特定技能外国人材の受入れ準備チェックリスト|契約・社内体制・現場対応まで完全網羅
- sou takahashi
- 4 日前
- 読了時間: 11分

目次:
「技能外国人を採用することは決まったけど、何から準備すればいいのか分からない…」
受入れ準備は想像以上に多岐にわたり、準備漏れがあると受入れ当日に大混乱という事態になりかねません。制度面、契約面、社内体制、現場準備、生活支援――すべてを抜けなく進める必要があります。
本記事では、受入れ前〜受入れ当日〜受入れ後まで、時系列で必要な準備を完全網羅したチェックリストを提供します。チェックを入れながら進めることで、準備漏れを防ぎ、スムーズな受入れを実現できます。
このチェックリストは印刷して社内で共有し、実務ツールとして活用してください。「ここまで書いてくれるサイトは他にない」――そう思っていただける内容を目指しました。
1. 特定技能外国人の受入れ準備|全体の流れとタイムライン

受入れ準備の3つのフェーズ
受入れ準備は大きく3つのフェーズに分かれます。

受入れ準備タイムライン(推奨スケジュール)
タイミング | 主な準備項目 |
3か月前〜 | 社内体制構築、支援計画作成、在留資格申請 |
1か月前〜 | 住居確保、現場準備、受入研修実施 |
1週間前〜 | 生活必需品準備、初日スケジュール確定 |
受入れ当日 | 空港出迎え、住居案内、オリエンテーション |
受入れ後 | 定期面談、生活支援、業務フォロー |
このチェックリストの使い方
各項目を順番に確認し、完了したら□にチェックを入れてください
担当者名を記入し、責任の所在を明確にしましょう
社内会議で共有し、関係部署全体で進捗を管理してください
印刷して使うことも可能です
2. 【フェーズ1】受入れ前準備チェックリスト

制度理解・要件確認
□ 在留資格の種類と就労可能範囲を理解した
特定技能1号/2号の違いを把握
従事できる業務内容を確認
就労できない業務(付随業務の範囲)を理解
□ 自社が受入機関としての要件を満たしているか確認した
労働関係法令を遵守しているか
社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入しているか
過去5年以内に出入国・労働関係法令違反がないか
分野別の固有要件を満たしているか(建設業許可、介護事業所指定など)
□ 支援義務の内容を把握した
義務的支援10項目(事前ガイダンス、出入国送迎、住居確保支援など)を理解
任意的支援の内容を検討
自社で実施するか、登録支援機関に委託するかを決定
□ 届出義務を把握した
定期届出(現在:四半期ごと、2026年4月〜:年1回)の内容
変更時届出(雇用契約変更、住所変更など)の内容
届出期限と提出先(出入国在留管理局)を確認

社内体制の構築
□ 受入れ責任者を決定した
経営層または管理職から選任
外国人採用の全体統括を担当
氏名:_______________
□ 支援責任者・支援担当者を選任した
要件を満たす人材を選任(過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務経験者など)
役割と責任を明確化
支援責任者:_______________
支援担当者:_______________
□ 現場の受入担当者(メンター)を決定した
外国人と日常的に接する担当者
業務指導、相談対応を行う
メンター:_______________
□ 登録支援機関への委託を検討・決定した
自社対応 or 委託の判断
委託する場合は機関の選定と契約締結
委託先:_______________
□ 社内向け説明会・研修を実施した
経営層・管理職向け:外国人採用の目的と方針説明
現場社員向け:受入準備と協力依頼
全社向け:外国人との働き方、やさしい日本語、文化理解
実施日:_______________
□ 緊急連絡体制を整備した
24時間対応可能な連絡先を確保
緊急時の対応フローを作成
外国人に緊急連絡先リストを配布する準備
雇用契約・支援計画
□ 雇用契約書を作成した
日本人と同等以上の報酬を設定
業務内容が在留資格に合致しているか確認
労働条件の明示(労働時間、休日、給与、社会保険など)
外国人が理解できる言語での作成(または翻訳版の添付)
□ 雇用条件書を作成した
出入国在留管理局指定の様式を使用
雇用契約書との整合性を確認
□ 1号特定技能外国人支援計画を作成した
義務的支援10項目の具体的内容を記載
実施方法と担当者を明記
母国語での情報提供体制を整備
□ 協力確認書を取得した(2025年4月〜必須)
分野別の所管省庁に申請
受入れ基準を満たしていることの確認
取得日:_______________
□ 在留資格認定証明書交付申請/在留資格変更許可申請を実施した
必要書類を収集(雇用契約書、支援計画書、協力確認書、技能試験・日本語試験合格証明書など)
申請書類を作成
入管に申請(審査期間1〜3か月を考慮)
申請日:_______________
見落としがちなポイント:
雇用契約書の「報酬」が同業他社の給与水準と比較して適正か確認
支援計画の「定期面談」の実施方法(誰が、いつ、どこで、何語で)を具体的に明記
在留資格申請は余裕を持って(受入れ希望日の3か月前には申請)
3. 【フェーズ2】受入れ直前準備チェックリスト

