少子高齢化と労働力不足に直面する日本の建設業界で、外国人労働者の重要性がますます高まっています。その中でも、特定技能制度は、業界の成長を支える大きな役割を果たしています。特に、特定技能2号はより高度な技能を持つ外国人労働者が永続的に働くことを可能にする仕組みです。今回は、特定技能2号の概要、建設業界での意義、そして企業や労働者にとってのメリットを詳しく解説していきます。
目次:
1. 特定技能制度とは?
特定技能制度は、日本国内の労働力不足に対応するために2019年に導入された制度で、外国人労働者が特定の分野で働くことを支援する仕組みです。この制度は、技能や日本語能力の条件を満たした外国人が「特定技能1号」として日本で就労できるようにするものですが、さらにその上位資格として「特定技能2号」が設定されています。
「特定技能2号」は、建設業や造船・舶用工業などの分野で、より高度な技能を持つ外国人労働者に、在留期間の無制限での就労を許可するもので、家族の帯同も認められるという点が特徴です。特定技能1号とは異なり、2号を取得するには実務経験や試験など、より高度な技能が求められます。
2024年8月末時点での建設業・特定技能2号の人数については112人になります。
特定技能1号と特定技能2号の違い
特技能1号 | 特定技能2号 | |
在留期間 | 通算5年 | 更新の上限なし |
永住権の取得 | できない | 要件を満たせる可能性あり |
技能水準 | 相当程度の知識または経験を必要とする技能 | 熟練した技能 (各分野の技能試験で確認) |
外国人支援 | 必須。支援計画の策定実施は義務 | 支援計画の策定実施は不要 |
家族の帯同 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
日本語能力水準試験の有無 | ある | ない |
試験の実施状況 | 国内外で実施中 | 主に国内で実施 |
2. なぜ建設業界で「特定技能2号」が必要とされるのか?
日本の建設業界は、深刻な人手不足に直面しています。この要因の一つとして、建設業従事者の高齢化が挙げられます。現場で働く労働者の平均年齢が高まっていることから、次世代を担う若手の確保が急務とされています。
しかし、若年層の就労者が少ないことから、外国人労働者の雇用は、今や建設業界の成長を支えるために不可欠な要素となっています。
特に、建設業における特定技能2号は、高度な技能を要する業務にも対応できる外国人労働者を確保するための重要な手段です。
これにより、熟練労働者が求められる大型プロジェクトや、地方での建設需要にも対応できるようになります。
特定技能2号の資格取得者は、より専門性の高い作業や技術を担うことが期待されており、これが業界全体の品質向上や安全性の向上にも寄与するでしょう。
3. 特定技能2号取得の条件
特定技能2号を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
※特定技能1号として日本で就労できる期間が5年であるため、5年間のうちに条件を満たす必要があります。
技能試験の合格
建設業界における専門技術の技能検定1級または国土交通省が定めた特定技能2号評価試験に合格する必要があります。
この試験では、業界の現場で必要とされる高度な知識と技能が問われます。
実務経験
特定技能1号の資格取得後、一定の実務経験が求められます。この期間中に、技能や現場知識を深め、2号の取得に必要な能力を養います。
班長または職長として、国土交通省の定める期間(0.5~3年)の実務経験が必要です。
日本語能力
特定技能2号では、日本語能力の条件が強化されています。業務内容や安全対策を理解し、周囲と円滑にコミュニケーションを取れることが求められるためです。
特定技能2号は、建設分野での永住を前提とした働き方が可能となるため、労働者にとっても長期的なキャリア形成が期待できます。
試験は日本語で行われ、特定技能1号の試験とは異なり漢字にルビがつきません。
要件に日本語能力試験への合格は含まれないものの、ある程度の日本語能力が必要になります。
試験の日程については、各都道府県で月に2回実施されています。
試験の概要・テキスト・申し込みについては、一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)のホームページより行えます。
4. 特定技能2号のメリット
特定技能2号は、企業と労働者の双方に大きなメリットをもたらします。
労働者の安定したキャリア形成特定技能2号の資格を取得した外国人労働者は、日本での永住が可能になります。家族の帯同が認められるため、生活の基盤を日本に置きやすく、長期的なキャリア形成が可能となります。
また、専門性の高い業務に従事することで、スキルアップや収入の向上も期待できま す。
企業における人材不足解消と高度な技術力の確保、特定技能2号を取得した労働者は、企業にとって貴重な戦力となります。
特に大型プロジェクトや専門技術を要する現場において、経験豊富な労働力が必要です。
特定技能2号により、技術を持った外国人労働者が定着することで、現場の安定化や生産性の向上が見込まれます。
地域経済の活性化地方の建設現場でも労働者の確保が課題となっていますが、特定技能2号の労働者が加わることで地域の経済活性化にもつながります。
現場での建設需要が安定的に供給されることで、地方のインフラ整備が進み、地域全体の発展にも寄与します。
5. 特定技能2号の導入にあたっての課題
一方で、特定技能2号の導入においては、以下のような課題も存在します。
日本語の壁
特定技能2号取得には、日本語能力が必要不可欠です。外国人労働者が業務や安全基準を正しく理解し、職場でのコミュニケーションをスムーズに行えるようにするために、企業側が語学支援を行うことが求められます。
職場環境の整備
建設現場での文化や働き方の違いを受け入れるための職場環境づくりも重要です。労働者が長期間安心して働けるように、労働条件の改善や健康管理体制の充実が求められます。
6. 建設業界の未来を支える特定技能2号の可能性
特定技能2号は、日本の建設業界における持続的な成長と競争力向上に大きく寄与する制度といえます。
高齢化や人手不足が進む中、特定技能2号の資格を持つ外国人労働者が、より多くの現場で活躍することで、建設業界は安定的な労働力を確保できるようになります。
また、2号取得者の活躍により、国内の技術や知識がさらに発展し、新しい建設技術の導入や安全対策の強化など、業界の全体的なレベルアップも期待されます。
企業としても、労働者を長期的に受け入れ、育成することで、持続可能なビジネスモデルを構築できるようになります。
まとめ
日本の建設業界において、特定技能2号は、深刻な人手不足や高齢化の課題を解決し、業界の成長を支える重要な制度です。
特定技能2号の取得により、高度な技能を持つ外国人労働者が日本で長期的かつ安定的に働くことが可能になり、企業は質の高い労働力を確保できます。
また、外国人労働者にとっても、日本でキャリアを築き、家族と共に生活できる魅力的な制度です。
一方で、労働者の日本語能力の向上や、異文化理解を促進する職場環境づくりなどの課題も残されています。
しかし、これらの課題に取り組み、受け入れ体制を整えることで、建設業界全体の発展と競争力強化に繋がります。
特定技能2号が普及することで、建設業界は持続可能なビジネスモデルを構築し、地域経済の活性化やインフラの整備にも寄与することが期待されます。
特定技能2号の活用が、日本の建設業界に新たな可能性と成長をもたらす大きな一歩となるでしょう。
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