハンドル(日本と同じ)

車両の主な流通経路

日本・タイなど左側通行国からの中古車輸入

問題点

右側通行と右ハンドルの組み合わせで視界が悪く、追い越し時に危険が伴う

政策対応

ハンドル位置の統一が過去に検討されたが、現在も右ハンドルが主流

運転者への影響

慣れが必要で、事故リスク軽減には注意深い運転が求められる


この組み合わせは本来、運転の視界や安全性の面で好ましくないとされますが、実際には日本やタイなど左側通行の国からの中古車が大量に輸入されているため、右ハンドル車が主流となっています。右側通行で右ハンドルの車を運転すると、追い越しや右折時に対向車線の視認性が悪くなるため、事故のリスクが高まります。


そのため、ミャンマー国内でも交通安全上の懸念が指摘され続けており、政策的にハンドル位置の変更が検討された時期もあります。運転者にとっては慣れが必要な環境と言えるでしょう。


なぜ右ハンドルなのに右側通行なのか


ミャンマーが右側通行でありながら右ハンドル車を使っている背景には、歴史的・経済的な事情があります。かつてイギリスの植民地だったミャンマーは、独立後もしばらく左側通行を採用していました。しかし、1970年に政治的な理由から突然右側通行へと変更されました。


一方で、国内に流通する車両の大半は日本やタイなどから輸入された右ハンドル車であり、交通ルールの変更後も車両の構造はそのまま残ったのです。その結果、現在のような「右側通行×右ハンドル」という非効率な状況が生まれています。


政府も一部の輸入制限を設けたものの、コストや調達の都合により右ハンドル車の需要は根強く、現在も大多数がこの形式で走行しています。


現地道路の整備状況と注意点


ミャンマーの道路インフラは都市部と地方で大きく異なります。首都ネピドーやヤンゴンなど主要都市では舗装された幹線道路が整備されていますが、郊外や地方都市では未舗装の道路も少なくありません。


項目

内容

都市部の道路

幹線道路は舗装され整備されている(例:ネピドー、ヤンゴン)

地方の道路

未舗装の道路が多く、道幅も狭い

歩道・道路幅

歩道が未整備な場所も多く、歩行者・バイクとの距離が近い

交差点の状況

信号機が少なく、アイコンタクトや判断に頼るケースが多い

雨季の影響

冠水・ぬかるみによりスリップの危険が増加

運転時の対応

柔軟な判断力と慎重な操作が求められる


現地での運転には、法的なルールだけでなく道路事情そのものに対する柔軟な対応力が求められます。


3.ネパールの車線と運転環境

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ネパールは左側通行を採用


ネパールでは日本と同じく左側通行が採用されています。車両は道路の左側を走行し、右ハンドルの車が一般的です。この交通ルールは、かつてイギリスの影響を受けた歴史に由来しており、現在もインドやバングラデシュなど近隣諸国と共通の運転方式となっています。


項目

内容

通行方向

左側通行

ハンドル位置

右ハンドル(日本と同様)

背景

イギリス統治の影響により左側通行を採用

近隣国との共通点

インド、バングラデシュなども同じ通行方式

日本との類似点

通行方向・ハンドル位置が共通し、交通環境に馴染みやすい

注意点

信号遵守・譲り合い・歩行者優先など、日本独自のルールに注意が必要

運転業務での対応

形式的な共通点だけでなく、日本の実務ルールを理解する姿勢が重要


そのため、ネパール出身の特定技能海外人材にとって、日本の交通制度には比較的スムーズに馴染みやすい傾向があります。ただし、交通ルールが似ていても、実際の道路事情やマナーには大きな差があります。


交差点での譲り合い、信号遵守、歩行者優先など、日本ならではのルールを理解しておかないと、思わぬ違反やトラブルにつながることもあります。形式の共通点だけで油断せず、実務的な順応が大切です。


道路インフラと交通ルールの実情


ネパールの道路インフラは、都市部と地方で差が大きく見られます。首都カトマンズなどでは主要道路が舗装されているものの、郊外に出ると舗装が不十分な道や狭い山道が多く残っています。


項目

内容

都市部の道路

カトマンズなど主要道路は舗装され整備されている

地方の道路

狭く舗装が不十分な山道や未舗装道路が多い

信号・標識

数が限られており、整備が不十分

交通整理

警察官の手信号に頼る場面が多い

実際の運転習慣

法的ルールよりも現場判断や空いたスペース優先の運転が一般的

日本での注意点

日本の厳格な交通ルールに慣れていないと違反リスクが高まる

ネパール国内の感覚で日本を走行すると、ルール違反になりやすいため注意が必要です。


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4.カンボジアの交通マナーと道路事情

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カンボジアは右側通行で左ハンドルが主流


カンボジアでは右側通行が採用されており、運転席が左側にある左ハンドルの車が主流です。この形式はアメリカやフランスなどと同じスタイルで、植民地時代のフランスの影響が現在の交通制度に残っています。


