top of page
検索
執筆者の写真Ayumi Kimura

【育成就労制度】制度の詳細や概要、技能実習制度との違いについて詳しく解説!

2027年の改正法施行を目安に、人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設されます。


育成就労制度は、これまでの技能実習制度に代わる制度とされています。技能実習制度においては、さまざまな問題が浮き彫りになってきました。育成就労制度では、これらの問題を解消できるように調整されています。


本記事では、育成就労制度の詳細や技能実習制度との違い、概要や施行スケジュールについて詳しく解説していきます。


 

目次:

 

1.技能実習制度



技能実習制度は、技能実習生が日本で得た技術や技能、知識を母国へ持ち帰り、発展を目指すことが目的とされ1993年から運用されてきた制度です。


母国へ持ち帰ることが目的とされているため、日本での在留期間は最長で5年とされています。この制度を活用し、技能実習生は知識を学び国内の企業は人手不足を解消することが可能となりました。


しかし、技能実習制度においてさまざまな課題や問題点も浮上します。


1-1.技能実習制度における課題

技能実習制度は、技術や技能あるいは知識を母国へ持ち帰ることが目的とされています。しかし、実態は国内における人材確保や人材育成が主となっているのです。


そのため、制度の目的と運用実態が乖離している点が課題として挙げられました。


また、技能実習生の日本語能力不足についても課題として挙げられています。第一号技能実習生であれば、日本語能力試験においてN4相当の能力を有していれば良いとされています。しかし、スムーズに会話をするとなればそれよりも高い能力を求められるでしょう。


1-2.技能実習制度における問題

技能実習制度では、課題だけではなく問題視される部分も多く存在します。

過去にあった問題として、給料や残業代の未払いや、最低賃金以下で働いていたということもありました。


また、長時間労働を強いられるケースや自ら進んで長時間労働するというケースも多く残業時間が100時間以上超えていることもあります。

そのほかにも、犯罪への関与やハラスメント問題だけではなく失踪問題など多くの問題が挙げられています。


これらの問題は日本だけではなく国際的にも問題視されており制度の見直しは必須となっていました。


制度の見直しとして、2024年に育成就労創設の改正案が閣議決定され、同年6月に改正出入国管理法が可決、2027年を目安に育成就労制度が開始される運びとなったのです。


2.育成就労制度とは



令和6年6月21日に、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。


技能移転による国際貢献を目的とした、技能実習制度を見直し国内における人手不足分野の人材の育成や確保を目的とした、育成就労制度が創設される運びとなりました。


2-1.育成就労制度の概要

・育成就労制度の目的

育成就労産業分野において、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的としています。


そのため、技能実習制度と異なり、母国への知識や技術の移行ではなく人材確保が主な目的・方針となっています。


(※育成就労分野…育成就労制度の受け入れ分野。特定産業分野(特定技能制度の受け入れ分野)のうち就労を通じて技能を習得させることが相当なもの)


・基本方針・分野別運用方針

育成就労制度の基本方針及び育成就労産業分野ごとの分野別運用方針を策定。


分野別運用方針において、生産性向上及び国内人材確保を行なってもなお不足する人数に基づき分野ごとの受け入れ見込み数を設定し、これを受け入れの上限数として運用する。


基本方針や分野別運用方針、受け入れ見込み数については、特定技能と同様に分野別に設定されることになりそうです。


2-2.育成就労制度の期間

技能実習制度では、最長5年までの期間が設けられていました。しかし、育成就労制度は最長で3年とされています。

(ただし、特定技能1号の試験不合格となった場合は再受験のための最長1年の在留継続が認められます。)


企業側は、育成就労外国人ごとに育成就労計画を作成し、認定が必要となります。育成就労計画には、育成就労の期間や業務・技能・日本語能力等など育成就労の目標や内容を記載し、外国人育成就労機構による認定が必要です。



3.育成就労から特定技能制度への流れ



育成就労制度は、特定技能制度へ移行できるように人材の確保や育成を主としています。

そのため、育成就労と特定技能1号の対象となる職種や分野が原則一致するように定められます。


育成就労は原則3年となっており、就労開始までに日本語能力A1相当(日本語能力試験N4)以上の試験合格または、それに相当する日本語講習の受講が必要です。


(※日本語能力A1相当=基礎段階の言語使用者:具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。もし、相手がゆっくり、はっきると話して、助け舟を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる。)


育成就労制度では、技能実習制度と異なり転籍が可能となっています。技能検定基礎等級及び、日本語試験の合格が本人意向の転籍の条件です。


3年間、育成就労により技能や知識を育成したのち、最長で5年間の在留が可能となる特定技能1号に移行が可能です。


移行するためには、技能検定試験3級や特定技能1号評価試験+日本語能力A2(日本語能力試験N4)以上の試験の合格が必要となります。


特定技能1号から2号への移行も可能で、こちらも特定技能2号評価試験及び日本語能力B1(日本語能力試験N3)以上の合格が条件です。


(※日本語能力A2相当=基礎段階の言語使用者:ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、近所、仕事など直接的に関係がある領域に関するよく使われる分野表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応じることができる。

日本語能力B1相当=自立した言語使用者:仕事・学校・娯楽で普段出会うような身近な話題について、共通語による話し方であれば、主要点を理解できる。身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のあるテクストを作ることができる。)


4.育成就労制度のポイント



育成就労制度は、技能実習制度で挙がった課題や問題点を見直し創設された制度になります。


育成就労制度ついて、技能実習制度との違いも含めて確認していきましょう。


転籍が可能

技能実習制度では、転籍不可でした。労働環境や給料の未払い、ハラスメントがあったとしても転籍ができないためその環境に耐えるか、失踪してしまうという状況に陥っていました。しかし、転籍が可能になったことでより育成就労外国人にとって良い環境で就労できると言えるでしょう。