住居・生活環境の整備
□ 住居を確保した
社宅提供 or 賃貸契約のサポート
企業が保証人になる、または保証会社を利用
通勤時間、家賃、広さを外国人と事前確認
入居可能日:_______________
□ 生活に必要な家具・家電を準備した
ベッド、布団、テーブル、椅子
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器
照明器具、カーテン
食器、調理器具、掃除用具
□ 生活インフラの契約を準備した
電気、ガス、水道の契約手続き
インターネット回線の契約(可能であれば)
入居日から使える状態に設定
□ 生活必需品を準備した
初日から使える食料品(米、調味料、レトルト食品など)
トイレットペーパー、ティッシュ、洗剤など日用品
タオル、シャンプー、石鹸などの消耗品
□ 近隣への挨拶を準備した
賃貸の場合、大家さん・管理会社への事前連絡
近隣住民への挨拶(可能であれば)
ゴミ出しルール、騒音への配慮などを説明する準備
見落としがちなポイント:
Wi-Fi環境は必須:母国の家族と連絡を取るために不可欠
宗教上の配慮:イスラム教徒の場合、礼拝スペースや食材(ハラル対応)を確認
寝具のサイズ:体格に合わせたベッド・布団を用意
現場の受入準備
□ 作業手順書を多言語化・視覚化した
写真、イラスト、動画を活用
やさしい日本語 + 母国語の併記
安全に関わる部分は特に丁寧に作成
□ 現場の安全教育資料を準備した
安全標識の意味
保護具(ヘルメット、手袋、ゴーグルなど)の使い方
緊急時の避難経路
母国語版があると理想的
□ コミュニケーションツールを用意した
翻訳アプリ(Google翻訳、ポケトークなど)
指差し会話帳
業務で使う専門用語リスト(多言語)
□ ロッカー、作業服、名札などを準備した
外国人専用のロッカーを用意
サイズを事前に確認して作業服を準備
名札(日本語名 + 母国語名を併記すると親切)
□ 現場社員への最終説明を実施した
受入れ日程の共有
初日の流れと役割分担
コミュニケーションのポイント再確認
実施日:_______________
□ 初日のスケジュールを作成した
時間ごとのスケジュール(オリエンテーション、現場案内、業務開始など)
担当者の役割分担を明記
通訳が必要な場合は手配
見落としがちなポイント:
食堂・休憩室の案内:食事のルール、電子レンジの使い方、冷蔵庫の使い方
宗教上の配慮:礼拝時間の確保、豚肉・アルコールを含む食事への配慮
作業服のサイズ:事前に身長・体重を聞いて適切なサイズを用意
行政手続きの準備
□ 在留資格認定証明書/在留資格変更許可の結果を確認した
許可が下りているか確認
在留カードの受取方法を把握(空港で交付 or 郵送)
□ 雇用保険・社会保険の加入手続きを準備した
必要書類を確認(雇用契約書、在留カード、住民票など)
入社日以降、速やかに手続き
□ 住民登録の手続きを準備した
必要書類(パスポート、在留カード、住居の契約書など)
市区町村役場の場所と窓口時間を確認
同行支援の予定:_______________
□ 銀行口座開設の準備をした
口座開設可能な銀行を選定(ゆうちょ銀行、地方銀行など外国人対応可能な銀行)
必要書類(パスポート、在留カード、住民票、印鑑など)
同行支援の予定:_______________
□ 携帯電話契約の準備をした
契約可能なキャリアを選定
プランの検討(データ容量、国際通話の有無など)
同行支援 or 社用携帯の貸与を検討
4. 【フェーズ3】受入れ当日〜定着支援チェックリスト

受入れ当日(入国日・入社日)

□ 空港への出迎え(海外から来日の場合)
出迎え担当者:_______________
到着便、到着時刻:_______________
迎えの看板(名前を書いたボード)を準備
□ 住居への案内・説明
住居までの移動手段を手配
住居の使い方を説明(鍵、電気、ガス、水道、エアコン、洗濯機など)
ゴミ出しルール、近隣への配慮事項を説明
□ 生活オリエンテーションの実施
近隣施設の案内(スーパー、コンビニ、病院、駅、バス停など)
実際に一緒に歩いて確認
緊急時の連絡先を書いた紙を渡す(日本語 + 母国語)
□ 入社オリエンテーションの実施
会社の理念、ルール、組織図の説明
就業規則の説明(勤務時間、休憩時間、休日、有給休暇など)
給与支払日、勤怠管理の方法
休暇の取り方、報告・連絡・相談の方法
□ 安全衛生教育の実施
労働安全衛生法に基づく雇入れ時教育
作業服の着用方法
保護具の使い方
危険箇所、禁止事項の説明
□ 現場の案内
職場の案内(自分の作業場所、休憩室、トイレ、更衣室、喫煙所など)
同僚への紹介
メンター(受入担当者)の紹介
見落としがちなポイント:
初日は情報過多になりやすい:重要なことは繰り返し伝え、資料も渡す
一方的な説明にならない:「分からないことはない?」と確認しながら進める
写真を撮る:初日の様子を記録し、本人にも送ってあげると喜ばれる
入社後1週間〜1か月