項目

内容

通行方向

右側通行

ハンドル位置

左ハンドル(アメリカ・フランスと同様)

背景

フランス植民地時代の影響

最近の動向

中国・韓国からの新車輸入により左ハンドル車が主流化

インフラ整備状況

都市部では幹線道路が増加中、交差点ルールは不明瞭な場面も多い

日本との違い

通行方向・ハンドル位置ともに日本とは真逆

来日前の対策

慣れだけでなく、日本の交通ルールを基礎から学ぶことが重要


近年では中国や韓国からの新車輸入も増えており、それに伴って左ハンドル車の比率も高まっています。交通インフラの整備が進み、都市部では複数車線のある幹線道路も増加していますが、それでも交差点や合流地点でのルールが不明瞭な場面も少なくありません。


特定技能で来日するカンボジア出身者にとって、日本の「左側通行・右ハンドル」は感覚的に大きく異なるため、方向の違いに慣れる訓練が重要になります。慣れだけで対応せず、基礎から交通制度を学ぶ姿勢が大切です。


車線遵守より柔軟な対応が重視される


カンボジアの道路では、車線の存在はあるものの、それを厳密に守る文化はあまり定着していません。むしろ交通の流れや他車の動きに合わせて臨機応変に対応することが、現地での一般的な運転スタイルです。


たとえば渋滞時には、車線をまたいで走行したり、交差点で一斉に車両が交差したりする光景も珍しくありません。ウインカーの使用や優先道路の概念も曖昧な場面が多く、視認性とタイミングの判断が重視される傾向があります。このような柔軟な運転に慣れているドライバーが日本で運転する場合、車線遵守や信号機の厳格な運用に戸惑うことがあります。


安全のためには、カンボジア式の「流れを読む」感覚と、日本の「ルールを守る」姿勢をしっかりと切り替える必要があります。


都市部と地方での道路事情の違い


カンボジア国内では、プノンペンなどの都市部と地方都市や農村部で、道路事情に大きな違いがあります。都市部では近年、舗装道路や信号機の整備が進んでおり、一部では日本と変わらない交通環境が整っています。


項目

都市部(例:プノンペン)

地方・農村部

道路舗装

整備が進んでおり、幹線道路は比較的良好

未舗装道路が多く、雨季にはぬかるみが発生しやすい

信号・標識

信号機や標識が整備されてきている

信号や標識は少なく、交通ルールの浸透度も低い

夜間の視認性

街灯があり、一定の視認性が確保されている

街灯が少なく、夜間の運転には注意が必要

通行ルールの理解

日本に近いレベルでルールが運用されている場面もある

通行方向や優先ルールが曖昧なケースが多い

運転者の傾向

一定のルールに基づく運転が期待できる

状況判断に頼る柔軟な運転スタイルが主流

日本での課題




こうした環境で育った運転者は、状況に応じた判断力には優れていますが、日本のように厳格なルールが求められる場面では誤解が生じやすいため、丁寧な研修が不可欠です。


5.タイの左側通行と車両事情

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タイは日本と同じ左側通行・右ハンドル


タイでは、日本と同様に左側通行が採用されており、運転席は車両の右側にある右ハンドルが一般的です。


項目

内容

通行方向

左側通行(日本と同じ)

ハンドル位置

右ハンドル(日本と同じ)

背景

イギリス統治時代の影響で左側通行を採用

道路設計・標識

左側通行に最適化されており、日本と類似

日本との共通点

通行方向・車両構造が一致し、運転環境が似ている

注意すべき違い

一時停止・歩行者優先などの交通マナーは日本のほうが厳格

日本での対応のポイント

表面的な類似性にとらわれず、日本独自のルールを正しく理解することが重要


この交通ルールは、かつてイギリスの統治下にあった名残であり、現在も法律や道路設計、標識配置などが左側通行に最適化されています。そのため、タイ出身の特定技能海外人材にとって、日本の通行ルールは比較的なじみやすいといえるでしょう。


ただし、細かな交通マナーや運転習慣には違いがあります。たとえば、日本では交差点での一時停止や歩行者優先が厳格に守られていますが、タイでは現場判断に委ねられる場面も多く、油断すると日本国内で交通違反となる可能性があります。似ているからこそ、違いを軽視せず理解を深めることが必要です。