②長期就労が可能

育成就労制度は、特定技能1号や2号へと移行できるように運用されます。技能実習制度と特定技能制度では、同様の分野ではない場合もあったため移行のミスマッチもありました。

しかし、育成就労は特定技能と同様の分野で計画されているため、条件や試験面でクリアすれば移行もスムーズに進められます。


日本で長く働きたい、キャリアを積みたいと考えている外国人や、長期間働いてほしいと考えている企業にとってメリットと言えるでしょう。


③企業側の費用が技能実習より高くなる

技能実習制度では、日本へ入国するために送り出し機関への手数料や渡航料を自分で負担していましたが、育成就労制度では、受け入れ企業がこれらの費用を負担することになります。


そのため、企業側の費用は技能実習より高くなります。逆に育成就労外国人の負担が軽くなるとも言えるのです。


④日本語能力を有している

育成就労では、一定水準以上の日本語を有していることが条件の一つとされています。そのため、簡単な読み書きができることが期待されるため、コミュニケーションがとりやすいでしょう。


⑤人材獲得競争の可能性

転籍が可能な育成就労では、人材獲得競争が出てくる可能性も否定できません。本人の意向と理由が正当であると認められた場合、同業種の別企業へ転籍もあり得るのです。


転籍されないためには、不当な勤務体系はもちろんのこと、働きやすい職場環境であることを常に考える必要がありそうです。


5.受け入れ機関の要件



2027年より施行される育成就労制度ですが、現時点判明している受け入れ機関の要件については以下のとおりとなっています。


「育成就労制度も、技能実習制度と同じく人材育成を目的とする観点から、受け入れ機関ごとの受け入れ人数枠を含む育成・支援体制等の要件については適正化して維持する方向。」


上記のことから、受け入れ機関では育成就労外国人を受け入れるために支援体制を整える必要があるとされます。適正化して維持するとのことなので、現段階では詳細はわかっておりませんが、育成就労制度に適した内容を求められる予定です。


また、育成就労計画書を提出する必要があるため、業務だけではなく支援内容についても特定技能と同様に計画し、提出しなくてはならないと推測されます。


「人材確保を目的とした上で、特定技能制度との連続性を持たせる観点から、特定技能制度と同じく、受け入れ対象分野別の協議会への加入等の要件を新たに設ける予定です。」


特定技能制度では、各分野ごとに特定技能外国人材受け入れ協議・連絡会が存在します。協議会への加入は、受け入れ機関の要件の一つとなっています。


協議会へ加入し、協議会において協議が調った措置を講じることや協議会に対して必要な協力を行うことが求められます。


上記のほかに、転籍が可能という点から転籍の要件である「育成就労を適切に実施する基準を満たしている」ことも受け入れ機関に求められるでしょう。


6.育成就労で就労可能な職種



技能実習制度では、約90職種が受け入れ可能となっていました。制度の目的からすれば、これだけ多い職種でも母国の発展に役立つと考えられます。


しかし、技能実習生が日本に残り、就労したいと考えた場合技能実習から特定技能へ移行しようと考えた際、技能実習の職種では移行できないというミスマッチが発生してしまいました。


これを踏まえ、育成就労制度では特定技能へ移行することを考え、特定技能1号の職種に準じるとされています。


6-1.特定技能1号で就労可能な分野

現在、特定技能1号で認められている分野(特定産業分野)は以下のとおりとなっています。


①介護

②ビルクリーニング

③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

④建設

⑤造船・舶用工業

⑥自動車整備

⑦航空

⑧宿泊

⑨農業

⑩漁業

⑪飲食料品製造業

⑫外食業

⑬自動車運送業

⑭鉄道

⑮林業

⑯木材産業


これらの分野は、人手不足が深刻な産業とされています。特定産業分野は、国内で人材を確保することが難しく、人材確保を図るべき産業分野と定義されています。


2027年に育成就労制度が施行されるときまでに、上記の分野が増える可能性もあるでしょう。


6-2.技能実習制度の移行期間

2027年から育成就労制度に移行しますが、その前後に技能実習を行なっている場合は継続して技能実習を行うことが可能となっています。


また、施行日前に技能実習計画の認定の申請をしている場合も、施行日以降に技能実習生として入国できる場合もあります。


ただし、施行日前に技能実習を終えて出国している場合は技能実習生として再度入国はできません。


技能実習制度から育成就労制度へ移行するにあたって、現在受け入れている機関が人手不足になってしまう可能性もあるでしょう。移行期間を設けたのは、その間に体制を整えるためとも考えられます。


7.育成就労外国人の受け入れで長期に渡る人材育成を



育成就労は最長3年間の在留が認められています。主に特定技能1号の技能を有する外国人を育成するための制度となります。


人手不足のなかで、長期に渡り就労してくれる外国人を早い段階から育成していくのは企業にとって大きなメリットになるはずです。


2027年まで時間はありますが、さまざまな申請や準備が必要とされるでしょう。

育成就労制度や特定技能制度など、就労ビザについて詳しく知りたいという方はぜひご相談ください。


\\合わせて読みたい//

 

GLORY OF BRIDGEでは

特定技能に関する詳細情報をはじめ、各国の優秀な人材を紹介する外国籍人材紹介事業や登録支援機関としての職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援のサポートを実施します。 「少し話を聞いてみたい」「相談したい」等ありましたら、お気軽にご相談ください。専門スタッフが無料で貴方の相談に乗ります。



閲覧数:1,849回0件のコメント

Comments


bottom of page