□ 住民登録・銀行口座開設・携帯契約に同行した
必要書類を持って役所・銀行・携帯ショップへ同行
手続きの説明と通訳サポート
実施日:_______________
□ 業務の基本を教えた
やってみせる→やらせてみる→確認する
短い指示で、やさしい日本語を使う
できたことを褒める、間違いは優しく訂正
□ 初回面談を実施した(入社後1週間以内推奨)
生活面の困りごとはないか
仕事は理解できているか
体調は大丈夫か
実施日:_______________
□ 社内コミュニケーションの機会を作った
歓迎会、食事会など
同僚との距離を縮める場を設ける
実施日:_______________
継続的な定着支援(入社後3か月〜)

□ 定期面談を実施している(3か月に1回以上)
仕事の状況、生活の状況を丁寧にヒアリング
困りごと、悩みを早期にキャッチ
キャリアの希望も聞く
次回面談予定:_______________
□ 日本語学習の機会を提供している
社内勉強会の実施
日本語学校への通学支援
オンライン教材の提供
□ キャリアパスを明示した
昇進・昇給の基準を説明
特定技能1号→2号へのステップアップ支援
「この会社で成長できる」という安心感を提供
□ 評価制度を公平に適用している
日本人と同じ評価基準
評価結果のフィードバック
頑張りが報われる仕組み
□ 早期離職のサインに注意している
遅刻・欠勤の増加
表情が暗い、元気がない
コミュニケーションが減る
仕事のミスが増える
□ 定期届出を実施している
四半期ごとの定期届出(2026年4月〜年1回)
変更時届出(雇用契約変更、住所変更など)
次回届出予定:_______________
□ 継続的な現場フォロー体制がある
メンターが定期的に声をかける
困ったときに相談できる雰囲気
孤立させない工夫
見落としがちなポイント:
ポイント | 具体的な対応 |
定期面談の工夫 | 「問題ないですか?」ではなく、「最近楽しいことあった?」など答えやすい質問から入る |
相談しやすい雰囲気づくり | 「困ったことがあったらいつでも言ってね」と繰り返し伝える |
小さな変化への対応 | いつもと様子が違う場合は、早めに声をかけて確認する |
5. 見落とされがちな重要ポイント

文化・宗教への配慮
□ 食事の制限を確認した
イスラム教徒:豚肉、アルコール不可(ハラル対応が必要)
ヒンドゥー教徒:牛肉不可
社員食堂、懇親会での配慮
□ 礼拝時間・場所の確保
イスラム教徒は1日5回の礼拝が必要
礼拝スペースの提供(個室が理想、難しければ静かな場所)
礼拝時間の柔軟な対応(休憩時間の調整など)
□ 休日の配慮
宗教上の祝日・断食期間(ラマダンなど)への理解
可能であれば休暇取得の配慮
家族とのつながり支援
□ 母国の家族と連絡を取りやすい環境
Wi-Fi環境の整備(住居、職場)
国際通話可能な携帯プランの提案
ビデオ通話ができる環境
□ 帰国費用の支援を検討
年1回の一時帰国費用の補助
長期休暇(5日以上)の取得支援
心理的安全性の確保
□ 相談しやすい雰囲気づくり
「困ったことがあったらいつでも言ってね」と繰り返し伝える
相談窓口を明確にする(メンター、人事、登録支援機関など)
母国語で相談できる体制(登録支援機関の活用)
□ ハラスメント防止対策
外国人だからといって差別しない
文化の違いを尊重する
ハラスメント研修の実施
災害・緊急時対策
□ 防災マニュアルの多言語化
地震、火災、台風などへの対応
避難場所、避難経路の確認
防災訓練への参加
□ 緊急連絡先の共有
警察(110)、消防・救急(119)
会社の緊急連絡先
母国の大使館・領事館
緊急連絡先リストを外国人に配布
見落としがちなポイント:

6. まとめ|準備の質が定着率を左右する

特定技能外国人の受入れは、準備すべきことが多岐にわたります。しかし、このチェックリストを順番に確認していけば、準備漏れを防ぐことができます。
重要なのは、以下の3点です。

受入れ準備の質が、外国人材の定着率を左右します。丁寧な準備が、外国人にとって「この会社で働き続けたい」と思える環境を作ります。




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