日本車が多く導入されている背景


タイでは日本車の流通率が非常に高く、市場全体の7割以上を占めるともいわれています。その背景には、長年にわたる日系自動車メーカーの現地進出と、生産拠点としての経済的な結びつきがあります。


トヨタ、ホンダ、日産といったメーカーがタイに工場を構え、国内市場向けだけでなく東南アジア各国への輸出拠点としても機能しているため、日本車が自然に普及しました。


また、日本車は燃費性能の良さや耐久性が高く評価されており、日常の移動手段としての信頼性が高いのも特徴です。右ハンドルで左側通行という点でも、日本と仕様が一致しているため、特定技能人材にとっては運転環境が類似しており、日本での業務への適応もしやすい土台があると言えます。


渋滞・バイク・右折に関する注意点


タイの交通環境において注意すべき点のひとつが、都市部を中心とした深刻な渋滞です。バンコクなどでは通勤・帰宅のピーク時に道路が大混雑し、車両の流れが大幅に滞ることがあります。


また、バイクの数が非常に多く、車とバイクが混在して走行する場面が日常的です。バイクは車両の間をすり抜けたり、赤信号でも強引に前進するケースもあるため、周囲の確認が欠かせません。


さらに、右折時には対向車や歩行者、バイクとの接触に特に注意が必要です。日本での運転では、こうした「自由度の高い交通行動」は認められず、違反対象となるため、現地での運転習慣をそのまま持ち込むことは危険です。交通マナーの違いを理解し、慎重な運転を心がけることが大切です。


6.特定技能ドライバーが日本で注意すべき点

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日本の運転ルールは厳格に運用されている


日本の交通ルールは、法律として定められているだけでなく、実際の運用においても非常に厳格です。


たとえば、信号無視や一時停止無視、ウインカー未使用といった些細な違反でも、取り締まりの対象となります。これは交通安全を最優先する国としての姿勢の表れであり、事故のリスクを最小限に抑える仕組みでもあります。


海外では「空いていれば行ってもいい」という感覚が許容される場合もありますが、日本ではそうした判断は通用しません。信号が青でなければ進まない、歩行者がいれば必ず止まる、といったルールが徹底されており、運転者には高い意識と注意が求められます。


海外人材ドライバーにとっては、運転技術以上にルールへの順応力が問われる環境です。


通行方向の違いによる逆走リスク


通行方向の違いは、海外から来たドライバーが最も混乱しやすいポイントです。


項目

内容

混乱しやすいポイント

通行方向(左側通行/右側通行)の違い

主なリスク

交差点進入・駐車場出庫時の逆走、追い越しの誤判断

具体的な危険

対向車との正面衝突の可能性

ハンドル位置の影響

ミラーの見え方や死角の位置が変わり、注意力が必要

慣れない時期の対策

標識や進行方向表示の確認を徹底し、低速で慎重に運転

日本での適応に必要なこと

感覚ではなくルールに基づく行動を心がけることが安全運転のカギ

こうしたリスクを避けるには、道路標識や進行方向表示をこまめに確認し、慣れるまでは速度を抑えて慎重に運転する姿勢が求められます。


雇用企業が行うべき交通教育とは


海外人材ドライバーを雇用する企業にとって、単に運転免許の有無を確認するだけでは不十分です。安全運転を実現するためには、実際の道路環境や日本固有のルールに関する教育が不可欠です。


たとえば、左側通行や一時停止のルール、日本語で書かれた道路標識の理解、交通マナーに対する意識など、事前にしっかりと指導する必要があります。また、路上での実地研修や、想定されるシチュエーション別のロールプレイも有効です。


さらに、事故発生時の対応手順や保険制度の説明も、本人の不安解消につながります。企業側が積極的に交通教育に取り組むことは、事故防止だけでなく、信頼される海外人材の育成にもつながる重要な責任です。


特定技能 自動車運送業分野社員採用について




7.まとめ

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海外から日本に来て運転業務に従事する海外人材にとって、通行方向や車線ルールの違いは、単なる交通の知識ではなく、安全と信頼を左右する重要なポイントです。


本記事で取り上げたように、ミャンマー、ネパール、カンボジア、タイといった東南アジア各国は、それぞれ異なる交通事情と背景を持っており、そのままの感覚で日本での運転を始めると、思わぬリスクを招くことがあります。


一方で、日本の交通制度は厳格であり、ルール順守が社会的な信頼の基盤にもなっています。だからこそ、雇用企業は単なる運転技術の評価にとどまらず、制度理解や現地との違いに対する教育を重視すべきです。


多国籍人材を活用する運送業においては、違いを乗り越えた「共通の安全意識」を育てることが、継続的な成長と事故防止の鍵になるでしょう。

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